Monthly Archives: 2月 2017

地方交付税がない23区

前回、地方交付税は、国が地方に代わって徴収する地方税で、合理的な基準によって地方に再配分する税金ということが分かりました。
ただ、再配分というより、そもそも交付の対象となっていない団体があります。東京都の23区です。
一体どういうことなのでしょうか。

東京都の23区のことを特別区といいますが、この特別区というものに交付の対象とならない原因があるようです。

日本の地方自治制度は、都道府県、市町村として成り立っているのはご存知の通りです。
ただ、その中にも大都市制度として指定都市制度、特別区制度というものがあります。政令指定都市、23区がそれぞれの制度に該当するものです。

特徴は、政令指定都市が府県の行う事務の一部を担いますが、特別区は、一般的に市町村が行う事務を行うとともに、都が市の事務の一部を担うということになります。
さいたま市は政令指定都市ですので、通常の市町村よりも大きな権限をもっているということになります。

特別区には、原則として市に関する規定が適用されますが、東京都の内部的な特別地方公共団体であると位置付けられているそうです。
このため、地方交付税の算定上、東京都と特別区は一体として一つの団体とみなされ、各特別区は地方交付税の直接的な交付対象団体とならないことになっています。

ただ、交付とならないのは直接的な場合であって、間接的には交付となる仕組みはあります。
特別区は東京都によって財政調整が行われ、交付金が交付されます。また、東京都自体は、地方交付税の交付対象団体ではあります。

しかし、実績をみると、東京都は地方交付税の算定の結果、基準財政収入額が基準財政需要額を上回り、財源超過と計算されるため、地方交付税が交付されていません。

先日、ふるさと納税制度により、23区の税収は130億円減少する見通しという報道がありましたが、国からは補填されないということになります。

地方交付税

先日、ふるさと納税の話の中で地方交付税というものがでてきました。どのような税金なのでしょうか。

「税」という名前が付いていますので、税理士なら当然知っているでしょう?と思われるかもしれませんが、実はこれ、税理士の管轄外の税金となります。
というのも地方交付税は、国が地方に代わって徴収する地方税で、合理的な基準によって地方に再配分する税金です。
いわば税金の使い道に関するものですので、出口側の話となります。税理士の仕事は入り口側(納付する側)に関するものですので、分野が異なるものとなります。

地方交付税について調べると、総務省のホームページにその概要が記されています。その中から搔い摘んでご紹介したいと思います。

地方交付税の目的は上記の通りですが、その財源はどのようになっているのでしょうか。
私達納税者は法人税や所得税といった税金を納めていますが、地方交付税という税金を納めたことはありません。

その答えはホームページに記されています。現在の地方交付税は、所得税・法人税の33.1%、酒税の50%、消費税の22.3%及び地方法人税の全額から構成されているそうです。

そして、再配分される基準ですが、以下の通りとなります。

  1. 各団体の普通交付税額=財源不足額
  2. 財源不足額=基準財政需要額-基準財政収入額

基準財政需要額は、実績額でもなければ予算額でもなく、法律で定められた単位費用(測定単位1当たりの費用)に測定単位と補正係数を乗じて計算されます。算式で表すと

基準財政需要額=単位費用×測定単位×補正係数

となります。

基準財政収入額は、標準的税収入見込額に基準税率を乗じて求められるようです。
標準的税収入見込額とは、標準税率によって算定された法定普通税収等の見込額。基準税率は75%となっています。

ふるさと納税は地方交付税で補填?

2008年度の税制改正によって導入されたふるさと納税。つい最近出来た制度のように思えますが、こうしてみるとけっこう年月が経過しているのがわかります。
最近では、詳しいことは知らないけれども、名前と概要ぐらいは知っているという人も多いのではないでしょうか。

現在でも報道などで時折、取り上げられています。
ただ、最近ではその内容が、ふるさと納税により税収が減っている自治体に関するものを目にする機会が多くなったような気がします。

ふるさと納税は、「納税」という言葉が入っていますが、行うのは自治体に対する寄付です。ただ、その寄付をすることで、その寄附額のうち2,000円を越える部分について、一定の上限はあるものの、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です。
結局、本来納付すべきであった税金が、寄付をした自治体に移転するという結果になりますので、「納税」という言葉が使われているのだと思います。

