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振替納税

所得税の確定申告期限もあと1週間となりました。

既に申告を終えて胸をなでおろしている方、まだ終えておらずバタバタとしている方様々だと思いますが、申告期限が近づくにつれてよくある話を紹介したいと思います。

我々税理士は、受任した職責はもとより、期限内に申告できなかった場合のデメリットについてはよく知っているので、何とか期限に間に合うように申告書を作成します。こうして作成した申告書の内容を依頼者にお伝えするのですが、納付すべき税額が用意できないというご相談を受けることがあります。

期日後の納付には延滞税がかかり、また、延納をすることにしても、利子税がかかります。
しかし、こうした延滞税や利子税の負担をせずに納付日を遅らす方法が1つあります。振替納税を利用する方法です。

振替納税とは、簡単に言えば、口座引き落としによる納付の方法です。

振替納税を利用すると2015年分の所得税の確定申告分の振替日は、2016年4月20日となります。
通常の場合の納付期限は2016年3月15日ですので、実質約1ヶ月納付日を遅らす効果があります。

贈与税の申告期限と納付期限も2016年3月15日ですが、こちらは振替納税はできません。あくまで所得税のみです。

また、注意点として2016年4月20日の前日までに納付額に相当する預金残高を用意しておく必要があります。
残高不足等で振替できなかった場合には、当初の納付期限である2016年3月15日の翌日から完納の日までの期間の延滞税を本税に併せて納付する必要があり、この場合は、現金より納付することになります。

振替納税は一度手続きをすると、取りやめの手続きをしない限り、その翌年以後も振替納税となります。

住宅ローン借換

住宅ローンの借り換えが急増しているようです。
主要銀行8行の2月の借り換え申し込み件数が、前年同月比の2.5倍に増えました。もちろんその原因は日銀のマイナス金利政策です。新規借り入れの申し込みも、前年同月比で2割増しだそうです。

現在、各行の住宅ローン金利は過去最低を更新しており、一般的な10年間固定の最優遇金利は、メガバンクなどの大手銀行で年1%を割り込んでいます。

仮に当初の借り入れをした時の金利が年2%だとすると、年1%以上金利が低くなっていることになり、借入残高や毎月の返済金額にもよりますが、完済までには相当額の差が出ることになります。借り換えの申し込みが急増したのも、こうした影響によるものです。

ただ、借り換えには、新たに保証料やその他の諸費用が必要になるので、そちらも考慮に入れる必要があります。
一般的には、ローン残高、残りの返済期間、当初の金利、借り換えに要する費用が検討に必要な項目となります。

少し税理士らしい話をすると、以下の要件を満たせば、借り換えをした場合も継続して住宅ローン控除を受けることができます。

  1. 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。
  2. 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。

ただ以下の点には、注意が必要です。

  • 住宅ローン控除の対象となるのが、借り換えた金額の全額とならないことがあること
  • 控除の対象期間は、あくまで当初の借り入れ時から計算されること(借り換えにより、延長されません。)

住宅ローン控除の必要書類

いよいよ3月に入りました。
所得税の確定申告期間は原則2月16日から3月15日までですので、折り返し地点といったところでしょうか。
我々税理士にとっては、安堵感とあせりが混在するところですね。

確定申告は、事業などを行っている個人の方にとっては、毎年行うものですので珍しいものではないのですが、サラリーマンなどの給与所得者の方にとっては、特別な手続きとなるのではないでしょうか。

確定申告をする理由は様々あると思いますが、給与所得者の方が確定申告をする最も多い理由の1つが住宅ローンにより住宅を取得したため、住宅ローン控除を受けようとするものではないでしょうか。
住宅ローン控除を受けるために、今回初めて確定申告をする方も多いと思います。

この手続きに必要な書類を簡単ご紹介します。必要書類は以下の通りです。

  1. 住民票の写し
  2. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(借入先より送られてきます。)
  3. 家屋・土地の登記事項証明書
  4. 請負契約書の写し又は売買契約書の写し等

