相続があったら
近親者が亡くなると相続が発生します。
相続というと亡くなった人(被相続人)の財産を引き継ぐことをイメージしがちですが、マイナスの財産、つまり借金なども引き継ぎます。
このため、相続発生時点における被相続人の財産よりも債務のほうが大きいときは、相続の放棄ということも選択できるようになっています。
相続の放棄はこのような理由に限らず任意にすることができますが、相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内にしなければなりません。
これは相続税の話ではなく、民法の話となります。
このように相続については、主に民法と相続税の規定の適用を受けることになります。
私は税理士ですので、主に相続税についてご紹介していきたいと思います。
確定申告と納税
相続が発生したら、全ての人が相続税の確定申告をして税金を納めることになるかといえば、そうではありません。
相続税が発生したら税金を納めなければならないということは、誰もが理解できるところだと思いますが、確定申告をしなければならない場合とはどのような場合になるのでしょうか。
もちろん相続税が発生したら税金を納めると共に確定申告が必要になります。確定申告が必要になる要件は様々ありますが、最も基本的な要件があります。
それは、相続により取得した財産や債務を基礎として計算した金額(相続税の課税価格といいます。)が「遺産に係る基礎控除額」を超える場合です。つまり、原則として「遺産に係る基礎控除額」以下であれば、確定申告は不要となります。
この「遺産に係る基礎控除額」(以下、「基礎控除額」)ですが、法定相続人の数を基礎として計算されます。法定相続人について一例を挙げると、被相続人に配偶者と子供がいれば、原則、その配偶者と子供が法定相続人となり、その数が法定相続人の数となります。
相続税法の大改正
この基礎控除額ですが、2015年に相続税法の大改正があり、以前の6割となりました。
以前の基礎控除額は、「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたので、相続人が親1人、子1人でも7,000万円の基礎控除額がありました。
これが現在では、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となり、親1人、子1人で4,200万円となります。
必然的に確定申告が必要になる人が増えます。
これが昨今相続税の取り扱いが注目されている理由の1つです。
なお、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などを適用する場合には、「基礎控除額以下」となっても確定申告が必要になりますので注意が必要です。