Category Archives: 税制改正

共同要望ランキング

各府省庁からの平成30年度の税制改正要望が財務省に出揃い、これに関する資料が公表されています。

公表資料の中には、各府省庁から提出された要望の単純集計があります。
それによると、要望項目数は160、廃止・縮減項目数は6。ということでした。
単純集計となりますので、いわゆる延べ数ということになります。

以前少し触れましたが、例えば「廃止・縮減項目数6」のうち4つは「エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(グリーン投資減税)」に関する要望で、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省から同じ要望が提出されています。よって要望の種類としては、3つとなります。

このように重複する要望があるのですが、「要望項目数」ではどのようになっているのでしょうか。
こちらも各府省庁別に同じ要望を提出しているものがあります。
各々別に提出しているというよりは、共同要望として名を連ねているというもののようです。

集計したところ、共同要望を1として数えた要望項目数は127で、共同要望は24となりました。
共同要望という形になるのは、要望する内容が各省庁の所管業務に関わるものになるためだと思われるのですが、数の論理でいえば、多くの省庁から要望が出されていると見ることができます。

要望府省庁数が多かった要望

共同要望で最も多かった省庁の数は、4省庁です。
4つの省庁により提出された要望とその省庁は以下の通りです。それぞれの要望で最初に示した府省庁が主管府省庁です。

  • 産業競争力強化法に基づく事業再編等に係る登録免許税の軽減措置の延長…経済産業省、総務省、農林水産省、国土交通省
  • 技術研究組合の所得計算の特例の延長…経済産業省、総務省、農林水産省、国土交通省
  • 先進的省エネ・再エネ投資促進税制の創設…経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省

偶然にも、共同要望で主管省庁が経済産業省となるものとなりました。
なお、その他の共同要望は、省庁数の多い順に以下の通りとなりました。

  • 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)…金融庁、農林水産省、経済産業省
  • 新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置…農林水産省、内閣府、国土交通省
  • 中小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置の創設…経済産業省、農林水産省、厚生労働省
  • 中小企業等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長…経済産業省、総務省、厚生労働省
  • 認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長…国土交通省、経済産業省、環境省
  • 地域経済活性化支援機構に係る登録免許税の特例措置の延長…内閣府、金融庁
  • 生命保険料控除・住宅ローン控除等に係る手続の電子化…金融庁、財務省
  • 公募投資信託等の内外二重課税の調整…金融庁、国土交通省
  • 投資法人が海外で支払う法人税等(外国法人税)に係る導管性判定式の改正…金融庁、国土交通省
  • 地域データセンター整備促進税制の創設…総務省、内閣府
  • 国立大学法人等に対する評価性資産寄附へのみなし譲渡所得税の非課税承認を受けるための要件の緩和等…文部科学省、内閣府
  • 働く人のための保育の提供に取り組む企業に対する税制上の優遇措置の創設…厚生労働省、内閣府
  • 子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設…厚生労働省、内閣府
  • 国民の健康の観点からたばこの消費を抑制することを目的とした、たばこ税の税率の引上げ…厚生労働省、文部科学省
  • 駐留軍関係離職者、国際協定の締結等に伴う漁業離職者等に対して支給される職業転換給付金に係る非課税措置等の延長…厚生労働省、国土交通省
  • Connected Industriesに向けたIT投資の抜本強化…経済産業省、総務省
  • 交際費の課税の特例(中小法人における損金算入の特例)措置の延長…経済産業省、厚生労働省
  • 個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設…経済産業省、厚生労働省
  • 認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長…国土交通省、環境省
  • 港湾の民有護岸等(特定技術基準対象施設)の耐震化の推進のための特例措置の拡充及び延長…国土交通省、内閣府
  • 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充…国土交通省、経済産業省