このことからも分かるとおり、本来納付すべきであった税金をどの自治体が寄付として受け取るかということになりますので、どこかの自治体が寄付として受け取れば、その分、他のどこかの自治体の税収は減るわけです。
ふるさと納税に伴なう返戻品の人気なども影響して、いわゆる勝ち組と負け組の自治体が生まれています。

税収が減ってしまった自治体は、その行政に影響が及ぶかもしれないといわれることもあるようですが、あまり知られていませんが、ふるさと納税の影響で税収が減ってしまっても、結果として国から補填される仕組みがあります。地方交付税と呼ばれるものです。

地方交付税は、自治体間の財源の不均衡を調整し、全ての団体が一定の水準を維持できるよう、税金を国が代わって徴収して再配分するというものです。

ただ、すべての自治体が補填されるというわけではなく、判定の結果交付とならなかった自治体や東京都の特別区などは、ふるさと納税の影響で税収が減少しても、補填されないということになります。

社会的関心と忘れられる権利

忘れられる権利。このフレーズを覚えている人も多いのではないでしょうか。

EUの最高裁判所にあたるヨーロッパ司法裁判所が、グーグルに対して過去記事の削除が求められた事件についてその訴えを認め、忘れられる権利が認められたとして当時話題になりました。3年前の出来事です。

実はこの忘れられる権利ですが、日本でも争われていたようです。

逮捕歴のある男性が、インターネットで当時の記事が検索されないように検索結果の削除を求めた裁判がありました。
一審のさいたま地方裁判所では、削除。二審の東京高等裁判所では、削除しない。と判決が真逆となり、最高裁判所にその判断が委ねられることになった裁判です。

日本の裁判制度は三審制となっていますが、最高裁判所までその判断が委ねられることは稀。ということを聞いたことがあります。最高裁判所で判断すべき事案ということになるのでしょうか。

さて、最高裁判所の判決ですが、この男性の申し立ては退けられました。
では忘れられる権利は認められないのか。というと話はまだ終わっていないようです。

今回の判決で、インターネットの検索は、膨大な情報から必要なものを入手する情報流通の基盤。としつつも、社会的な関心の高さや、本人が受ける損害といった事情を基に、情報を社会に提供する事業者の表現の自由より、プライバシーの保護が優先される場合は削除できるという基準が示されたようです。
こうした判断に基づき、この男性の申し立てについては、上記の結果となったようです。

忘れられる権利について直接言及されていませんので、その有無については結局わかりません。
ただ、削除については、社会的関心、本人の損害などが考慮されるということになりそうです。

なお、インターネット検索大手のグーグルとヤフーでは、それぞれ自社の基準に基づいて削除要請を受け付けているそうです。
インターネット上には60兆を超えるサイトがあるそうです。検索する場所や設定などによって、同一の検索ワードでも検索結果がことなりますので、どこにどのような情報があるのか末端のユーザにはわからないのではないでしょうか。

自転車の安全性

普段何気なく乗っている自転車。この自転車ですが、突然壊れるといった事例が相次いでいるそうです。
「自爆自転車」などと名づけられていました。

安い海外製品が出回ったことによる影響かと思いきや、国産製品も例外ではないようです。
その故障の内容も、軽度のものではなく、ハンドルが折れたり、タイヤが外れたりと致命的なものとなっています。

人力であるとはいえ、自転車はかなりのスピードがでます。
もちろん人にもよりますが少なくとも時速10キロ以上は出るのではないでしょうか。
自転車との衝突による死亡事故もありますので、このことから考えてもかなりの衝撃があることが想像できます。

実際に自転車に乗る時には、いつ壊れるかと恐る恐る乗っている人はまずいないと思います。不意をつかれるかたちで、致命的な損傷が生じるわけですから、大怪我をしてしまう可能性はとても高いといえます。
事実、全治1年以上や歯が折れるなど大怪我の事例があったようです。

自転車に乗る際には気をつけてください。ということになりますが、故障の内容を考えると何に気をつければよいのかと思案にふけてしまいます。
ボルトの緩み程度なら自分でも点検できるかも知れませんが、自転車の骨格となるフレームの強度などは自主点検できるレベルではないと思います。ここまでくると故障という表現が適当でないようにも思えます。