以上が一般的に必要な書類となります。

「3」の登記事項証明書は、法務局で取得できます。住宅を取得した際に通常登記を行いますので、取得した時の書類に含まれていることもあります。

ただ、一言で住宅ローン控除といってもその内容は1つではありません。適用を受ける制度の内容によって他にも必要になる書類があります。
上記の必要書類は、これらの制度に共通して必要になる書類というように受け取って頂ければよいと思います。

また、給与所得者の方が確定申告をする場合には、会社などから交付される給与所得の源泉徴収票も必要となります。

103万円の真実

103万円以下なら夫の扶養になる。」

パートなどで働く主婦の方たちの間では良く知られている内容ではないでしょうか。

誤解を恐れずに言ってしまえば、これは間違いです。

上記の一文は、税理士的言い方をすれば「合計所得金額が38万円以下の一定の人は、夫の所得税・住民税の計算上控除の対象となる。」となります。

順序を追ってみてみましょう。

103万円以下

まず、「103万円以下」ですが、主語はなんでしょう?
パートで働く主婦の間でよく知られるぐらいですから、給与ですね。

では、「給与の収入が103万円以下」ならOKなのでしょうか。答えは半分正解です。

ここで「合計所得金額が38万円以下」がでてきます。

細かい説明は省きますが、「合計」とあるようにその人の「所得」の合計で判断するわけです。
よって、給与以外に収入のある人はその収入も含めたうえで判定を行います。

ここまできて、「103万円」が「38万円」?と思われた方もいるのではないでしょうか。

これは「収入」と「所得」の違いです。

給与収入103万円の人の給与所得は38万円となります。給与収入を得ている人は、その収入から一定割合の控除をすることができます。その控除後の金額を所得と言います。

給与所得が38万円で給与以外に収入がなければ、合計所得金額も38万円となります。

一定の人

次に「一定の人」です。

この一定の人に該当する代表的な人は、青色事業専従者です。
例えば、夫が個人事業主で、妻を青色事業専従者として給与を支払っている場合は、給与の金額が103万円以下でも対象とはなりません。

扶養

最後に「扶養」です。

この扶養ですが、税法では「扶養親族」として定義されています。つまり扶養しているかどうかではなく、税法で定義する扶養親族に該当するかどうかが、まず判定の対象となります。定義上、配偶者はこの扶養親族から除かれているのですが、別に定義されているというだけで、控除の対象になるかどうかの判定要件はほぼ同じです。

まとめ

冒頭の「103万円以下なら夫の扶養になる。」は、収入が給与収入のみであることを前提としたものです。

他に収入があったり、収入源が給与でなかったりした場合は、この言葉は当てはまらなくなります。

最後に「夫の」としていますが、「妻の」でも同じです。親子であれば「親の」や「子の」となります。

ふるさと納税トップは宮崎県

ふるさと納税のポータルサイト「ふるさとチョイス」のまとめで、2015年にふるさと納税が一番多かった自治体は宮崎県都城市であることが分かりました。

寄付額は35億2718万円でした。2位は静岡県焼津市で34億9280万円でした。
トップ30まで発表されていましたが、さいたま市はランキングに入っていませんでした。
ランキングは、”「ふるさとチョイス」のシステムをもとに、上位になりそうな自治体(都道府県市区町村含む)へ直接伺ったもので全自治体ではございません。”という表記はありましたが、一定の信頼をおいても良いのではと思います。

ふるさと納税は昨年から寄付額の上限が2倍に引き上げられており、寄付額が増加している自治体が目立ったようです。

ランキング1位の宮崎県都城市ですが、特産の宮崎牛や焼酎を中心とした特典が人気を集めたようで、繰り返し寄付をする人も増えているそうです。
また、地元業者の販路拡大にもつながっていて、良い経済効果が出ているようです。

このふるさと納税ですが、昨年の4月にふるさと納税ワンストップ特例制度が創設され、ふるさと納税先が5団体以内などの要件を満たす人は、確定申告不要で控除を受けられるようになりました。