平成30年度税制改正要望一覧

平成30年度の税制改正要望の一覧を作成しました。

昨年度は財務省でも一覧が作成されていましたので、後々アップされるのではないでしょうか。
ひと足早くといった内容になります。

改正要望事項一覧

  • 内閣府
    1. 地方における企業拠点の強化を促進する税制措置の延長・拡充
    2. 小さな拠点の形成に資する事業を行う株式会社に対する特例措置
    3. 国家戦略特区における特別償却又は投資税額控除の延長
    4. 国家戦略特区における所得控除制度の拡充及び延長
    5. 国家戦略特区におけるエンジェル税制の延長
    6. 国際戦略総合特区における特別償却又は投資税額控除の拡充及び延長
    7. 地域活性化総合特区におけるエンジェル税制の延長
    8. 子育て支援に係る税制上の措置の検討
    9. 地域経済活性化支援機構に係る登録免許税の特例措置の延長
    10. 国立大学等法人等に対する評価性資産寄附へのみなし譲渡所得税の非課税承認を受けるための要件の緩和等
    11. 地域データセンター整備促進税制の創設
    12. 港湾の民有護岸等(特定技術基準対象施設)の耐震化の推進のための特例措置の拡充及び延長
    13. 新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置
    14. 働く人のための保育の提供に取り組む企業に対する税制上の優遇措置
    15. 子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設
  • 警察庁
    1. 犯罪被害給付制度及び国外犯罪被害弔慰金等支給制度の見直しに伴う税制上の所要の措置
  • 金融庁
    1. NISA等の利便性向上・充実
    2. 外国子会社合算税制(CFC 税制)に係る所要の措置
    3. 店頭デリバティブ取引の証拠金に係る利子の非課税措置の恒久化又は延長
    4. 生命保険料控除制度の拡充
    5. 上場株式等の相続税に係る見直し
    6. 個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入割合の引上げ
    7. 預金保険法に基づく資本増強等に係る登録免許税の軽減措置の延長
    8. ヘッジ処理における特別な有効性判定方法等の適用開始時期の見直し
    9. 外国債券等を譲渡した場合における消費税の取扱いの明確化等
    10. 死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ
    11. マイナンバーの利用に関する手続の簡素化
    12. 信託受益権の質的分割に係る所要の措置
    13. 相続税に係る国際的な課税のあり方の見直し
    14. 生命保険料控除・住宅ローン控除等に係る手続の電子化
    15. 公募投資信託等の内外二重課税の調整
    16. 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)
    17. 投資法人が海外で支払う法人税等(外国法人税)に係る導管性判定式の改正
    18. 地域経済活性化支援機構に係る登録免許税の特例措置の延長
  • 総務省
    1. 郵政事業に係る消費税の特例措置の創設
    2. 地方独立行政法人に対する寄付金等に係る課税標準の特例措置の拡充
    3. 地域データセンター整備促進税制の創設
    4. Connected Industriesに向けたIT投資の抜本強化
    5. 技術研究組合の所得計算の特例の延長
    6. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長
    7. 産業競争力強化法に基づく事業再編等に係る登録免許税の軽減措置の延長
  • 法務省
    1. 相続登記の促進のための登録免許税の特例
  • 外務省
    1. 国際協力を使途とする資金を調達するための税制度の新設
  • 財務省
    1. 清酒等に係る酒税の税率の特例期間の延長
    2. 被災酒類製造者が移出する清酒等に係る酒税の税率の特例期間の延長
    3. ビールに係る酒税の税率の特例期間の延長
  • 文部科学省
    1. 独立行政法人日本学生支援機構に係る指定寄附金の給付型奨学金への対象拡充
    2. 私立学校等への寄附に係る寄附金控除の年末調整対象化
    3. 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた税制上の所要の措置
    4. 2019年ラグビーワールドカップ大会の開催に向けた税制上の所要の措置
    5. 引退後のアスリートに対する経済的支援に係る税制上の所要の措置
    6. 美術品・文化財に係る相続税の納税猶予の特例の創設
    7. 国立大学法人等に対する評価性資産寄附へのみなし譲渡所得税の非課税承認を受けるための要件の緩和等
    8. 国民の健康の観点からたばこの消費を抑制することを目的とした、たばこ税の税率の引上げ
  • 厚生労働省
    1. ひとり親家庭に対する高等職業訓練促進給付金に係る税制上の措置
    2. 医療に係る消費税の課税のあり方の検討
    3. 医療機関等の設備投資等に関する特例措置の創設
