Tag Archives: 贈与税

贈与を受けたら

「財産の贈与を受けたら贈与税がかかる。」

ご存知の方も多いと思います。ではそもそも贈与とは何でしょうか。
これは民法に規定されています。

「贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」

「無償で財産を与える」というのは、誰もが知っているところだと思いますが、これに加え、「相手方の受諾」があることが、贈与成立の要件となります。

冒頭の贈与税についてですが、

「贈与税は、個人から財産をもらったときにかかる税金です。」

と、国税庁のホームページで説明されています。これに加えて「会社など法人から財産をもらったときは、贈与税ではなく、所得税がかかる。」とも説明しています。

なぜ?と思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、贈与税については相続税法に定められています。贈与税法という法律はありません。贈与税は相続税の補完税としての性格を持ちます。
相続は死亡によって開始するものですので、死亡という概念がない会社などの法人は、相続税が発生しません。よって贈与税も発生しないことになります。個人が法人から無償で財産を取得したときは、個人の所得として所得税が課されることになります。

贈与税の制度は、ここ近年で複雑になってきています。簡単に概略をご紹介します。

暦年課税制度

贈与税の基本的な制度です。

1月1日から12月31日までの1年間に、贈与を受けた財産の合計額から110万円を控除した残額に、一定の税率を掛けて贈与税額が計算されます。

この110万円を贈与税の基礎控除といいます。贈与税は暦年課税ですので、毎年110万円を控除できます。
2015年から直系尊属(親、祖父母など)からの贈与の場合は特別税率が適用され、一部贈与税が軽減されています。

相続時精算課税制度

贈与税の基本は暦年課税ですが、相続時精算課税制度は特殊な課税制度です。

60歳以上の父母・祖父母から財産の贈与を受けた20歳以上の子や孫は、この相続時精算課税制度を選択することができます。

この制度は、その贈与を受けた財産の合計額の累計が2,500万円を超えたときに、その越えた部分に20%の贈与税が課せられます。
この20%の贈与税は、相続税の前払い的な正確をもちますので、相続があった時に精算されます。

相続時精算課税制度を利用するには確定申告が必要です。
また、一度相続時精算課税を選択した場合は、その後、暦年課税に戻ることはできません。

非課税

国の政策も相まって、贈与税の非課税制度も様々なものが打ち出されていますが、ここでは1つだけご紹介します。

マイホーム取得等資金の贈与税の非課税

2015年1月1日から2019年6月30日までの間に、20 歳以上で、その年の合計所得金額が2,000万円以下の人が、両親・祖父母等からマイホーム取得等のための金銭の贈与を受けた場合には、一定の金額を基礎控除額に上乗せした額まで非課税になります。

相続時精算課税制度や上記のような非課税制度は、その適用額が大きくなることが多く、その後適用ができないことが明らかになったときには、多額の贈与税が課せられる可能性がありますので、充分に準備をすることをお勧めします。

オータムジャンボ

オータムジャンボ宝くじのCMを見ました。

1等と前後賞を合わせた5億円…。史上最高額だそうです。
一昔前は、1等が1億円だったように記憶しています。宝くじ市場は景気が良いのでしょうか。
また、今回は宝くじ70周年だそうで、70万円の当選金が1300本用意されています。

せっかくなので税理士らしく税金の話をしたいと思います。

宝くじが当選したら

既にご存知の方も多いと思いますが、宝くじには税金はかかりません。

宝くじの正式名称は「当せん金付証票」と言います。そして、当せん金付証票法という法律に「当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。」(第13条)と明記されています。

住民税は?と思われるかもしれませんが、もちろん住民税もかかりません。住民税の計算では所得税の計算過程を流用します。宝くじの当選金は、所得税の計算に含まれないので、結果として住民税の計算にも含まれないことになります。

なお、住民税がかからないとは、収入に応じて税金を計算する「所得割」の部分です。収入に関係なく課税される「均等割」は、宝くじを購入していないときと同じで、いつも通りの金額が課税されます。
以上のように宝くじに当選しても、税理士いらずとなります。

当選後の注意点

当選金の使い道についてです。多額の当選金を獲得できた喜びをお裾分けする感覚で、一定以上の金品を他人に渡してしまうと、贈与税の課税対象となります。
高額な贈与ほど税率も高くなるので、何も知らずに高額な金品を渡してしまうと、大変なことになりかねません。

宝くじが当選したので、周りの人に何かあげたいというようなときは、税理士にご相談ください。

さて、オータムジャンボですが、発売期間は9月28日~10月16日で売切れ次第販売終了となります。

購入された方に、幸運があることをお祈りします。

結婚・子育て資金

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置が拡充される方向です。

平成28年度の税制改正の要望として出されています。

拡充の要望は結婚・子育て資金の対象費用で以下の通りです。

  • 不妊治療費用のうち、薬局に支払う医薬品代(処方せんに基づき処方されるものに限る)
  • 産前産後に係る母親の医療費、薬局に支払う医薬品代(処方せんに基づき処方されるものに限る)
  • 母親の産後健診費用

