Monthly Archives: 9月 2017

配送もスローライフ?

運送料の値上げや、運送時間帯の変更など。配送関係にまつわる改変は記憶に新しく、現在も進行中といったところです。
ネットショッピングなどインターネットを利用した取引が盛んになり、現物を取り扱う配送会社などの負担が大きくなったのに加えて、人手不足といった社会的な現状が背景にあることは、よく知られているところです。

配送に関して言えば、早い・安いといったことがまず求められるのではないかと誰もが想像するところですが、このような概念に一石を投じるようなサービスが話題となっているようです。

株式会社ロコンドが提供する通販サイト「ロコンド」で、配送メニューに「急ぎません。便」というものが追加されているようです。
同サイトを見てみると、「急ぎません。便」は「1~3日後発送」とあります。
文字通り、配達を急がない方が対象ということになります。
特徴は、1~3日と幅があることで、現場の忙しさに応じて調整することが可能になります。

定期のルート配送でもない限り、荷物の多寡や配送先などは毎日変わりますので、配送会社にやさしい仕組みとなるのではないでしょうか。
サービスを開始してみると、意外とも受け取れる結果となったようです。
サービス開始の初日の注文の約20%が「急ぎません。便」だったようです。
経過観察をしてみないと分かりませんが、誰も彼もが配達を急いでいるわけではないと見ることができそうです。

効率性や合理性、スピードが求められる生活様式に対して、ゆっくりした暮らしを提案するスローライフという言葉がありますが、このような配送方法を選択するのも、スローライフと呼べるのかもしれません。

この他にも配送負担が大きくなる理由の1つとして、再配達が挙げられることもあります。
一度配達に向ったものの、不在などを理由に再度配達するわけですので、まさしく二度手間です。
なお、再配達が別料金になるといった事例もあまり聞いたことがありません。

全体的に見れば少数なのかもしれませんが、配送を希望する際に時間指定等ができないことが未だにあります。
在宅していれば問題はありませんが、不在の場合には再配達の手続き際にはじめて時間が指定できるということになります。
このような場合、配送する側ばかりか、受け取る側も二度手間となってしまします。
このようなことも改善されていくと、配送負担の緩和に繋がっていくのかもしれません。

リスト型攻撃

他人に成りすましてポイントなどを利用し、家電量販店などで商品を騙し取ったという事件がありました。
容疑者は20代半ばのようです。
詐欺と不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕されました。

ひとまず容疑者が逮捕されたというのは、前向きにとらえるべきことだと思いますが、そもそもどのような手口なのでしょうか。
結論から言うと、「リスト型攻撃」と呼ばれるもののようです。

「リスト型」と呼ばれるからには何かのリストがあるわけですが、一昔前はリストといっても0~9、a~zといった文字を1つずつ当てはめていくといった総当り攻撃でした。ダイヤル式の南京錠などの番号を1つずつずらして、開錠する手法に似ています。
それから、パスワードなどに使われそうな単語などを予め辞書として用意しておき、その辞書を当てはめていく辞書攻撃と呼ばれるものもありました。

いずれの方法も、「数を打てば当たる」というものですので、何度もログインを試みる必要があります。
この対策として、複数回ログインを失敗すると、ログイン自体ができなくなるという対策がとられ、現在ではほとんどこのようなシステムになっているのではないでしょうか。

今回の「リスト型攻撃」はこれらのものとは異なります。
オンラインサービスなどにログインする際には、IDとパスワードが必要になりますが、このIDとパスワードが「リスト」になっています。
つまり、鍵は手元にあるけれど、何処の鍵かわからない。という状態です。

そのため、リストを元に手当たり次第オンラインサービスなどでログインを試みる。というのが今回の「リスト型攻撃」です。
辞書攻撃などと区別するため、「アカウントリスト攻撃」「パスワードリスト攻撃」と呼ばれることもあるようです。

犯罪者からしてみれば、1ID当たりの試行回数が少なく、成功率が高いということになります。
ここで問題なのは、既にIDやパスワードが盗まれるなどして、流出してしまっている点です。
複数のオンラインサービスのIDやパスワードを同一のものにしていることもあるらしく、このような場合、犯罪者からしてみれば、マスターキーを手に入れたようなものです。