    4. 地域機能の確保のための個人開設医療機関への軽減税制措置の創設
    5. 社会医療法人・特定医療法人の認定要件の見直し
    6. 受動喫煙防止対策に伴う税制上の措置
    7. 協同組合等に係る受取配当等益金不算入制度における特例の適用除外等
    8. 生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに伴う税制上の所要の措置
    9. 介護医療院の創設等に伴う税制上の所要の措置
    10. 障害者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度の適用期限の延長
    11. 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額等の特別控除の延長
    12. 交際費課税の特例措置の延長
    13. 働く人のための保育の提供に取り組む企業に対する税制上の優遇措置の創設
    14. 子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設
    15. 国民の健康の観点からたばこの消費を抑制することを目的とした、たばこ税の税率の引き上げ
    16. 駐留軍関係離職者、国際協定の締結等に伴う漁業離職者等に対して支給される職業転換給付金に係る非課税措置等の延長
    17. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長
    18. 個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設
    19. 中小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置の創設
  • 農林水産省
    1. 森林吸収源対策の財源確保に係る税制上の措置
    2. 農林漁業団体職員共済組合制度に係る税制上の所要の措置
    3. 山林所得に係る森林計画特別控除
    4. 農業経営基盤強化準備金及び農用地等を取得した場合の課税の特例
    5. 中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用に係る設備廃棄等欠損金の特例
    6. 農地中間管理機構が農用地等を取得した場合の所有権の移転登記の税率の軽減措置
    7. 農業ハウス等の農地法上の取扱いに係る税制上の所要の措置
    8. 卸売市場法の抜本見直しを含めた食品流通全体の構造改革のための税制上の所要の措置
    9. 林業の成長産業化に関する税制上の所要の措置
    10. 新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置
    11. 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)
    12. 先進的省エネ・再エネ投資促進税制の創設
    13. 小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置の創設
    14. 技術研究組合の所得計算の特例の延長
    15. 産業競争力強化法に基づく事業再編等に係る登録免許税の軽減措置の延長
  • 経済産業省
    1. 印紙税のあり方の検討
    2. 国際会計基準を踏まえた収益認識基準の導入に伴う所要の措置
    3. 申告・納税手続の電子化に向けた制度及び運用に係る所要の整備
    4. スピンオフの実施の円滑化のための適格要件の見直し等組織再編成税制における所要の措置
    5. 事業ポートフォリオの転換の円滑化措置
    6. 自社株式等を対価とした株式取得による事業再編の円滑化措置
    7. 事業再編を円滑化するための組織再編税制における適格要件の見直し
    8. 新事業開拓事業者投資損失準備金の延長
    9. 所得拡大促進税制の拡充及び延長
    10. 認定特定民間中心市街地経済活力向上事業計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等の税率の軽減の延長
    11. BEPS(Base Erosion and Profit Shifting)を踏まえた国内の制度整備に係る配慮
    12. 外国子会社合算税制の見直し
    13. 租税条約ネットワークの拡充
    14. 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入、国庫補助金等の総収入金額不算入の拡充
    15. 原料用石油製品等の非課税化(原料用途免税の本則化)
    16. 車体課税の抜本的見直し
    17. 金属鉱業等鉱害防止準備金の延長
    18. 海外投資等損失準備金の延長
    19. 原子力発電施設解体準備金の見直し
    20. 小規模企業等に係る税制のあり方の検討
    21. 事業承継税制の見直し
    22. 産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画の認定自治体における登録免許税の軽減措置の延長
    23. バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例の延長
    24. 産業競争力強化法に基づく事業再編等に係る登録免許税の軽減措置の延長
