Category Archives: 2017年度

届出書等の手続き簡素化

本日で3月も終わりです。明日から4月です。
4月から新年度ということもあり、新しい制度が始まったり、値上げや値下げなどの適用があったりと動きのある時期です。

税制も然り。税制改正があると大抵、「この法律は、○○年4月1日から施行する。」などと法律に書かれています。
本年度の税制改正も一昨日の3月27日に法律が成立しました。

改正の概略や詳細などはまた機会のあるときにご紹介できればと思いますが、今回はこの改正の内容の1つ、法人設立届出書等の手続き簡素化について、取り上げてみたいと思います。

国税庁のホームページでも他の改正内容を差し置いて、この手続き簡素化について新着情報として掲載しています。
明日の4月1日から適用されますので、明日届出等をする方たちに合わせてのことだと思います。

変更点は2つで、

  • 登記事項証明書の添付省略
  • 異動届出書等の提出先のワンストップ化

です。

一例ですが、法人を設立した場合、税務署に届出が必要になります。
法人設立届出書といいますが、これに今までは登記事項証明書の添付が必要でした。登記事項証明書は法人の登記が終了した後に取得できる証明書ですが、この添付が不要になります。

もう1つの異動届出書等の提出先のワンストップ化ですが、こちらも一例をあげてみます。
納税地を異動した場合には届出が必要になります。
納税地を所轄する税務署がそれぞれありますので、異動によって所轄する税務署が変われば、今までは異動前と異動後の2箇所の税務署長に届出をしなければなりませんでした。
これが、異動前の1箇所で済むようになります。文字通りワンストップ化です。

税理士はこれらの手続きに携わることが多々ありますが、これらは登記事項の照会や税務署間のやりとりで確認がとれるはずですので、税務署側での処理を期待していた税理士は少なくないはずです。

ただ、税務署側で処理するにしても、今まではその手続きが大変だったのかもしれません。
この手続きの簡略化が実現したのは、ICT化とマイナンバー制度が関係しているのではないでしょうか。

H29税制改正大綱

少し遅くなりましたが、今月の22日に閣議決定され、平成29年度税制改正の大綱が発表されています。

今月の初旬に自由民主党・公明党の両名で平成29年度税制改正大綱発表されたことを取り上げましたが、閣議決定を経て、これを財務省で取りまとめたものが、今回の平成29年度税制改正の大綱となります。
こちらは財務省のホームページからダウンロードすることが出来ます。

税理士という職業柄、発表された日に取り上げるべきものなのかもしれませんが、ざっと見たところ、与党の税制改正大綱と内容が変わっていないように思えます。見比べてみると判りますが、レイアウトも同じです。
100ページ以上に及ぶ内容ですので、中には変更点などがあるのかもしれませんが、大勢に変化がないことは間違いないでしょう。

ただ、今回の発表に付随して大綱の概要が掲載されています。
100ページ以上の内容を読むより、文字通りこちらのほうが概要を把握するのには適していますので、そのタイトルだけでもご紹介致します。

  1. 個人所得課税
    • 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し
    • 積立NISAの創設
  2. 資産課税
    • 事業承継税制の見直し
    • 国外財産に対する相続税等の納税義務の範囲の見直し
    • 居住用超高層建築物に係る課税の見直し
    • 償却資産に係る特例措置の対象追加
  3. 法人課税
    • 研究開発税制の見直し
    • 所得拡大促進税制の見直し
    • コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備
    • 中堅・中小企業の支援
    • 地方拠点強化税制の拡充
  4. 消費課税
    • 酒税改革
    • 車体課税の見直し
    • 到着時免税店の導入
    • 仮想通貨の消費税非課税化
    • 地方消費税の清算基準の見直し
  5. 国際課税
    • 外国子会社合算税制の見直し
  6. 納税環境整備等
    • 国税犯則調査手続等の見直し
    • 災害に関する税制上の措置
  7. 関税
    • 暫定税率の適用期限の延長等
    • 旅客及び航空貨物に係る事前報告制度等の拡充

「概要」の冒頭には、なぜこのような税制改革を行うのかという、いわゆる前文がありますが、タイトルを先に見てしまってもなんとなくその目的も見えくるのではないでしょうか。