このようなリスクを避けるため、IDやパスワードの管理を徹底することはもちろんですが、同一のもの使用しないというのも強く推奨されています。
IDやパスワードが流出してしまうのはユーザー側の管理の問題で、オンラインサービスの運営側の問題はないかといえば、そうとも言い切れない部分もありそうです。

今回の事件でも、「リスト型攻撃」が4日連続で計約47万回あったそうです。
試行回数が少ないといっても、それなりの痕跡があるのだと思います。
不正ログインの試行にいち早く気づけるようにするための対策が必要で、例えば、同一アクセス元からの複数IDへのログイン試行を警告できる仕組みを作るなど、できる対策はあるようです。

いずれにしても、私達いちユーザーのできることといえば、セキュリティ面を含めた管理の徹底と同一のIDやパスワードは使用しないといったことになるのだと思います。

長寿国と年金

日本は世界有数の長寿国です。
2016年の日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳となり、100歳以上となる人も今後増加してくことが見込まれます。

年齢を重ねてからの収入源といえば、年金がその1つに挙げられますが、年金について少し考えてみたいと思います。
日本の公的年金は3種類あり、日本国内に住所のあるすべての人が加入を義務づけられています。
それぞれの制度と加入者は以下の通りです。

  • 国民年金…日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人
  • 厚生年金…厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人
  • 共済年金…公務員・私立学校教職員など

この中で最も基礎的な年金である国民年金について見てみたいと思います。

国民年金というと、自営業者などが加入する年金というのが一般的ですが、厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する者であれば、自動的に国民年金にも加入することになります。
ただし、保険料は厚生年金保険料に含まれますので、給与から天引きされる形で支払っています。

国民年金保険料は平成17年度から増額されてきましたが、一応平成29年度で上限に達することになりました。
平成29年度の計算の基礎となる保険料は毎月16,900円ですが、保険料の改定率が乗じられ、実際の保険料は16,490円となっています。

これから20歳になり、国民年金保険料を支払うとしたら、総額はどれくらいになるのでしょうか。
月16,900円で計算すると、

16,900×12月×40年=8,112,000円

となります。
では、受け取る年金はというと、国民年金のみの加入の場合、65歳からの満額受給で、

年779,300円

です。
ここまでくると、何年で元がとれるのか。と考えてしまいますが、

8,112,000÷779,300≒10.4年

つまり10年と3ヶ月で支払った保険料分の年金を受け取ることになります。
65歳からの受給で10年、74歳です。

平成9年次の平均寿命は、男性が77.19歳、女性が83.82歳でした。
保険料を上回る年金の支給額は、保険料の運用益や税金で賄われることになります。
社会保障費の増大が課題とされていることを考えても、全体で年金の支給額が保険料として集めた金額を上回っているのは、確認はしていませんが、容易に想像できます。

上記のような単純計算ではなく、もっと緻密な試算がなされていることと思いますが、実際はどのようになっているのでしょうか。
分かりやすい資料などがあるのかどうかも分かりませんが、少なくとも楽観視できるような状態ではなさそうです。

 

100歳以上、過去最多

厚生労働省が15日、100歳以上の人数を発表しました。
その数は全国で67,824人。
前年から2,132人増えて、47年連続の増加となりました。

9月15日は老人福祉法で「老人の日」と定められ、厚生労働省が毎年この時期に100歳以上の人口をまとめています。
「老人の日」は、「国民の祝日に関する法律」に定められている日ではありませんので、残念ながら祝日とはなりません。
人口統計から考えますと団塊の世代がありますので、少なくとも向こう30年ぐらいは増加傾向が高いのではないでしょうか。

本年度中に100歳になり、又はなる見込みの方は、9月1日時点で、32,097人となりました。
「老人の日」にご存命であれば、百歳高齢者表彰の対象者となるそうです。
なお、海外在留邦人、永住在日外国人も含まれるようです。

祝賀の内容は、内閣総理大臣からのお祝い状及び記念品で、記念品は銀杯です。
厚生労働省の発表資料によると、さいたま市にも表彰対象者が193人いらっしゃったようです。

このほかにもいろいろな内容が掲載されていました。

100歳以上の方のうち、女性の占める割合ですが、老人福祉法が制定された昭和38年には、86.9%でした。なお人数は男女合わせて153人でした。
ただ、その翌年は83.8%とやや下がり、その後も80%前後で割合は推移していきます。もっとも割合が低かったのは、昭和59年の77.8%です。