自転車の安全性を推し量る目安の1つとして、自転車マークというものがあるそうです。「BAA」や「TS」といったものです。
いわれてみれば、そのような文字が入ったシールが張ってあるのを見たことがあるような気がします。

BAAは、一般社団法人自転車協会が定めた自主基準により、90箇所の検査項目があり、フレームの強度なども検査対象となっています。
TSは、自転車安全整備士が点検整備した普通自転車に貼付されるもので、このマークには傷害保険と賠償責任保険が付いています。

ちょっぴり怖いICT

IT化といわれていた時代も今や昔。現在ではICT化です。

何が異なるのかといえば、IT(information technology)は情報技術、ICT(Information and Communication Technology)は情報通信技術と日本語では訳されます。

平たく言えば、インターネットを使って情報をやりとりする技術ということになります。
人手不足を補うためや資源を節約するためのペーパレス化などを理由に公官庁ではICTの利活用を促進しています。
税理士業務でもこの影響は及んでおり、電子申告が該当します。

1月の末日が近づくこの次期は、法定調書をはじめとして、給与支払報告書、償却資産税申告と1月31日が提出・申告期限となっているものがたくさんあります。
昨日、一昨日の土曜日、日曜日は出勤している税理士、職員の人も多かったのではないでしょうか。

今やこれらの申告・提出は電子申告で行うという税理士も多いと思います。私もその1人です。
本日まさにその電子申告を行っていたのですが、通信が途絶えるなど接続が不安定になっていました。

問い合わせてみたところ、前年に比べてアクセス数が非常に多くなり、動作が不安定になっているとのことで、とりわけアクセス数の増加に拍車をかけたのは、マイナンバーの導入によるものではないかとのことでした。

上記の手続きは、自社で行っている企業もありますので、書面で提出するよりも、電子申告をしたほうが煩雑さがないと判断された結果のようです。

動作が不安定ではあったものの、何とか手続きを済ませることはできましたが、サーバーがダウンするようなことでもあったらと思うと、ゾッとします。

書面でも提出できるようにはしているものの、ICTのリスクを垣間見たような気がします。

新・車検基準

車検の基準が新しくなっています。

新基準では、警告灯が点灯している車の検査は受け付けてもらえなくなります。
今年の2月から新基準適用となります。

車検を担っているのは、独立行政法人自動車技術総合機構。国土交通省が直接行っているのかと思いましたが、このような機構がありました。
この機構が設立したのは2016年の4月となっていますので、まだ新しい組織です。
ホームページもあり、設立の経緯を見てみると、「政策の企画立案機能と実施機能を分離…」とありました。
1996年(平成8年)に設置された内閣総理大臣の直属機関である行政改革会議の最終報告が発端となっているようです。
今回の車検に係る新基準ですが、車検の実施機能を担うこの自動車技術総合機構からお知らせが公表されています。

概要をいうと
「審査時における車両状態」に該当しない車両は審査を行わない。結果、車検が通らない。ということになります。
では、「審査時における車両状態」とは?となりますが、

  1. 運転者1名が乗車した状態
  2. 前方側方のエアバック、ブレーキ、ABS、原動機の警告灯が点滅又は点灯していない状態
  3. 原動機の作動中にブザーなどが継続して吹鳴していない状態
  4. 応急用スペアタイヤを装着していないこと

の全ての要件を満たす状態を言うそうです。

この要件を踏まえて、新基準では、警告灯が点灯している車の検査は受け付けてもらえなくなる。ということなのですが、裏を返せば、今までは警告灯が点灯していても車検は通せたということになります。

通常の場合このような警告灯が点灯すれば、車の不具合が懸念されますが、特に古い車などの場合、警告灯が点灯した状態でも走行に支障がなく使用し続けていることもあるようです。

今回このような車に対しての検査が厳しくなったということになるのでしょうか。

色々な確定申告

先日、国民年金の前納した場合の所得税の確定申告における取り扱いについて、説明させて頂きました。
その時にも多少触れさせて頂きましたが、これから確定申告のシーズンに本格的に入ります。

確定申告=所得税とイメージする方も少なくないかもしれませんが、確定申告という言葉は所得税に限ったものではありません。
文字通り確定申告は、所得金額(利益の金額)、これに伴い納付する税金の額を確定させて申告をする手続きですので、申告納税制度が採用されている税目のすべてにおいて確定申告が存在します。主要な税目でいえば、法人税、消費税、相続税、贈与税についても確定申告があります。