しかし、ワンストップ特例制度によってふるさと納税をした人で確定申告をする方は注意が必要です。

確定申告書にワンストップ特例制度の適用を受けたふるさと納税の記載をしないと住民税の減額が行われません。

ふるさと納税ワンストップ特例制度は、あくまで確定申告不要の人向けの制度です。ご注意ください。

タワマン節税

タワーマンションの一室を購入することで相続税額を減額させるいわゆるタワマン節税に歯止めの動きが出ています。

早ければ2018年から実施されるようです。

そもそも「タワマン節税」とは、どのようなものでしょうか。

相続税は、相続開始時の財産の価額に基づいて計算されます。
この財産の価額ですが、財産の種類によってそれぞれの評価方法があります。

例えば、現金1億円はその評価額も1億円となります。

この1億円でタワーマンションの1室を購入していたとしたらどうなるでしょうか。
答えを先にいうと、その評価額は1億円となりません。ほどんどの場合その評価額は1億円よりも低くなります。

さらに加えて、タワーマンションでは一般的に高層階のほうが、実際の購入金額が高くなりますが、相続税の計算における評価額はどの階でも評価額は同じになります。

例えば、高層階が1億円、低層階が8,000万のタワーマンションがあったとします。そのマンションの相続税評価額が6,000万円だとすると、高層階を購入した人は4,000万円、低層階を購入した人は2,000万円、相続税の評価額を現金のまま持っているより切り下げることができるわけです。

タワーマンションの高層階は「億ション」などと呼ばれるように高額なため、高所得者や資産家などいわゆるお金持ちにしか買えませんので、節税の恩恵を受ける人も限定されてしまいます。

こうした実態を是正するために、相続税評価額の評価の仕方を見直そうという動きになりました。

まだ実際には何も決まっていませんが、我々税理士も「タワマン節税」については慎重さが求められるでしょう。今後どのようになるか注目です。

マイナンバー未達

2016年からマイナンバー制度が運用開始となってまだ1ヶ月が過ぎていませんが、マイナンバーが記載された「通知カード」が362万通未達であることが、明らかになりました。

1月12日時点の総務省の集計だそうです。未達のマイナンバーは市区町村に保管されています。
今回の郵便数は全体で5839万通ということでしたので、6.2%が未達であることになります。
この数字が大きいと見るか小さいと見るかは、人それぞれだと思いますが、交付する側から見れば減らしていきたいのは、間違いないのではないでしょうか。

マイナンバーについては希望者は顔写真や住所などが記載された「個人番号カード」が交付されますが、システム障害によりこの交付に影響が出たようです。
地方公共団体情報システム機構が個人番号カードを管理していますが、自治体がカードを交付する際にアクセスして必要な情報をやりとりするシステムがあり、そこに不具合が生じたようです。

この個人番号カードですが、現在のところ、その特有の性質といえば、マイナンバーがついた身分証明書ということになるのかと思います。

「通知カード」ではマイナンバーの記載はありますが身分証明書にならず、運転免許証などをお持ちの方は、マイナンバーの記載はないですが身分証明書となります。
また、コンビニエンスストアで住民票の写し等が取得できますが、元々「住民基本台帳カード」(住基カード)をお持ちの方は、住基カードで取得ができます。

税理士と深い関わりのある確定申告ですが、インターネットを通じて行う電子申告も住基カードがあれば行えます。

ただ注意が必要なのは、現在は「住民基本台帳カード」(住基カード)は、新規に交付されない点です。

現在お持ちの住基カードも有効期限をすぎれば、更新はされなくなります。住基カードを利用するサービスは個人番号カードに移行されていく形となります。

個人番号カードを用いて確定申告を予定されている方は、注意が必要です。個人番号カードの申請から交付までに時間を要するようです。

2015年の所得税・贈与税の確定申告期限は2016年3月15日です。

カードの交付が期日までに間に合わなければ、書面での提出となります。

財産債務調書

前回、国外財産調書について取り上げましたが、今回は財産債務調書です。

以前は、財産債務明細書と呼ばれていたもので、2015年度税制改正により、その提出要件などが変わるとともに、名称も変更されました。

この財産債務調書ですが、概略は以下の通りです。

提出義務者

以下のすべての要件を満たす方

  1. 所得税等の確定申告書を提出しなければならない
  2. その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2千万円を超える
  3. その年の12月31日において、財産の価額の合計額が3億円以上又は国外転出特例対象財産の価額の合計額が1億円以上を有する

