Tag Archives: 固定資産税

固定資産税が3年間半額に

固定資産税が3年間半額になる。

なんともお得なフレーズですが、もちろん一定の条件があります。

固定資産税というと、土地や建物を思い浮かべがちですが、この半額の対象となる資産は「機械装置」です。

固定資産税の対象となる資産は大きく分けて、土地、建物、償却資産であり、土地や建物だけに思われがちなのは、住宅などを所有していれば、毎年5月の中頃にもなると固定資産税の納税通知書が送られてくるためです。

償却資産とは、簡単に言ってしまうと、土地・家屋以外の事業用資産です。ですので、事業を営んでいなければ縁のない税金です。
この償却資産は、毎年1月31日までに各自治体に申告をします。この申告の内容によって税金が課されます。

このことからも分かるとおり、今回の固定資産税3年間半額は事業者に対する制度です。一般家庭には関係ありません。

これは中小企業等経営強化法が本年の5月に成立したことによるものです。この法律は「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」が改正されたもので法律名も変わりました。

その概要はITの活用や財務管理の徹底と分析、それらに基づくきめ細やかな採算管理の導入などで生産性を高めることを条件に、固定資産税の減額様々な金融支援措置を講じるというものです。

また、法律名にもある通り経営強化を目的としています。「経営力向上」のための計画書作りと申請のサポートは経営革新等支援機関(認定支援機関)による業務として、法律のなかで位置づけられています。
この経営革新等支援機関は税理士も認定を受けているところが多くあります。

2016年7月からの施行ですのでまだ始まったばかりですが、具体的な取り扱い事例も順次増えていくのではないでしょうか。

対象者などは以下の通りです。

  • 対象者:資本金1億円以下の会社、 個人事業主など
  • 対象設備:160万円以上の機械及び装置であること(新品)
  • 要件:生産性が年平均1%以上向上する設備 など

長期優良住宅等の優遇措置その3

長期優良住宅等の優遇措置、第3弾です。

今回は、固定資産税の減額措置を紹介します。

現在、一定の要件を満たす一般新築住宅については、新たに固定資産税が課されることとなった年度から3年度分、その建物の居住用部分の床面積(1戸当たり120㎡を限度)相当分の固定資産税が1/2に減額されています。なお、その建物が中高層耐火建築物に該当する場合には5年度分減額されます。

認定長期優良住宅についても同様の制度がありますが、こちらは減額される期間が5年度分(中高層耐火建築物の場合は7年度分)と、一般新築住宅に比べてそれぞれ2年度分延長されてます。

中高層耐火建築物とは、地上階数3以上の耐火建築物又は準耐火建築物をいいます。

この減額措置の適用期限が2016年3月31日までだったのですが、2018年3月31日まで延長されています。

主な適用要件等は以下の通りです。

  • 居住部分の床面積の割合がその家屋の1/2以上であること
  • 1戸当たりの床面積が50㎡(1戸建以外の賃家住宅にあっては40㎡)以上280㎡以下であること
  • 認定長期優良住宅が新築された日から新たに固定資産税が課されることとなる年度(新築した翌年)の1月31日までの間に、認定長期優良住宅に係る減額申請書に長期優良住宅の認定を受けたことを証する書類(認定通知書の写し)を添付して申告書の提出をすること(書類の名称はさいたま市のものを使用しています)

続・タワマン節税

以前、タワーマンションの一室を購入することで相続税額を減額させるいわゆるタワマン節税に歯止めの動きが出てきていることを取り上げました。

その影響なのかタワーマンションの契約率が実際に下がっているようです。

株式会社不動産経済研究所によると、今年1月に1都3県で売り出された新築マンションの契約率は58.6%と前年同月より16.3%低下し、市況の好不況の境目とされる70%を2ヵ月続けて割り込んだそうです。
なかでも、20階以上のタワーマンションの契約率は32.0%となり、過去10年で最低ということでした。昨年の夏ごろは90%を越えていたということなので、かなりの急ブレーキぶりなのではないでしょうか。

前述の歯止めの動きを表す兆候も実際にあり、国税庁では評価額と実勢価格の乖離を調べていたり、総務省でもタワーマンションの評価に関する提案があったりしているようです。
ただ、こうした兆候はあるものの、実際には何も決まってはいませんので、現状は疑心暗鬼状態ということになるのかもしれません。

そもそもこのタワマン節税の歯止めの動きは、タワーマンションの高層階は「億ション」などと呼ばれるように高額なことが多いため、富裕層しか受けられない節税ということで、課税の公平の見地からよろしくないというものです。

しかしながら実際にお金を使えるのは、お金を持っている人だけという事実もあります。
実際の影響の程度は定かではありませんが、今回のような将来の動向を示す情報が流れただけで契約率は下がりました。これは、その分世の中にお金が回らなくなっていることも意味します。

原則論か、実態か、落としどころがどのようになるか、今後に注目です。

空き家解体

以前、今年の5月に全面施行された空家等対策の推進に関する特別措置法(通称、「空き家対策特別措置法」)に基づいて、行政代執行による取り壊しを取り上げました。

この決定に自治体が踏み切ったのは、固定資産税の納付状況だったようです。

空き家については、自治体も頭を悩ませているようで、今回の取り壊しも3年前からの懸案だったようです。

3年前に屋根の一部が落ちてきそうだとの近隣住民からの通報があり、自治体は倒壊の危険ありと判断し、登記簿や住民票、戸籍謄本を照会、周辺住民への聞き込みなどの調査を行ったのですが、所有権の行方をつかめず足踏みをしていたそうです。