    25. 技術研究組合の所得計算の特例の延長
    26. Connected Industries に向けたIT 投資の抜本強化
    27. 先進的省エネ・再エネ投資促進税制の創設
    28. 中小企業・小規模事業者の再編・統合等に係る税負担の軽減措置の創設
    29. 交際費の課税の特例(中小法人における損金算入の特例)措置の延長
    30. 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の延長
    31. 個人事業者の事業用資産に係る事業承継時の負担軽減措置の創設
    32. 金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)
    33. 認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長
    34. 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
  • 国土交通省
    1. 物流総合効率化法の認定計画に基づき取得した事業用資産に係る特例措置の延長
    2. 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の1,500 万円の特別控除の延長
    3. 工事請負契約書及び不動産譲渡契約書に係る印紙税の特例措置の延長
    4. 都市農地の保全のための制度充実に伴う所要の措置
    5. 低未利用土地利用権設定等促進計画(仮称)に係る特例措置創設
    6. 都市再生推進法人に土地等を譲渡した場合の特例措置の拡充
    7. 土地区画整理事業における共同施設区制度(仮称)の創設に伴う課税の特例措置の拡充
    8. 土地区画整理事業における共同施設区制度(仮称)の創設に伴う課税の特例措置の拡充(登録免許税)
    9. 民間施設直結スマートインターチェンジ整備に係る特例措置の創設
    10. 買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置の拡充・延長
    11. 特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長
    12. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度の延長
    13. 特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度の延長
    14. マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等の免税措置の延長
    15. 住宅投資の波及効果に鑑み、これまでの措置の実施状況や今後の住宅市場の動向等を踏まえた住宅市場に係る対策についての所要の措置
    16. 民法改正に伴う住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等の要件の見直し
    17. 先進安全技術を搭載したトラック・バスに係る特例措置の拡充・延長
    18. バリアフリー車両に係る特例措置の延長
    19. 国際船舶の所有権保存登記等に係る課税の軽減措置の拡充・延長
    20. 国の無利子貸付を受けて整備された旅客施設等及び官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾において整備された旅客施設等に係る特例措置の創設
    21. 次世代の観光立国実現のための財源の検討
    22. 認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長
    23. 認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長
    24. 港湾の民有護岸等(特定技術基準対象施設)の耐震化の推進のための特例措置の拡充及び延長
    25. 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
    26. 技術研究組合の所得計算の特例の延長
    27. 公募投資信託等の内外二重課税の調整
    28. 投資法人が海外で支払う法人税等(外国法人税)に係る導管性判定式の改正
    29. 産業競争力強化法に基づく事業再編等に係る登録免許税の軽減措置の延長
    30. 新たな都市農業振興制度の構築に伴う税制上の措置
    31. 先進的省エネ・再エネ投資促進税制の創設
    32. 駐留軍関係離職者、国際協定の締結等に伴う漁業離職者等に対して支給される職業転換給付金に係る非課税措置等の延長(船員となろうとする者に関する国際協定の締結等に伴う漁業離職者関係)
  • 環境省
    1. 特定廃棄物最終処分場における特定災害防止準備金の損金算入等に係る特例措置の延長
    2. 税制全体のグリーン化の推進
    3. 車体課税のグリーン化
    4. 先進的省エネ・再エネ投資促進税制の創設
    5. 認定低炭素住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長
    6. 認定長期優良住宅の所有権の保存登記等に係る軽減措置の延長