時代が平成に移り変わるとこの割合も変化していきます。平成8年当たりから割合は増え始め、平成29年の女性の占める割合は87.9%です。
女性は強いなどといわれることがありますが、こと長寿に関しては当てはまるのかもしれません。

100歳以上の方が最も多く居住している都道府県は東京都ですが、そもそも東京都は居住している総人口が多いので当然の結果なのかもしれません。
人口10万人当たりの100歳以上の人数では、東京都は42位で、1位は島根県、2位は鳥取県でした。
過疎化の影響と考えられているようです。

なお、埼玉県は100歳以上の人数は2,339人と都道府県のなかで9番目に多く、10万人当たりの人数では47位と最下位でした。
この結果をどのように受け止めるかは人それぞれありそうです。

メール、PDFも悪用

PDFファイルといえば、今や様々な形で利用されています。
メールやsnsに添付、WEB上にアップなど様々です。

閲覧ソフトさえあれば、windowsやmacといったOSに依存せず閲覧できますので汎用性が高く、インターネットを通じた文書ファイルのやり取りに多く利用されています。

WordやExcelといったファイルも利用することができますが、閲覧する側のソフトのヴァージョンやOSの環境に依存してしまうため、体裁が崩れたり、作成されたままの状態で見ることができないといった結果に繋がってしまうことがありますので、このようなこともPDFが多く利用されている一因なのではないでしょうか。

ただ、このPDFを悪用した標的型メールが増えているようです。

警察庁の発表によると、2015年は3件、2016年は0件と、悪用はほとんどありませんでしたが、2017年は上半期で215件と急増しました。
手口も新たな手口がはじめて確認され、これまではPDF文書にリンクを貼り付けるタイプでしたが、不正プログラムを含むWordファイルが埋め込まれたタイプが確認されたそうです。

標的型メールに添付されたファイル形式については、2015年まではWordファイルそのものが添付されていた傾向にあったようですが、2016年には減少し、今年はPDFに埋め込まれるといった変化が生じているようです。
このような変化の背景には、Wordファイルそのものの添付についてはある程度対策が普及したためと考えられています。

ソフトウェアのバージョンアップやアップデートというと、ソフトウェア機能そのものの向上はもとより、セキュリティに対する脆弱性を修正するために行われたりもします。
今回PDFの悪用件数の増加ついては、実際の脆弱性の有無はわかりませんが、手口としてPDFが選ばれていると見ることはできそうです。

知らない相手から送られてきたメールは開かないというのは、セキュリティ対策としてよく紹介されることですが、添付ファイルも開かない心構えが必要です。(そもそもメールを開かなければ、添付ファイルも開けないとは思いますが。)

なお、標的型メール攻撃の送信先メールアドレスは、インターネット上で公開されていないものが全体の96%を占め、送信元メールアドレスについては、大学や銀行をかたるなど、偽装されていると考えられるものが全体の99%となっているようです。

公開していないアドレスということもあり、知らない相手先からのメールは警戒することができるかも知れませんが、アドレスを登録している銀行などを装ってメールが送られてくる可能性が考えられます。

債権の消滅時効

前回に引き続き、新民法に関する話です。
前回は時効の中断についてとりあげましたが、今回は「債権の消滅時効」です。

なお、連続して民法について取り上げていますが、税理士は民法の専門家ではありません。
民法の改正内容ということで取り上げているに過ぎず、その詳細などを正しく理解をするためには、弁護士などの専門家の意見を聞いたほうがよいことを予めご了承ください。

さて、「債権の消滅時効」の概要ですが、主観的起算点から5年、客観的起算点から10年となりました。
主観的起算点とか、客観的起算点とかが分かりにくいですが、こちらは条文を見てしまったほうが早いかもしれません。

改正民法166条1項

債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一、債権者が権利を行使することができることを知った日から5年間行使しないとき。
二、権利を行使することができる時から、10年間行使しないとき。

