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自動仕訳もひと手間かかる?

先日、クラウド会計の記帳方法の特徴を取り上げました。
クラウド会計業界では記帳作業の負担が少なくなるということを売り文句に宣伝していることがほとんどではないでしょうか。
利用者自体もそれを目当てに導入された方も多いはずです。

さて、記帳作業の負担を最大限減らそうとすれば、前回の「口座情報を登録して取引内容を自動で会計ソフトに読み込ませる」という機能を使うのが最も効果的です。なにしろ放っておいても取引内容を取得してくれるわけですから。

この機能は、「自動仕訳」、「自動同期」、「自動読込」、「自動で経理」など様々な言われ方をします。
ただ、これらの言葉がそれぞれ指し示すものは、本来異なります。

銀行口座の取引内容を自動で読み込むという視点でみれば、「自動同期」、「自動読込」が正しい表現です。

確かに、あらかじめ条件設定をしておけば、自動同期をしたうえで仕訳の作成まで自動で行う機能を有しているものもあります。「自動で経理」というは、もっと包括的な言い回しですね。

このブログのタイトルに「自動仕訳」を用いたのは、クラウド会計のイメージとして「自動」が先行してしまい、クラウド会計を導入すれば、会計処理は不要と考えている方も少なくないからです。

重複しますが、クラウド会計で「自動」と呼ばれる機能の根本は、「自動同期」、「自動読込」です。
2つあるとややこしいので、以下「自動同期」で表します。

そうなるとタイトルも「自動同期もひと手間かかる?」になりますが、これには電子証明書が関係してきます。

電子証明書は、文字通り電子的に本人であることを確認する証明書です。ICカードや特定のパソコンなどに格納されます。これが金融機関などの認証方式として使われています。法人利用に対して電子証明書が発行されることが多いようです。

何を言いたいのかというと、

「電子証明書方式となると、ICカードを持つ人や特定のパソコンでからでないと、金融機関にログインできない」

ということです。つまり、

「クラウド会計の自動同期はできない」

となります。今までクラウド会計にログインしたら既に読み込まれていた取引内容が、電子証明書方式となると、読み込む作業が必要になります。しかも、同期するにはICカードや電子証明書が格納された特定のパソコンが必須です。

セキュリティー面を考えると仕方のないことなのかもしれませんが、電子証明書が格納されたパソコンがデスクトップパソコンだとしたら、外出先での同期はできなくなりますし、ICカードでもカードリーダーが必要になります。

ただ、同期が済めばそのデータはクラウド会計上にありますので、登録作業などは今までどおり、どの端末からでもできます。

クラウド会計の記帳方法

先日、「クラウド会計。安全性への取組」の中でもご紹介しましたが、クラウド会計の特徴の1つとして、「通帳やクレジットカードの使用履歴を自動で読み込める」というものがあります。
以前にも少し取り上げたことがある内容ですが、ここでは銀行口座の記帳方法を例として、改めてみてみたいと思います。

記帳方法は基本的に3種類

クラウド会計における銀行口座の記帳方法は基本的に3つの方法があります。

  1. 口座情報を登録して取引内容を自動で会計ソフトに読み込ませる
  2. 銀行口座から取引内容を取得して、会計ソフトにアップロードする
  3. 会計ソフトに手入力する

です。

クラウド会計を使っている人で、「3」を実施している人は少ないと思います。
はっきり言ってしまえば、手入力するのであればクラウド会計を利用するメリットはありません。強いて言うのであれば、ネット環境さえあれば、どこからでも利用できるぐらいです。

そもそも手入力用にシステムが作られていないため入力作業に手間がかかるばかりか、一つ一つの作業がネットを介して行われるので時間もかかります。

よって、クラウド会計を使うのであれば、「1」か「2」の方法となります。それぞれの特徴は以下の通りです。

  1. 自動読込
    • 銀行口座のIDやパスワードをクラウド上に登録しておく必要がある。(流出のリスクがある)
    • 放っておいても、自動で会計ソフトに読み込んでくれる。
  2. 手動アップロード
    • IDやパスワードの登録の必要はない。(会計ソフトからの流出はありえない)
    • 銀行から取引内容の取得、会計ソフトへの読込は自分で行わなければならない。

IDやパスワードに関する取り扱いについては、先日の通りこれから変わっていく可能性があります。
いずれの方法をとったとしても会計ソフトへ読み込んだ後は、仕訳として登録する作業があります。