既存租特の見直し事項一覧

  • 農林水産省
    1. エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(グリーン投資減税)
  • 経済産業省
    1. 独立行政法人中小企業基盤整備機構の仮設施設整備事業に係る特例措置
    2. エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(グリーン投資減税)
  • 国土交通省
    1. 東日本大震災により被災したため従前と異なる場所に鉄道路線が移設される場合における用地取得に係る特例措置の廃止
    2. エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(グリーン投資減税)
  • 環境省
    1. エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除(グリーン投資減税)の廃止

税制改正の要望がちらほら

2018年度の税制改正の要望に記載されるであろう内容が、ちらほらと報道されるようになっています。

税制改正に関する法律が決定するのは、通常は毎年3月半ばですが、法律案の大筋となる税制改正大綱が発表されるのはその前年の12月です。
そして、この大綱を作成するために、各省庁などから要望を集めます。
これが税制改正の要望です。

この要望は財務省に集められますが、その期限は8月31日となっているようですので、各省庁ではその素案は出来上がっているのではないでしょうか。
そのため、この時期になると、要望に記載されるであろう内容が報道されます。その内容を少し見てみたいと思います。

  • 診療所の継承における相続税免除
    過疎地などで診療所や病院を相続した後継者の医師が安定的に運営を続けられるように、医療業務に必要な土地・建物などにかかる相続税を免除しようというものです。
    現行されている事業承継税制などの仕組みを踏襲するような形の運用が考えられているようです。
  • 交際費減税の延長
    現行制度では、交際費について一定の損金算入(税金の計算上も経費とする)が認められていますが、この措置を延長しようというものです。
  • 人材投資減税
    従業員等の新たなスキル習得に向けた研修や学び直しなどの費用を減税の対象としようとするものです。

こららの内容は、まだ報道されている段階にすぎませんので、要望に記載されるであろう内容として紹介しています。
実際に要望に記載されるかは要望を見てみないと分かりません。

各省庁の要望が出揃うと、財務省や各省庁のホームページで確認することが出来ます。
ただ、要望に記載されていたとしても、それが大綱に盛り込まれるかどうか。大綱に盛り込まれたとしても、法案として成立するかどうか。
要望が実現するまでには、まだまだ長い道のりがあります。

要望は各省庁などから出されると紹介しましたが、例えば今回の交際費減税の延長は厚生労働省からの要望ということになっています。
なぜ、厚生労働省が交際費の減税を?と思われるのではないでしょうか。
これは、飲食業を所管しているのが厚生労働省であることからのようです。

交際費と一言でいっても色々とありますが、代表的なものといえば接待費ですね。接待といえば飲食です。
現行制度の交際費減税もその内容の大部分は接待飲食費の減税です。
このようなことから、厚生労働省からの要望ということになっているようです。

届出書等の手続き簡素化

本日で3月も終わりです。明日から4月です。
4月から新年度ということもあり、新しい制度が始まったり、値上げや値下げなどの適用があったりと動きのある時期です。

税制も然り。税制改正があると大抵、「この法律は、○○年4月1日から施行する。」などと法律に書かれています。
本年度の税制改正も一昨日の3月27日に法律が成立しました。

改正の概略や詳細などはまた機会のあるときにご紹介できればと思いますが、今回はこの改正の内容の1つ、法人設立届出書等の手続き簡素化について、取り上げてみたいと思います。

国税庁のホームページでも他の改正内容を差し置いて、この手続き簡素化について新着情報として掲載しています。
明日の4月1日から適用されますので、明日届出等をする方たちに合わせてのことだと思います。

変更点は2つで、

  • 登記事項証明書の添付省略
  • 異動届出書等の提出先のワンストップ化

です。

一例ですが、法人を設立した場合、税務署に届出が必要になります。
法人設立届出書といいますが、これに今までは登記事項証明書の添付が必要でした。登記事項証明書は法人の登記が終了した後に取得できる証明書ですが、この添付が不要になります。

もう1つの異動届出書等の提出先のワンストップ化ですが、こちらも一例をあげてみます。
納税地を異動した場合には届出が必要になります。
納税地を所轄する税務署がそれぞれありますので、異動によって所轄する税務署が変われば、今までは異動前と異動後の2箇所の税務署長に届出をしなければなりませんでした。
これが、異動前の1箇所で済むようになります。文字通りワンストップ化です。

税理士はこれらの手続きに携わることが多々ありますが、これらは登記事項の照会や税務署間のやりとりで確認がとれるはずですので、税務署側での処理を期待していた税理士は少なくないはずです。

ただ、税務署側で処理するにしても、今まではその手続きが大変だったのかもしれません。
この手続きの簡略化が実現したのは、ICT化とマイナンバー制度が関係しているのではないでしょうか。

H29税制改正大綱

少し遅くなりましたが、今月の22日に閣議決定され、平成29年度税制改正の大綱が発表されています。

今月の初旬に自由民主党・公明党の両名で平成29年度税制改正大綱発表されたことを取り上げましたが、閣議決定を経て、これを財務省で取りまとめたものが、今回の平成29年度税制改正の大綱となります。
こちらは財務省のホームページからダウンロードすることが出来ます。

税理士という職業柄、発表された日に取り上げるべきものなのかもしれませんが、ざっと見たところ、与党の税制改正大綱と内容が変わっていないように思えます。見比べてみると判りますが、レイアウトも同じです。
100ページ以上に及ぶ内容ですので、中には変更点などがあるのかもしれませんが、大勢に変化がないことは間違いないでしょう。