上記の通りです。
旧民法では、「債権は、10年間行使しないときは、消滅する。」と規定されていましたので、時効になる期間が早くなることがあるということになります。

ただ、旧民法には、職業別短期消滅時効と呼ばれるものが規定されていました。
「食い逃げは1年で時効」というものが、結構有名ですので、ご存知の方も多いかもしれません。
これらは「職業別」と呼ばれるとおり、特定の業種などに区分して短期消滅時効が規定されていたのですが、今回の改正により廃止となりました。
職業別短期消滅時効から見れば、時効の期間は延長したことになります。

改正の内容を取り上げていますが、実際に法律が施行されるまでには、期間があります。
本日の2017年9月15日には、施行日はまだ定まっておらず、現行は改正前の民法が適用されます。
こちらについてはご注意ください。

「時効の中断」は、中断しない?

2017年6月2日に公布となりました新民法。
実際に運用開始となる施行日は「公布の日から起算して3年以内の政令で定める日」とされていますので、遅くとも2020年の半ばには新民法が施行されます。

民法はすべての人に影響のある法律といっても過言ではありませんので、無関心というわけには行きません。
むしろ税理士という職業柄、お客様は事業を営まれている方が大半であり、自分自身も事業を営んでいることになりますので、民法との関わりは深いほうになるのではないでしょうか。
そのようなこともあってか、実際にこの民法の改正をふまえた研修などが開催されていたりもします。

改正されるといっても、現状の民法は改正前の旧民法です。
この旧民法には、「時効の中断」というものがあります。

「中断」と聞くと、例えば、「試合が雨で一時中断となりましたが、再開です。」というようなアナウンスにもあるように、一定時点で止まって、再び始まるというような認識ではないでしょうか。

しかし、旧民法の「時効の中断」は、そうではありません。
旧民法第157条に「中断後の時効の進行」という条文がありますが、

「中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、新たにその進行を始める。」

と定められています。
「新たにその進行を始める」。つまり、一から始まるということです。
ゲームをされる人にとっては分かりやすいかもしれませんが、セーブではなく、リセットということになります。

民法は明治29年にできた法律ですが、その時代の言い回しなのか、法律上の言葉の使い方なのか、本来正しい日本語の表現方法としてはこのような使い方になるのかは分かりませんが、現在の一般的な感覚からしてみれば理解しづらいのではないでしょうか。誤解が生じる恐れさえあります。

このようなこともあってか、新民法では「中断」という言葉は用いられず、「完成猶予及び更新」というタイトルになっています。
なお、リセットとなる取り扱いは以前と同様となります。

高額な医療費

3日続けてですが、医療費関連のお話です。
今回は、税制にまつわる話ではないのですが、ひと月の医療費が高額になっているという話です。

健康保険組合連合会によると、2016年度の1人当たりのひと月の医療費が1,000万円以上だった件数が過去最多になったという発表がありました。
前年度の2015年度から3割以上件数が増加したそうです。
医療技術の高度化などが背景の1つに挙げられているようです。

日本は国民皆保険制度となっていますので、加入団体は違えど何かしらの公的医療保険に加入することになっています。
強制加入となりますので、保険料の負担は免れないところですがその反面、高額療養費制度などが利用できます。

高額医療費制度は、医療費の自己負担額が高額となった場合に、家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される制度です。
冒頭のような高額な医療費でも、限度額の負担で済みます。
限度額を超える部分の金額は、保険組合や国が負担することになります。

国の課題として社会保障費の増大が挙げられていますが、医療費の負担が増えれば社会保障費も増えることになります。
このようなこともあってか、高額医療費制度が見直されています。

見直しは2段階で行われ、1段目は2017年8月の診療分から見直しが始まっています。2段目は2018年8月の診療分から見直される予定です。
ただし、見直されるのは、70歳以上の方が対象となります。

現行では、世帯の所得に応じて、「低所得者」「一般」「現役並み」という枠組みの中でそれぞれの自己負担限度額が定められていましたが、見直し2段目の2018年8月からは「現役並み」の区分がさらに細分化され、所得の高い世帯には自己負担額が多くなるように変わります。
既に行われた2017年8月の見直しでは、枠組みの区分に変更はありませんでしたが、「一般」「現役並み」の自己負担額が多くなっています。

なお、高額療養費制度は、医療費のすべてに適用されるものではありません。
保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額が対象となります。