厳密に言うと、この登録作業が帳簿へ記帳するということになります。
この登録作業ですが、確認・編集・登録ということになります。

データ自体は先のいずれかの方法で、会計ソフトに読み込まれていますので、日付や金額はあらかじめ入力されています。摘要には通帳に印字される内容が入力されています。
また、勘定科目も会計ソフト会社がこれまで蓄積したデータを元に予測入力されていることもあります。

帳簿の記帳要件は、取引日、取引金額、取引の相手方、取引の内容が必要となりますので、これらを満たすように確認・編集・登録することになります。

なお、電気代やガス代といったものに代表されるように、毎月同じ取引先から決まった取引があるような場合は、あらかじめ設定することで、次回から登録作業自体の省略や、登録作業の短縮をすることができます。(これらの仕様はクラウド会計ごとに異なります。)

いずれにしても、登録作業を繰り返していくごとに作業効率を上げることができるように設計されています。

今回は、銀行口座を例に取り上げましたが、例えばクレジットカードなどインターネットを介してデータを取得できるもので、ソフト会社が対応しているものであれば、同様に利用することができます。

クラウド会計。安全性への取組

家計簿。
パソコンなどの機器が普及していますので、現在では手書きではなく、エクセルなどの計算ソフトを使って管理している人も多いと思いますが、それでも毎日(毎月)きちんと管理しようと思ったら中々の手間と労力を要します。
最近では、スマートフォンからも管理できる「家計簿アプリ」などもあり、人気が高まっているようです。

このようなアプリの特徴としては、

  • 通帳やクレジットカードの使用履歴を自動で読み込める
  • 領収書などをカメラで取ってその内容を読み込める

ことにあります。

この2つの特徴は、freeeやMFクラウド会計などに代表されるクラウド会計サービスにもあります。

家計簿アプリとどちらが先かはわかりませんが、家計簿の「簿」は帳簿の「簿」です。つまり、会計帳簿のシステムを家庭用にカスタマイズされたものが家計簿になりますので、「家計簿アプリ」はクラウド会計のシステムを応用しているわけです。

こうした家計簿アプリや会計ソフトは、外部のサーバーなどに情報が格納され、パソコンやスマホからそこにアクセスして使用するといった仕組みです。
先に挙げた特徴で、通帳やクレジットカードの使用履歴を自動で読み込めるというのは、そのサーバーから金融機関やカード会社の端末に任意にアクセスできるように設定することになります。つまり、金融機関などのIDやログインパスワードをそのサーバー内に保存しておくことになるわけです。

こうした場合でも振込みなど実際にお金を動かすときには、別のパスワードが必要になるのが通常で、現在ではワンタイムパスワードなどを利用しないとネット上から振込みができない金融機関などが多くなってきていますので、実際にお金が勝手にどこかに振り込まれるといったリスクは小さくはなってきているといわれています。

そうはいっても、IDやログインパスワードが漏洩してしまえば、取引内容、残高、個人情報など様々な情報漏洩につながり、そのリスクは決して小さいものとはいえません。

このためクラウドサービスを提供する側は、その安全管理に万全を期さなければならないわけですが、今回は、このIDやログインパスワードを保存しないで今までどおり利用できるような取り組みが始まっているようです。

大手銀行が中心なようですが、銀行が安全性などを審査して問題がないと判断した事業者には、利用者の同意を条件に、口座の取引記録を提供するといったものです。
事業者が銀行にログインして必要な情報を取得するのではなく、予め決められたルールに従って、銀行から必要な情報が提供されるといった方式のようです。

また、サービス提供事業者を登録制にすることなどを盛り込んだ法案が国会に提出されています。

クラウド会計の現況

確定申告の時期になると、会計ソフトなどの宣伝を多く見るようになります。

新しく事業を始めた方にとっては、極々一部の方を除き、確定申告は避けては通れない手続きとなります。
事業を営む方の確定申告には、会計帳簿が必要になります。この会計帳簿の作成のために、その使用の有無も含めて会計ソフトを検討する事業者の方は多いのではないでしょうか。
そのため、この時期になると会計ソフト会社が宣伝をするようになるのですが、最近ではこの時期に合わせてというより、通年で宣伝を行っているような印象も受けます。