配偶者控除~H29税制改正大綱

平成29年度税制改正大綱の内容を見ていきたいと思います。

第1回目は配偶者控除・配偶者特別控除です。

法案が可決すれば、所得税は平成30年分から、住民税は平成31年度分から適用される予定です。
早速内容を見てみましょう。

大きくみると、改正の内容は2つです。

  • 配偶者控除に所得者本人の所得制限が加えられたこと
  • 配偶者特別控除に該当する配偶者の所得制限が拡大されたこと

それでは、詳しく見てみましょう。

配偶者控除

所得者本人の所得制限が加えられ、本人の所得によって段階的に控除額も引き下げられます。
表にすると以下の通りとなります。

配偶者が70歳未満 配偶者が70歳以上
本人の合計所得金額 控除額
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1000万円以下 13万円 16万円
1000万円超 控除なし

配偶者特別控除

適用の対象となる配偶者の合計所得金額の限度額が76万円未満から123万円以下となりました。
また、適用について所得者本人に所得制限があるのと、配偶者の所得に応じて段階的に控除額が引き下がるのは現在も同様ですが、所得者本人の所得に応じても控除額が引き下がるようになっています。

本人の合計所得金額
900 万円以下 900万円超

950万円以下

950万円超

1,000万円以下

配偶者の合計所得金額 控除額
38 万円超85 万円以下 38万円 26万円 13万円
85 万円超90 万円以下 36万円 24万円 12万円
90 万円超95 万円以下 31万円 21万円 11万円
95 万円超100 万円以下 26万円 18万円 9万円
100 万円超105 万円以下 21万円 14万円 7万円
105 万円超110 万円以下 16万円 11万円 6万円
110 万円超115 万円以下 11万円 8万円 4万円
115 万円超120 万円以下 6万円 4万円 2万円
120 万円超123 万円以下 3万円 2万円 1万円
123万円超 控除なし

注意事項

今回取り上げたものは法律として決まったものではありません。
今後の動向によりその内容が変わる場合も考えられます。

 

与党平成29年度税制改正大綱

先日、自由民主党・公明党の両名で平成29年度税制改正大綱が発表されました。
両政党のホームページにアップされているので誰でも見ることが出来ます。

税制改正大綱というと、もう1つ、財務省のホームページから見ることができるものがありますが、位置づけ的には別のものとなります。
与党の税制改正大綱を財務省が取りまとめたものが、財務省のホームページで見ることができる税制改正大綱です。
現時点では、財務省のホームページには平成29年度のものはありません。

それぞれ名称が同じなので分かりにくいですね。また、内容もそれ程変わらないことが多く、そもそも議席数を過半数以上持っている与党が作成した税制改正の大綱ですので、注目度は高くなるという訳です。税理士であれば尚更注目です。

なお、日常でそれほど使用する言葉ではないかもしれませんが、「大綱」とは、「事柄の根本となる骨組み(を述べたもの)。」ということで、税制改正の骨組みが発表されたということになります。

早速、ホームページから資料をダウンロードしてみると、141ページありました。
人によってはサッと読めてしまう量なのかも知れませんが、私はゆっくりとなりそうです。

目玉は配偶者(特別)控除?

今回の目玉は、何と言っても、配偶者控除・配偶者特別控除になるのではないでしょうか。

大綱が発表される前からその動向が注目され、その内容の見込みが報道されていました。
結果は、見込みどおりとなったようです。

現行の制度でも、一定の収入があるため配偶者控除の適用とならない場合も配偶者特別控除として控除することができますが、その配偶者の収入が大きくなるに連れて控除額が小さくなります。現行では、給与収入であれば105万円以上で控除額が少なくなっていきます。

改正案では、150万円を超えなければ配偶者控除と同額の38万円の所得控除を受けることができるようになります。

大綱の内容については機会を見て取り上げていきたいと思います。

所得税も大改正?