そのため、食費、居住費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは、高額療養費の支給対象とはなりません。
これらの費用を保険でまかなおうと考えるのであれば、民間の医療保険などに加入する必要があります。

税金の計算上の控除として医療費控除がありますが、公的及び民間の医療保険を問わず、医療費が補填される部分の金額は控除の対象となりません。
なお、医療費控除の限度額は200万円ですので、200万円を超える医療費の自己負担(補填される金額を差し引いた金額)があったとしても、控除できるのは200万円となります。

セルフメディケーション税制は2017年から

前回、本年2017年分の確定申告から医療費控除を受けるための手続方法が変更になったことをとりあげました。
これとは別に、医療費の控除となる税制が1つ、2017年分の確定申告から適用開始となります。

セルフメディケーション税制と呼ばれるものです。

英語で表すと「Self medication」となりますが、翻訳にかけると「自己投薬」となります。
特定一般用医薬品等を購入した場合で、一定の要件を満たせば、税金の計算上控除されます。

特定一般用医薬品等とは、医師によって処方されていたものが、ドラッグストアで購入できるように転用された医薬品で、スイッチOTC医薬品と呼ばれます。
OTCは「Over The Counter Drug」の略で、医師の処方箋がなくても、ドラッグストアで購入できる一般用医薬品のことです。
「スイッチ」だけがカタカナ表記で、「Drug」の後に「医薬品」が続いているなど和製語感満載ですが、税金が安くなるのであればそのようなことは気にならないのかもしれません。

さて、肝心の内容ですが、要点を挙げると、

  • 控除額は特定一般用医薬品等購入費の合計額から12,000円を差し引いた金額
  • 保険金などで補填されるものは除かれる
  • 88,000円が控除限度
  • 自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のためのもの
  • 適用期間は2017年1月1日から2021年12月31日まで
  • 健康の保持増進及び疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている居住者
  • 従前の医療費控除とは選択適用

というような形になります。
「一定の取組」とは、健康診査や予防接種が該当します。

なお、この「一定の取組」は、申告をする人が行っていることが要件とされていますので、例えば、夫が確定申告をする場合、妻が使用するために購入した特定一般用医薬品等を計算に含めることができますが、「一定の取組」は夫が行っていなければいけません。

控除の対象となる医薬品ですが、レシートなどに例えば星印などのマークが付され、そのマークがセルフメディケーション税制の対象医薬品である旨が記載されています。
パッケージなどに共通識別マークが掲載されているものもあります。
また、厚生労働省のホームページにも対象品目が掲載されています。

医療費控除の明細書義務化

国税庁のホームページのトピックスに「平成29年分確定申告の医療費の明細書添付義務化のお知らせ」というものが、掲載されていました。
今年も9月になりましたので、そろそろ確定申告に向けて準備をということなのかもしれません。

医療費控除については、平成29年分の確定申告からその取り扱いが変わっています。
領収書の提出の代わりに「医療費控除の明細書」の添付が必要となりました。

従前の医療費控除といえば、「平成○○年分医療費の明細書」という封筒があり、その表紙には医療を受けた人やその医療機関などを記入する箇所、控除額の計算をする箇所が記載されており、これらを記載して、封筒の中に領収書を入れるというものでした。
領収書が多くある人は、封筒がパンパンになり、場合によっては封筒1つでは足りないということがありました。

平成29年分の確定申告書からは、「医療費控除の明細書」に記入していくという形になります。
記入内容としては、医療費を受けた方や医療機関など従前のものとそれほど変わりありません。
また、医療保険者から交付を受けた医療費通知を添付すると、この明細の記入を省略できます。
医療費通知とは、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」などをいいます。
確定申告書を税務署に持参する場合には、嵩張る領収書をもっていかなくてもよくなります。

ただし、税務署に提出する必要がなくなったといっても、領収書を捨ててはいけません。
医療費の領収書は、5年間保存することが義務付けられています。
これは、もし税務署から領収書の掲示や提出を求められた場合には、これに応ずる義務があるためでもあります。

なお、平成29年分から平成31年分までの確定申告については、従前の領収書を提出する方法により申告することもできます。
いきなり制度を変更して、新制度のみしか取り扱わないとすると混乱が生じてしまうため、周知期間となっています。

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さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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関東信越税理士会浦和支部所属

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