建築基準法では所有者が確認できない危険な建物の撤去を認めていますが、「所有者の確認を尽くした」とする根拠を持てず断念していたそうです。今回の空き家対策特別措置法の全面施行により、自治体が持つ固定資産税の情報を所有者確認に利用することが可能になったことに伴い、固定資産税が納税されていないことを確認。これをもって「調査を尽くした」として、執行に取りかかったという経緯でした。

撤去に伴う費用負担は自治体が行いましたが、建物を撤去したとしても、土地は所有者不明のまま残りますので、雑草などの除去が必要となればさらに税金が投入されることになります。

固定資産税は、納税者自ら又は税理士が代わって税額を計算して納付するものではなく、自治体から納付する金額が通知されてきます。とすると、今後、この通知は不明な所有者に送り続けられるのでしょうか。

固定資産税

以前、固定資産税などの滞納を理由に公売かけられた物件の固定資産税が通常より高く評価されていたという事件がありました。税金の過大納付分は戻ってきたものの、公売された物件はすでに第三者に渡ってしまったため、戻ってこないという悲劇でした。

総務省の調査によると700人に1人の割合で徴収ミスがあったそうです。

「制度が複雑すぎて、職員が慣れるのに時間がかかる」というのが、主な理由だそうです。

例えば、 家屋の評価額は、屋根は金属製か樹脂製か、瓦のグレード、外壁はタイルか板張りかなど建材に応じた評価額を求められます。

自治体にどういった評価システムがあるのかは分かりませんが、家屋の評価ひとつとっても自治体内の家屋すべてに評価を行うわけですからその煩雑さは想像がつきます。

とはいえ、上記のような徴収ミスは決して許されるものではありません。

 

農地の適正課税滞る

耕作放棄地の多い100市町村の9割近くが、税法が定める毎年の土地利用状況の確認調査を行わず、適正に課税できなくなっていると新聞記事にありました。

耕作放棄地とは、耕作をやめ今後も再開するつもりのない土地です。農地を相続したものの、会社勤めなどで耕作していないものが多いようです。放置しても課税上は固定資産税が軽い農地と見なされる限り年間の保有コストは非常に低くなります。このため商業施設や道路への転用による値上がりを期待して持ち続けるケースが多いようです。

地方税法に基づき市町村は毎年、土地の利用実態を調べて宅地、田、畑、雑種地など土地の種類を定めます。その種類に沿って市町村が土地の評価額と固定資産税額を決めます。売買や転用に制限のある土地は評価額が宅地や雑種地より低いため税金が安くなります。評価額の大々的な見直しは3年に一度ですが、利用実態が大きく変わった場合は評価替えの年でなくても見直すことになっています。

現況確認の実施状況を耕作放棄地の面積が大きい全国100の市町村へ聞き取り調査した結果では、毎年現況を確認していると答えたのは13市でした。56市は現況を確認しているものの、頻度は3年に1度程度。31市町村は3年に1度のペースでも確認せず、ほとんど現況把握していないとする自治体もありました。調査を先送りする理由として人手不足や財政難を挙げた市町村が多いようです。

現況確認がおざなりになると、耕作をやめた土地も農地として格安の税金で持ち続けられるため、農地の取引が進まず、新たな農業の担い手が農地を確保できない悪循環となっているようです。

政府は放棄地の解消に向けて課税強化の検討を提案し、成長戦略に遊休農地等の課税の強化・軽減等の検討が盛り込まれました。

空家等対策の推進に関する特別措置法

先日、空家等対策の推進に関する特別措置法(通称、空き家対策特別措置法)が完全施行となりました。
この背景としては「適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用のため対応が必要」ということだそうです。

施策の概要は以下の通りです。

国による基本指針の策定・市町村による計画の策定等

  • 国土交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策の基本指針を策定
  • 市町村は、国の基本指針に即した、空家等対策計画を策定・協議会を設置
  • 都道府県は、市町村に対して技術的な助言、市町村相互間の連絡調整等必要な援助

空家等についての情報収集

  • 市町村長は、
    • 法律で規定する限度において、空家等への調査
    • 空家等の所有者等を把握するために固定資産税情報の内部利用等が可能
  • 市町村は、空家等に関するデータベースの整備等を行うよう努力

空家等及びその跡地の活用

市町村による空家等及びその跡地に関する情報の提供その他これらの活用のための対策の実施

特定空家等に対する措置

特定空家等に対しては、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言又は指導、勧告、命令が可能。
さらに、要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行が可能。

財政上の措置及び税制上の措置等

市町村が行う空家等対策の円滑な実施のために、国及び地方公共団体による空家等に関する施策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の拡充を行う。
このほか、今後必要な税制上の措置等を行う。

この法律は固定資産税等に影響を及ぼします。

市町村長から特定空家等の所有者等に対して周辺の生活環境の保全を図めに必要な措置をとることの勧告があった場合は、その特定空家等の敷地について固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されることになります。

現在の住宅用地特例は、固定資産税の課税標準が

  • 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)   1/6
  • 一般住宅用地(200㎡を超えるの部分)  1/3

に軽減されていますが、この適用がなくなります。

なお、特定空家等とは

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

にあると認められる空家等をいいます。

参考資料:空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26 年法律第127 号)の概要より

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

お問い合わせはこちらから