昨年の2015年は相続税の大改正がありました。

大改正と銘打たれたのは、相続税を計算する過程で必ず用いる「遺産にかかる基礎控除額」の引下げがあったからです。
これにより、今まで相続税の課税対象者とならなかった人も課税対象者に含まれるようになりました。

税制の見直しは、今度は所得税に、そのお鉢が回ってきたようです。

女性活躍社会の実現を御旗の印として、配偶者控除の廃止などは以前より取り上げられていましたが、ここへきて、基礎控除や給与所得控除なども見直しの対象とされる動きが出てきているようです。

政府の税制調査会で、案として挙げられています。

世間でいわれる税制調査会は2種類あります。1つは政府の税制調査会「政府税調」です。
ここでは基本的には財務省が取り仕切り全体像を示すようです。これを踏まえて、もう1つの税調である与党、自由民主党の税制調査会「自民税調」が税制改正について議論するようです。
いずれにしてもこの2つの税調から発せられる内容は、税に関することを生業とする私達税理士はもとより、実際に納税者となる国民への影響は少なくありません。

まだこのような見直しが現実となるかどうかは、分かりませんが、基礎控除と給与所得控除について簡単に触れてみたいと思います。

基礎控除

所得税の計算には、所得控除というカテゴリーがあります。税額の計算の基礎となる「所得」は、人によってそれぞれ変わりますが、この所得控除の項目は、ある意味で一定です。その項目の要件に該当さえすれば控除を行うことができます。
その中で無条件で控除ができる項目が基礎控除です。誰でも受けることができるので「基礎」となっています。

基礎控除の金額は38万円です。

給与所得控除

サラリーマンなどの給与所得者は、給与として得た収入から一定の金額が控除されています。この控除を「給与所得控除」といいます。給与所得は所得の性質上、経費という概念がない、あるいは収入との関連付けが難しいため、収入金額を基礎にして一定の控除が認められています。

給与所得控除の金額は、最低で65万円、最高で230万円です。

今後に注目

見直すといっても、どのように見直されるかが重要です。一説によると、収入が低い人には手厚く、高い人には手薄くなるとも言われています。

基礎控除はすべての個人が、給与所得控除は給与を得ているすべての人が受けている制度です。
これらの制度が変わるとしたら、まさしく所得税の大改正となるのではないでしょうか。

配偶者控除見直しか?

所得税の配偶者控除の見直しが検討されるようです。

自民党の税制調査会の会長が、見直しを検討すると表明したそうです。
自民党の税制調査会は自民党の審議機関ですが、「税制調査会」は内閣府にもあり、こちらは法令に定められた機関です。
同じ「税制調査会」という名前なので、「自民税調」「政府税調」などと呼ばれることがあります。

所得税の配偶者控除は税制改正の都度、その名前が見え隠れしていた制度です。今回は政権与党である自民税調の会長の表明ですので、注目を浴びています。

この配偶者控除ですが、認知度はとても高い制度といえるのではないでしょうか。

パートで働く主婦が年収103万円を超えないように仕事を調整する、といったことはよくある話です。制度が良く知られている裏づけとなります。

ただ、年収103万円以内なら全てにおいて配偶者控除が適用できると思うのは間違いです。年収103万円以内でも適用とならない場合があります。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
103万円の真実

今回の見直しが検討された主な理由として

  • 直近の大改正から20年以上経過し、世の中がかなり変わってきている
  • 女性の社会進出のための後押しも必要

といったことがあげられているようです。

先に述べたように年収をコントロールするために仕事を調整することは現実に行われていることですので、仕事を調整しなければならない理由そのものを見直してしまおうというものになります。

とはいえ、この配偶者控除は約1400万人が適用している制度で、その適用を受けるのは仕事をしている人だけではなく、専業主婦の方もおります。廃止となってしまってはこのような人たちにとっては単なる増税となってしまいます。

こうした懸念を解消するため、夫婦であれば片働き共働きを問わず控除が受けられる「夫婦控除」といったものが創設される方向のようです。
また、年収要件なども検討されるようで、所得が高い人には適用されませんが、低い人には控除額を手厚くするといったことも検討されているようです。

このように見直し検討される一方、慎重論もあるようですので、実際にどのようになるかは本決まりまで注視するしかなさそうです。

配通者控除に関する見直しは、年末調整を始めとして、確定申告などにも影響を及ぼします。
税制の話なので当たり前ですが、税理士としては尚更注視していかなければなりません。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

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