改正により上記要件の1と2は以前ものと変わりませんので、3が加わった形となります。
国外転出特例対象財産とは、国外転出時課税制度(いわゆる出国税)の対象となる財産をいいます。

また、前回取り上げました国外財産調書と要件が重複する部分がありますが、それぞれの要件に該当すれば、国外財産調書と財産債務調書はそれぞれ提出します。

過少申告加算税等の特例措置

財産債務調書の提出制度には以下の過少申告加算税等の特例措置が設けられました。

  • 財産債務調書を提出期限内に提出した場合には、調書に記載のある財産債務に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても、過少申告加算税等が5%軽減されます。
  • 財産債務調書の提出が提出期限内にない場合又は調書に記載すべき財産債務の記載がない場合に、その財産債務に関して所得税の申告漏れが生じたときは、過少申告加算税等が5%加重されます。

財産債務調書の提出制度は2015年分の確定申告から適用されますので、提出期限は確定申告と同様に2016年3月15日となります。

国外財産調書の提出もれに注意

2014年1月から国外財産を保有する方がその保有する国外財産について申告する仕組みとして、「国外財産調書制度」が創設され、施行されています。

この調書の提出期限は3月15日までとなっています。

3月15日というと、所得税・贈与税の確定申告期限と重なりますので、これらの申告書に添付するものかと考えがちですが、そうではありません。

国外財産調書は確定申告をするしないに関係なく、提出しなければなりません。

ただ、国外財産を保有するすべての方が提出する必要はなく、一定の要件が定められています。
その要件は以下の通りです。

提出義務がある方

居住者(「非永住者」の方を除きます。)の方で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方。申告期限はその翌年の3月15日となります。

「居住者」とは、国内に住所を有し、又は、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人をいいます。
「非永住者」とは、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間が5年以下である方をいいます。

国外財産

判定

「国外財産」に該当するかどうかの判定については、財産の種類ごとに行われます。
例えば、次のような場合には、その所在が国外であれば「国外財産」となります。

  • 「不動産又は動産」は、その不動産又は動産の所在
  • 「預金、貯金又は積金」は、その預金、貯金又は積金の受入れをした営業所又は事業所の所在
  • 「有価証券等」は、その有価証券を管理する口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等の所在

価額

国外財産の「価額」は、その年の12 月31 日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」によることとされています。

罰則等があります。

  1. 加算税の軽減措置
    調書を期限内に提出した場合に、記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を5%軽減
  2. 加算税の加重措置
    調書の提出がない場合又は提出された調書に国外財産の記載がない場合に、その国外財産に関して所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を5%加重
  3. 罰則の適用
    正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の懲役または50万円以下の罰金

年末調整のしかた

毎年、年末が近づくと年末調整が行われます。

給与所得者は事業者(会社)から2つの書類に必要事項を書いて提出するよう求められ、事業者は提出された書類の処理について税理士などに委託するか、自身で行います。

年末調整の概略

事業者は、給与などから源泉所得税を差し引いて国に納付します。(事業者は源泉所得税を徴収して納付することが義務化されています。)

その年の最後に給与等を支払う際、各人の所得税額を計算し、以前に差し引いた源泉所得税の合計額と比べて過不足があれば精算します。

所得税は国に納付する税金ですが、給与所得者の場合は事業者が窓口となって行っているという形です。
差し引かれた源泉所得税の合計額>1年分の所得税額となれば、年末の給与等にその分がプラスされて支払われます。その逆の場合はマイナスされます。

給与所得者の方は医療費控除や住宅ローン控除など別途確定申告をする場合を除いて、所得税の手続きは終了します。
事業者に提出する2つの書類は、差し引く源泉所得税の金額の計算や年末の精算をするために必要な資料となります。

今年は様式が異なる

2つの書類と言いましたが、正式には、

  1. 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下「扶養控除等申告書」)
  2. 「給与所得者の保険料控除兼給与所得者の配偶者特別控除の申告書」(以下「保険料控除等申告書」)