ただ、今回の発表に付随して大綱の概要が掲載されています。
100ページ以上の内容を読むより、文字通りこちらのほうが概要を把握するのには適していますので、そのタイトルだけでもご紹介致します。

  1. 個人所得課税
    • 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
    • 積立NISAの創設
  2. 資産課税
    • 事業承継税制の見直し
    • 国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直し
    • 居住用超高層建築物に係る課税の見直し
    • 償却資産に係る特例措置の対象追加
  3. 法人課税
    • 研究開発税制の見直し
    • 所得拡大促進税制の見直し
    • コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備
    • 中堅・中小企業の支援
    • 地方拠点強化税制の拡充
  4. 消費課税
    • 酒税改革
    • 車体課税の見直し
    • 到着時免税店の導入
    • 仮想通貨の消費税非課税化
    • 地方消費税の清算基準の見直し
  5. 国際課税
    • 外国子会社合算税制の見直し
  6. 納税環境整備等
    • 国税犯則調査手続等の見直し
    • 災害に関する税制上の措置
  7. 関税
    • 暫定税率の適用期限の延長等
    • 旅客及び航空貨物に係る事前報告制度等の拡充

「概要」の冒頭には、なぜこのような税制改革を行うのかという、いわゆる前文がありますが、タイトルを先に見てしまってもなんとなくその目的も見えくるのではないでしょうか。

配偶者控除~H29税制改正大綱

平成29年度税制改正大綱の内容を見ていきたいと思います。

第1回目は配偶者控除・配偶者特別控除です。

法案が可決すれば、所得税は平成30年分から、住民税は平成31年度分から適用される予定です。
早速内容を見てみましょう。

大きくみると、改正の内容は2つです。

  • 配偶者控除に所得者本人の所得制限が加えられたこと
  • 配偶者特別控除に該当する配偶者の所得制限が拡大されたこと

それでは、詳しく見てみましょう。

配偶者控除

所得者本人の所得制限が加えられ、本人の所得によって段階的に控除額も引き下げられます。
表にすると以下の通りとなります。

配偶者が70歳未満 配偶者が70歳以上
本人の合計所得金額 控除額
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1000万円以下 13万円 16万円
1000万円超 控除なし

配偶者特別控除

適用の対象となる配偶者の合計所得金額の限度額が76万円未満から123万円以下となりました。
また、適用について所得者本人に所得制限があるのと、配偶者の所得に応じて段階的に控除額が引き下がるのは現在も同様ですが、所得者本人の所得に応じても控除額が引き下がるようになっています。

本人の合計所得金額
900 万円以下 900万円超

950万円以下

950万円超

1,000万円以下

配偶者の合計所得金額 控除額
38 万円超85 万円以下 38万円 26万円 13万円
85 万円超90 万円以下 36万円 24万円 12万円
90 万円超95 万円以下 31万円 21万円 11万円
95 万円超100 万円以下 26万円 18万円 9万円
100 万円超105 万円以下 21万円 14万円 7万円
105 万円超110 万円以下 16万円 11万円 6万円
110 万円超115 万円以下 11万円 8万円 4万円
115 万円超120 万円以下 6万円 4万円 2万円
120 万円超123 万円以下 3万円 2万円 1万円
123万円超 控除なし

注意事項

今回取り上げたものは法律として決まったものではありません。
今後の動向によりその内容が変わる場合も考えられます。

 

与党平成29年度税制改正大綱

先日、自由民主党・公明党の両名で平成29年度税制改正大綱が発表されました。
両政党のホームページにアップされているので誰でも見ることが出来ます。

税制改正大綱というと、もう1つ、財務省のホームページから見ることができるものがありますが、位置づけ的には別のものとなります。
与党の税制改正大綱を財務省が取りまとめたものが、財務省のホームページで見ることができる税制改正大綱です。
現時点では、財務省のホームページには平成29年度のものはありません。

それぞれ名称が同じなので分かりにくいですね。また、内容もそれ程変わらないことが多く、そもそも議席数を過半数以上持っている与党が作成した税制改正の大綱ですので、注目度は高くなるという訳です。税理士であれば尚更注目です。

なお、日常でそれほど使用する言葉ではないかもしれませんが、「大綱」とは、「事柄の根本となる骨組み(を述べたもの)。」ということで、税制改正の骨組みが発表されたということになります。

早速、ホームページから資料をダウンロードしてみると、141ページありました。
人によってはサッと読めてしまう量なのかも知れませんが、私はゆっくりとなりそうです。

目玉は配偶者(特別)控除?