とはいうものの、事業を長年営んでいて、使い慣れた会計ソフトが既にある事業者より、新しく事業を始めて会計ソフトの導入を検討している事業者のほうが会計ソフト会社にとっては、売り込みやすいと思いますので、(既にはじまっているのかもしれませんが、)やはり、この時期の宣伝の機会は多くなるのではないでしょうか。

近年では、会計ソフトの宣伝といえば、クラウド会計ソフト会社の宣伝を多く見るような気がします。
会計ソフト業界では、新しい部類に入るクラウド会計ソフトですが、現況はどのような状況にあるのでしょうか。
株式会社MM総研さんがレポートを出していました。(ホームページで見ることができます。)

それによると、クラウド会計ソフトの認知度は65.7%ということでした。
その他にも、個人事業主の会計ソフト利用率は32.7%で、その内、クラウド会計ソフトのは9.7%ということが記載されていました。
この数字を高いと見るか低いと見るかは、それぞれによるところだと思います。

一方で会計ソフトを使用していない個人事業主はどのようにしているかというと、専門のソフトに頼らず、手書き、エクセルなどで自作している人が多いようです。
この他には、税理士や会計事務所への外部委託という人が12.9%いらっしゃるようで、私としてはこちらの数字のほうが気になってしまいます。

freeeとMFクラウド会計

クラウド会計ソフトを提供するfreee株式会社と株式会社マネーフォワードが法定で争うことになったようです。

両社は「freee」「MFクラウド会計」としてクラウド会計ソフトを提供しています。

業界では両社ともシェアベスト3に入る大手です。(集計の仕方が異なるためか、それぞれで発表している順位は異なるようです。)

クラウド会計といえば、自動仕訳が代名詞ですが、その自動仕訳に係る特許について、freee側がマネーフォワード側を提訴したということでした。

仕訳とは、勘定科目に日付、相手先、内容、金額を入力し、会計帳簿を作成する簿記の手続きです。
仕訳の手続きでは、日付、相手先、内容、金額は、通常であれば領収書などに記載されていますので、これらについては基本的には書き写すだけなのですが、これらの情報を元に勘定科目と呼ばれる項目を選択しなければなりません。

簿記の知識がある人であればそれ程苦労はしないのですが、そうでない人はその選択に苦慮することがあります。

自動仕訳は、この勘定科目を選択する作業を自動で行う機能となります。

ただ、自動仕訳は単純な入力作業の時間を減らすという部分では役立ちますが、すべてを正しく選択してくれるわけではありません。
そのため、この自動仕訳の精度が、クラウド会計ソフトを提供する会社の強み(財産)となりますので、今回の提訴もこのようなことが背景にあるのでしょう。

会計は税理士とは切っても切れない関係ですので、これらクラウド会計ソフトを利用している税理士も数多くいます。
私自身も、「freee」「MFクラウド会計」の両会計ソフトを業務に使用しています。

サービスを提供する会社にとっては、まさしく競合する部分ですのでこのような争いは仕方のないことなのかもしれませんが、この問題によってどちらかのソフトが使いづらくなるということがないことを願うばかりです。

freeeで法人税申告?

クラウド会計ソフトのfreeeが税務申告ソフトを提供するという報道がありました。

この報道を見た私の最初の感想は「え!そうなの?」です。

というのは、幣事務所のホームページにもあるように、私自身税理士という立場で、freeeの認定アドバイザーとなっていますが、そのような案内を受けていないからです。(見落としている可能性も否定できないのですが・・・。)
まだ、公式発表というところまで至っていないのかもしれませんね。

とはいうものの税務申告となれば、まさしく税理士の根幹業務ですので、注目せざるを得ません。
記事によると会計データと連携してクラウド上で法人税の申告書を作成でき、電子申告にも対応し、来年の1月から提供が始まるとのことでした。

クラウド会計ソフトが世の中に登場した当時から、このように発展していくのは誰もが想像していたことですので、その点については驚きはないのですが、提供開始まであまり期間がないことを考えると、詳細を知ることができるのは、提供された後になるのかもしれません。

クラウド会計ソフトが登場した当時は、税理士の仕事がなくなるなどど騒がれたこともありました。
いわゆる記帳代行という仕事がなくなるのでは、という懸念からです。

実際にどうかといえば、あくまで個人的な感想ですが、それ程変わっていないのかなという印象です。税理士に頼らずfreeeに自分自身で記帳する方もいらっしゃると思いますが、反対に、freeeに記帳された内容を見てほしいとご依頼を頂くこともあるからです。

