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海外税務情報を提出

グローバル化時代といわれてから年数が経ちますが、いよいよ税務の領域にもその波が押し寄せてきたようです。

政府は2016年度の税制改正で、企業に海外税務関連情報を国税庁に提出するルールを盛り込む方向のようです。企業は国別の収益や納税額、資産などの情報をリポートとして提出しなければいけなくなる模様です。

経済協力開発機構(OECD)が国境を越えた節税策を防ぐために、世界の企業に税務情報の提出を求めるルールをまとめたことが発端となっています。
OECDでは全事業年度の連結売上高が約1000億円以上の企業を対象にするよう求めており、日本政府もこれに対応しようという考えのようです。

既に、個人レベルでは、「国外財産調書」の提出義務が課され、5,000万円を超える国外財産を有する人は、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を税務署に提出しなければなりません。

このような流れは今後加速していくのではないのでしょうか。

出国税

平成27年7月1日から国外転出時課税制度が適用となりました。

国外転出時課税制度とはいわゆる出国税で、国外転出をする一定の居住者が1億円以上の有価証券等を所有等している揚合には、その対象資産の含み益に所得税(復興特別所得税を含みます。以下同じ。)が課税されることとなりました。

国外転出時課税の対象者は、所得税の確定申告等の手続を行う必要があります。

また、ー定の場合には納税猶予制度や税額を減額するなどの措置を受けることができますが、国外転出までに納税管理人の届出書を税務署に提出するなどの手続が必要です。

国外転出時課税の対象者

国外転出時において、次の1、2の両方を満たす居住者が、国外転出時課税の対象者となります。

  1. 所有等している対象資産の価額の合計が1億円以上であること。
  2. 原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

対象資産

有価証券(株式、投資信託等〉、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引

申告手続等

納税管理人の届出の有無で分かれます。

  • 納税管理人の届出あり・・・通常の確定申告期限までに申告・納付(要件を満たせば納税猶予あり)
  • 納税管理人の届出なし・・・国外転出時までに申告・納付(納税猶予なし。5年以内の帰国は納付した税額を戻せる)

帰国した場合等

国外転出時課税制度の適用を受けた人が、帰国や対象資産を譲渡した場合には、一定の手続きをすることで納付した税金などを精算することができます。帰国や譲渡をした日から4ヶ月以内の手続きが必要になります。

移転価格税制

移転価格税制で納税者の主張が認められたという記事を見ることがあります。

移転価格税制とは

  • 企業が海外の関連企業との取引価格(移転価格)を通常の価格と異なる金額に設定すれば、一方の利益を他方に移転することが可能となる。
  • このような海外の関連企業との間の取引を通じた所得の海外移転を防止するため、海外の関連企業との取引が、通常の取引価格(独立企業間価格)で行われたものとみなして所得を計算し、課税する制度。

この通常の取引価格(独立企業間価格)の算定方法は法律などにも規定されていますが、ざっくりいうと、「特殊な関係にない相手との取引価格と同様かどうか」です。

海外の関連企業(子会社など)との取引が、独立企業間価格かどうかが争点となるようです。海外の関連企業は現地の税制などの優遇措置を受けていることもあるようなので、それらの点を調べて実施している納税者側の主張が認められているということでしょうか。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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関東信越税理士会浦和支部所属

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