今回の目玉は、何と言っても、配偶者控除・配偶者特別控除になるのではないでしょうか。

大綱が発表される前からその動向が注目され、その内容の見込みが報道されていました。
結果は、見込みどおりとなったようです。

現行の制度でも、一定の収入があるため配偶者控除の適用とならない場合も配偶者特別控除として控除することができますが、その配偶者の収入が大きくなるに連れて控除額が小さくなります。現行では、給与収入であれば105万円以上で控除額が少なくなっていきます。

改正案では、150万円を超えなければ配偶者控除と同額の38万円の所得控除を受けることができるようになります。

大綱の内容については機会を見て取り上げていきたいと思います。

配偶者控除の検討内容を検討

先日、配偶者控除の継続も検討されているということについてお話ししましたが、これに付随する案も出されているようです。
そのうちの1つが、配偶者控除を適用するための配偶者の年収要件を現在の103万円以下から150万円以下に引き上げるというものです。
これがどういったものなのか、税理士の知識を活かして考察してみたいと思います。

まず年収103万円以下という金額の根拠です。
この103万円という収入は、給与所得者を前提としています。
事業を行っている人など他の手段で収入を得ている人はこの前提に当てはまりません。もちろん条件に一致さえすれば、配偶者控除の適用を受けることができますが、これについては後述します。

さて、給与所得者には給与所得控除額という収入から差し引ける金額があります。収入金額によって差し引く金額は異なるのですが、差し引ける金額の最低金額は65万円です。つまりどんなに収入が低くても65万円は控除できるということです。ちなみに収入103万円に対する給与所得控除額は、この最低控除額の65万円です。

103万円から65万円を差し引くと、38万円が残ります。

全ての人が控除できる基礎控除

給与所得控除額は給与による収入から控除できる金額です。
これに対して基礎控除は、どのような収入を得た人からも控除できます。もちろん給与による収入を得た人も控除できます。

この基礎控除の金額は38万円です。

所得税は、その名の示す通り「所得」に対して課せられる税金です。
では、所得とは?となりますが、これを説明すると長くなってしまうので、ここでは基礎控除の38万円を控除した金額というように考えてください。
すると、年収103万円の人の所得は、103万円ー65万円ー38万円で0円となり、所得税が課せられないといういうことになります。

つまり配偶者控除とは「所得税がかからない程度の収入の配偶者がいる場合に控除が認められるもの」ということになります。この考え方は扶養控除にも当てはまります。

ところで、「103万円という収入は給与所得者が前提」と言いましたが、どういうことでしょうか。

実はこの配偶者控除、法律には「合計所得金額が38万円以下」と規定されています。合計所得というのはその人の所得の合計を表します。

給与所得者の場合は103万円ー65万円=38万円となり、「合計所得金額が38万円以下」が成り立つため配偶者控除が適用できます。給与でない収入を得ている方は、最低でも65万円の控除ができる給与所得控除が適用できないため、世間一般に言われている103万円という限度額は意味をなさなくなります。

これを踏まえて、配偶者の年収要件が150万円に引き下がると仮定して考えると、

  • 基礎控除額を引き上げる
  • 基礎控除などの控除額は据え置きにして、配偶者控除の適用要件の合計所得金額を引き上げる
  • 適用対象者を給与所得者に限定し、給与所得控除額の最低控除額を引き上げる

などなど、いろいろなケースが考えられます。

今日のさいたま市

カレンダー通りでいうと、3連休の中日です。今日のさいたま市の天気は午前中は雨がポツポツと降り、お出かけ日よりとは言いづらい天気でした。ただ気温はすごしやすく、午後には雨も止んだため、午後から出かけたという人も多かったのではないでしょうか。