今回の税務申告ソフト提供となれば、クラウド会計ソフトの登場に続く、セカンドウェーブとなるわけですが、波に飲まれず、波に乗れる税理士でいられるよう精進したいですね。

freeeの請求書

「この日までの売り上げの請求書を作って、その入金は翌月の末日。」

商売を行っていれば必ずあるルーティンではないでしょうか。
これら一連の流れも帳簿に反映させなくてはなりません。

通常は

  1. 請求書を作成
  2. 帳簿に記帳

というのが、請求を行うまでの一連の流れですが、freeeではこの作業を一つにまとめることができます。

freee上で請求書を作成すると、作成するとまだ入金されていないものは未入金分として処理されます。
そして例えば銀行口座に入金があった場合には、freeeとデータを結び付けていれば、freeeで作成した「口座」にも入金となります。

ここで登録の際に「この入金はこの未入金の請求書の分ですよ」とする処理をします。
こうすることで、未入金の請求書がなくなり、「口座」の入金は売上代金であるという処理が完了します。

これを複式簿記で表すと、

請求書作成時は(借方)売掛金(貸方)売上
入金時は(借方)普通預金(貸方)売掛金

となります。「売掛金」はまだ入金されていない売上を表す勘定科目です。「借方」がプラスで「貸方」がマイナスになりますので、入金時には「売掛金」は0円ということになります。

このことからもわかる通り、売り上げとその入金の管理は簿記上は売掛金で行うことになります。取引相手すべてについて「売掛金」を用いるので、数が多くなるとその管理が大変になります。(管理しやすくする方法はもちろんあります。)

freee上で請求書を作成すると、「未入金はこの請求書、入金があったのはこの請求書の分」といった実際の取引に近い感覚で処理することができ、その処理結果が複式簿記の仕訳として表されます。

この請求書の内容を帳簿に反映させるシステムは他のクラウド会計ソフトでも提供されていて、有償の場合が多いのですがfreeeは無料です。

クラウド会計?

クラウド会計って何?

そう思われている方も少なからずいらっしゃると思います。

今回はその特徴を少しご紹介したいと思います。

自動仕訳入力

クラウド会計最大の特徴です。

自動仕訳入力とは、銀行やクレジットカードの取引履歴をインターネット上で会計ソフトに取り入れて、帳簿入力を自動で行うことができます。

初めて取り入れる場合には、仕訳に反映させるため登録設定作業が必要ですが、登録後の同じ取引は、以後自動で仕訳を作成されます。

例えば、光熱費の支払などは一度登録すると、その後は自動で仕訳になります。

使用する機器を問わない

クラウド会計は、ソフト会社のサーバーにアクセスして処理するため、インターネットに繋がる環境にあれば、使用する機器を問わない。

パソコン、タブレット、スマートフォンのいずれでも処理が可能です。

また、OSもWindows、Macなどどれでも可能です。

使用権限を使い分ける

複数のIDを用いてそれぞれで使用権限を使い分けることができます。

例えば、経費の精算などで、使用した本人に入力権限のみを与えて、直接帳簿付けを行わせることができます。

他のアプリと連携

レジアプリなど他のクラウド型アプリと連携して、自動仕訳入力をすることが可能です。

請求書などからも自動仕訳が可能

会計ソフトに内臓、又は連携されている請求書機能を使うことで、その内容を自動で帳簿に入力することができます。

上記の特徴は、いずれもプラス面の特徴ですが、通常の会計ソフトに比べて見劣りする面もあります。

反応が遅い

常にサーバーと通信するため、処理反応がパソコン内にインストールして使うソフトに比べ遅くなります。

仕訳の手動入力や入力後の操作量が多くなるなる場合には、むしろ時間を要してしまうかもしれません。

インターネットに繋がらないと使用できない

インターネットに繋がらない環境となった場合には、帳簿の入出力など一切の処理ができなくなります。

情報流出の危険性

最近の報道等にもあるように、リスクが全くないとはいえないと思います。

ただし、情報を自身で保管する場合にもリスクはありますので、安全性についてどのように考えるかという面もあります。

ここまでクラウド会計の特徴として述べさせていただきましたが、あくまでも一般的な事例です。ソフト提供者によってサービス異なりますので、詳細はそれぞれのソフト提供者のホームページなどでご確認ください。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

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