と言います。

平成27年の年末調整では、扶養控除等申告書は平成28年分、保険料控除等申告書は平成27年分に記載します。

なぜ平成28年分と平成27年分になるのか疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、扶養控除等申告書は平成28年の給与などから差し引かれる源泉所得税の計算のため、保険料控除等申告書は平成27年の年末調整のためというイメージを持っていただければ分かりやすいのではないかと思います。

さて、今回様式が異なるのは「扶養控除等申告書」です。以下の2つが加えられています。

  1. マイナンバーの記入欄
  2. 非居住者である親族に関する情報欄

扶養控除等申告書

1つずつ解説していきます。

マイナンバーの記入欄

その名のままですが、マイナンバーを記入する欄です。自身のみならず、扶養する親族等のマイナンバーも必要となります。なお、扶養親族等の本人確認は給与所得者自身が行うことなっています。とはいえ家族の本人確認?となると思いますので実際には扶養親族等のマイナンバーを確認して記入することになると思います。

ここで注意が必要なのですが、マイナンバーの記入が必要になるのは「扶養親族等」であり、「家族」ではありません。
扶養親族等≠家族です。

便宜上、扶養親族等としていますが、ここには控除対象配偶者も含めています。

どのような人が対象になるのかというと、大雑把ですが、「収入がない方、又は少ない方」が対象になります。
「少ない方」とは、例えば、その年の収入が給与のみなら103万円以下、公的年金のみ(65歳未満)であれば108万円以下の方が該当することになります。
この他に生計を一にすること、事業専従者でないことなど、いろいろ要件があります。
詳しくは国税庁のホームページで説明されていますので、ご参照ください。

マイナンバーを記載した扶養控除等申告書は今まで以上に、安全管理上重要な書類となりますので、その取り扱いには充分な注意が必要になります。
また、記入した内容が事実と異なる場合、計算した税額に影響を及ぼす可能性があります。

非居住者である親族に関する情報欄

マイナンバーと比べこちらはメディア等でも取り上げられていないので、ご存じない方も多いのではないかと思います。

これは、非居住者である親族(以下「国外居住親族」といいます。)について扶養控除等の適用を受ける場合に記入等が必要になります。

「非居住者」とは、居住者以外の個人をいいます。また、「居住者」とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。
したがって例えば、国外へ留学をしている親族、日本で働いている外国人の母国にいる親族などが対象に挙げられます。
親族の全員が国内で生活しているような場合には、関係ありません。

国外居住親族について扶養控除等の適用を受ける場合には、扶養控除等申告書への記載とともに以下の書類が必要になります。

  1. 親族関係書類
  2. 送金関係書類

扶養控除等申告書に記載した者が親族であること、そして扶養していることの証明が必要になるということです。

親族関係書類

次のいずれかの書類で、その非居住者がその居住者(給与所得者)の親族であることを証するものをいいます。

  1. 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及びその親族の旅券(パスポート)の写し
  2. 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(その親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)

送金関係書類

次の書類で、その居住者(給与所得者)がその非居住者である親族の生活費又は教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

  1. 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその居住者(給与所得者)からその親族に支払をしたことを明らかにする書類
  2. いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、そのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと等及びその商品等の購入等の代金に相当する額をその居住者(給与所得者)から受領したことを明らかにする書類

※「親族関係書類」、「送金関係書類」が外国語により作成されている場合には、その訳文も提出又は提示する必要があります。

記入方法

国外居住親族について扶養控除等の適用を受けようとする場合には、通常と同じく氏名や住所などを記入したうえ、「非居住者である親族」欄に「○」を記入します。
事業者等に提出する際に親族関係書類の提出又は掲示が必要になります。

平成27年分の年末調整での処理はこれで終了です。

翌年、平成28年分の年末調整の際には、平成27年の年末調整の際に提出した平成28年分扶養控除等申告書の「生計を一にする事実」欄にの国外居住親族に対する送金額等を記載した上で再提出し、「送金関係書類」の提出又は提示が必要となります。
実際にはマイナンバーの記載された扶養控除等申告書を用いてやりとりをするのか疑問が残るところではありますが、少なくとも、送金関係書類は必要となりますので、年を通じてその管理や保管が必要になります。

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