どうなる?配偶者控除

来年度の税制改正で、いよいよ配偶者控除がなくなるのかと思いきや、ここへきて継続論が息を吹き返してきたようです。

政府・与党が来年度の税制改正で配偶者控除の廃止を見送る方針を固めたとの一部報道がありました。ただ、これに対して菅官房長官は会見で、「現時点で決まったという方針があるわけではない」と述べています。情報が錯綜していますね。

毎年、来年度の税制改正を考えるこの時期になると、配偶者控除の見直しがその俎上にあがっては立ち消えていました。
今年は、女性活躍などの政策の後押しがあったためなのか、「夫婦控除」といった配偶者控除に変わる控除の名称まで持ち上がり、いよいよ今回は見直しがされるのかという風潮にありました。

なぜ、ここへきて継続論が台頭してきたかというと、一部報道では、衆議院の解散などいわゆる選挙がらみをその原因ではないかと報じていますが、その真偽を確かめる術はなく、結論としては、「検討の結果」ということになるのでしょう。

この継続論が持ち上がってきた中、配偶者の年収要件を現在の103万円以下から150万円以下に引き上げるという話もあり、さらに財源確保のために世帯主の年収が1000万円を超える世帯を控除から外す案もあるようです。

税理士の知識を利用して考えると、ああなってこうなってこれはどうするのだろうと思うところはあるのですが、それはまた今度にしたいと思います。

廃止・見直しと騒がられ、今度は継続として騒がられる。

議論・検討をしている人たちからして見れば、「案を出しているだけで、騒いでいるのは周囲の人たちでしょう」と思っているかもしれません。
ただ、騒がられることで、周囲の反応を議論に還元しようとしているということも考えられます。

税理士にとって業務に直接関わる事象ですので、こうした情報を全く無視することはできないのですが、結局は法律として決まらなければ絵に描いた餅です。最終的に決まるまで情勢を見据えつつ静かに待つ、というのが良策なのかも知れません。

今日のさいたま市

秋めいた気候でした。昼食をとるために外出しようとしたら本降りの雨が降ってきてしまいました。天候はまだまだ不安定なようです。

牽制強化、加算税制度

昨日に引き続き加算税制度です。

前回のブログにも記載しましたが、平成28年度の税制改正で、加算税の取り扱いが変更されています。

結論から言ってしまえば、罰則強化となります。

この改正は、平成29年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。

法定申告期限?となる方に申し上げれば、確定申告期限が法定申告期限となります。
所得税を例にとると、本年の平成28年の所得税の確定申告期限は、平成29年の3月15日で平成29年1月1日以後に到来しますので、改正後の加算税制度が適用されます。

罰則強化となりました部分は、以下の通りです。

過少申告加算税

  • 更正を予知しない修正申告・・0%⇒5%

無申告加算税

  • 通常・・15%⇒15%(繰り返しの場合は10%加重)
  • 50万円越の部分・・20%⇒20%(繰り返しの場合は10%加重)
  • 更正・決定を予知しない修正申告・期限後申告・・5%⇒10%

重加算税

  • 過少申告加算税・不納付加算税に代えて・・35%⇒35%(繰り返しの場合は10%加重)
  • 無申告加算税に代えて・・40%⇒40%(繰り返しの場合は10%加重)

ここでの論点は2つですね。

更正(決定)を予知しない

改正前は税務調査による更正等を予知しないでされた修正申告等については、過少申告加算税は課されず、無申告加算税は5%でした。これを利用して、実際に税務調査が行われる前の通知の段階で自ら修正申告等をして、通常の加算税率を免れるといった手法がとられていました。
今回の改正はこのことに着目したものです。ただし、あくまで自主的な修正申告等であることを考慮されて通常の税率よりは低くなったようです。

繰り返しの場合

過去5年以内に、無申告加算税又は重加算税を賦課された者が、再び調査を受けて「無申告又は仮装・隠蔽」に基づく修正申告等を行った場合です。

罰則を強めて、課税逃れの牽制を強化するのが目的のようです。正しく申告・納税を行っていれば、関係のない話になります。

今日のさいたま市

今日は過ごしやすい天気でした。浦和駅の周辺を歩きましたが、15分ぐらい歩くと少し汗ばむ程度でした。

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さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

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関東信越税理士会浦和支部所属

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