本決まりとなるかは分かりませんが、税制改正の要望はまだまだありますので、取り上げていきたいと思います。

教育資金贈与

教育資金贈与の件数が増加しているようです。

利用件数は145,000件に達し、贈与額の累計は1兆円を超えたそうです。

この制度は30歳未満の子や孫などへ教育資金として贈与した場合に1,500万円まで贈与税が非課税となります。

通常の贈与では、1年で110万円までが非課税となります。贈与資金の使い道は教育資金に限られますがまとまった資金を一括で贈与したい場合には有効な手段です。

特徴としては以下の通りです。

  • 金融機関などを通じて行う。
  • 学校等以外に支払う金銭については500万円を限度とします。
  • 受贈者が30歳になった場合に贈与した金額について残額があるときは、その残額について贈与税が課せられます。
  • 払出しに一定のルールがあります。

また、この制度のほか、扶養義務者相互間の生活費・教育費で通常必要と認められるものの贈与をした場合も贈与税は非課税となりますので、状況を考えて制度の適用を考える必要があります。

税理士は法律家

税理士よ法律家たれ」という言葉があります。

税理士というと、法律書ではなく電卓を片手に・・というイメージがあるのではないでしょうか。
事実、電卓を使うことのほうが多く、取り扱いを調べるときなどに法律を参照したりします。
上記の言葉は、「その電卓を使う根拠は法律に定められているのですよ」と再認識させられます。

「難解な税法」と言われますが、その種類の多さや関連性が主な理由になります。

簡単な例を1つ挙げます。

「1年で110万円までの贈与なら贈与税はかからない」を言うのはご存知の方も多いのではないかと思います。これを「贈与税の基礎控除」といいますが、その根拠を見てみます。

贈与税は相続税法に規定されています。贈与税法という法律はありません。
そこでは、「贈与税については、課税価格から60万円を控除する。」(相続税法第21条の5)とされています。

110万円では・・?

ここで、もう1つの法律が絡んできます。租税特別措置法です。
この法律は、世の中の経済状況等に応じて特別に作られた法律です。

ここで、「平成13年1月1日以後に贈与により財産を取得した者に係る贈与税については、相続税法第21条の5の規定にかかわらず、課税価格から110万円を控除する。」と規定されているのです。

相続税法第21条の5の規定を見たときに、租税特別措置法にも規定がありますよという案内はありません。
これは、相続税法より租税特別措置法が優先されるのが大前提となっているからです。

このようなことから「税理士よ法律家たれ」と言われる所以がありそうです。

農地の適正課税滞る

耕作放棄地の多い100市町村の9割近くが、税法が定める毎年の土地利用状況の確認調査を行わず、適正に課税できなくなっていると新聞記事にありました。

耕作放棄地とは、耕作をやめ今後も再開するつもりのない土地です。農地を相続したものの、会社勤めなどで耕作していないものが多いようです。放置しても課税上は固定資産税が軽い農地と見なされる限り年間の保有コストは非常に低くなります。このため商業施設や道路への転用による値上がりを期待して持ち続けるケースが多いようです。

地方税法に基づき市町村は毎年、土地の利用実態を調べて宅地、田、畑、雑種地など土地の種類を定めます。その種類に沿って市町村が土地の評価額と固定資産税額を決めます。売買や転用に制限のある土地は評価額が宅地や雑種地より低いため税金が安くなります。評価額の大々的な見直しは3年に一度ですが、利用実態が大きく変わった場合は評価替えの年でなくても見直すことになっています。

現況確認の実施状況を耕作放棄地の面積が大きい全国100の市町村へ聞き取り調査した結果では、毎年現況を確認していると答えたのは13市でした。56市は現況を確認しているものの、頻度は3年に1度程度。31市町村は3年に1度のペースでも確認せず、ほとんど現況把握していないとする自治体もありました。調査を先送りする理由として人手不足や財政難を挙げた市町村が多いようです。

現況確認がおざなりになると、耕作をやめた土地も農地として格安の税金で持ち続けられるため、農地の取引が進まず、新たな農業の担い手が農地を確保できない悪循環となっているようです。

政府は放棄地の解消に向けて課税強化の検討を提案し、成長戦略に遊休農地等の課税の強化・軽減等の検討が盛り込まれました。

路線価

7月1日に路線価が公表されました。

路線価とは主な道路に面した土地の1㎡当たりの評価額を国税庁が1月1日の時点で算定したもので、相続税贈与税を計算する基準になります。

路線価が上昇すれば相続税を計算する際の土地評価額も上がるので相続税は増えます。

路線価は全国平均で去年から0.4%下回り、リーマンショック以降7年連続の下落となりましたが、下げ幅はこの7年で最も小さく下げ止まりの傾向が強まりました。

一方で再開発が進み、海外からの投資資金が集まっている東京・大阪・愛知の大都市や、東日本大震災の被災者が移転するための住宅地の需要が大きい宮城、福島など10の都府県では、去年より上昇しました。

埼玉県内の最高路線価は、さいたま市大宮区桜木町2丁目の大宮駅西口駅前ロータリーで1㎡当たり2,580,000円で去年に比べ170,000円上昇しました。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

お問い合わせはこちらから