とりわけ確定申告=所得税のイメージがあるのは、所得税の納税義務者となるすべての個人が一斉に同じ時期に確定申告をするためなのかもしれません。
法人であれば、会社の会計期間はその会社それぞれで定められていますので、確定申告をする時期もそれぞれです。
これに比べて個人の会計期間は、事業を営んでいるかどうかにかかわらず、すべて1月1日から12月31日までとなっており、確定申告の時期も同一です。
加えて確定申告の時期になるとCMなども行われますので、このようなイメージがあるのかもしれません。

なお、税理士からするとこの時期における確定申告といえば、所得税、贈与税、消費税の確定申告を意味することが多いと思います。個人に係る確定申告と言い換えてもよいかもしれません。

また税に関することを生業とする税理士はもちろんですが、一般の方も注意することがあります。
これら所得税、贈与税、消費税の確定申告の期限又は期間がそれぞれ異なることです。
原則として

  • 所得税は2月16日から3月15日
  • 贈与税は2月1日から3月15日
  • 消費税は1月1日から3月31日(個人の場合。実際には正月三が日は除かれます。)

となります。

平成29年度の年金額

厚生労働省より、平成29年度の年金額の改訂についてお知らせがありました。
結論から言うと、平成28年度の年金額から0.1%の引下げとなります。

新たな年金額は、通常、4月分の年金が支払われる6月からとなります。

平成29年度の新規裁定者(67歳以下の方)の国民年金額は満額で、前年度から67円マイナスの64,941円となります。
また、国民年金保険料も引き下げられます。前年度から230円引き下げられて、月額16,490円となります。
なお、平成30年度は月額16,340円です。

国民年金保険料は前納することが出来ます。

6ヶ月前納、1年前納、2年前納の3つの前納があり、前納すると、割引を受けることができます。
3つの前納とも口座振替か現金納付のいずれかの納付方法を選択することができますが、口座振替の方が割引額は高くなっています。

事務の手間が省けるといったことや、次回以降も収納できる可能性が高まるといったところが反映されているのかもしれません。
平成30年度の国民年金保険料が決定したことに伴ない、全ての前納の場合の保険料額も決定しています。

割引額が一番高くなる2年前納の口座振替の場合は、15,640円の割引です。約1か月分の保険料負担がなくなります。

国民年金保険料など、いわゆる社会保険料を支払った場合、所得税・住民税の計算上控除されます。
ただ、特に2年前納をした場合ですが、他の控除と合わせるとその全額を控除しきれないということもあります。

このような場合、社会保険料と小規模企業掛金については、

  1. 納めた年に全額控除する方法
  2. 各年分の保険料に相当する額を各年において控除する方法

を選択することができますので、控除しきれる方法を選択すれば、全体的に見れば税額を低くすることができます。

いよいよ本格的に所得税の確定申告が始まりますので、確認してみては如何でしょうか。

スマホに新ガイドライン

スマートフォンの端末購入補助とSIMロック解除について新しいガイドラインが策定されています。
「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」です。

この指針の概要が公表されており、それによると、
SIMロック解除が可能となる期間が従来の6か月から

  • 割賦払い(分割払い)の場合‥100日程度以下
  • 一括払の場合‥当該支払を確認できるまでの期間

とする指針が打ち出されました。
適用開始時期は

  • 割賦払いの場合が2017年8月1日から
  • 一括払いの場合が2017年12月1日から(やむを得ない事情がある場合は、3月を超えない期間に限り猶予)

新たに発売される端末について適用されます。

SIMロックとは特定のSIMカードが差し込まれた場合にも動作するように設定された端末上の制限です。
これにより、携帯端末にSIMカードを差し替えただけでは、使用できないようになっています。

ただ、スマートフォンに制限がかけられているのは、SIMロックだけではありません。
例えば、テザリングを利用とした場合に、予め使用するネットワークが設定・制限されていることがあり、通話やインターネット閲覧などは出来ても、テザリングは使えない問うことがあります。

今回の指針ではこうしたSIMロック以外の機能制限についても、SIMロックの解除に合わせて解除するよう努めることが適当とされています。SIMロック解除によって値上げなど懸念されていますが、こと所有する端末に限って言えば、利便性の拡大につながるのではないでしょうか。

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さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

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