債権の消滅時効
前回に引き続き、新民法に関する話です。
前回は時効の中断についてとりあげましたが、今回は「債権の消滅時効」です。
なお、連続して民法について取り上げていますが、税理士は民法の専門家ではありません。
民法の改正内容ということで取り上げているに過ぎず、その詳細などを正しく理解をするためには、弁護士などの専門家の意見を聞いたほうがよいことを予めご了承ください。
さて、「債権の消滅時効」の概要ですが、主観的起算点から5年、客観的起算点から10年となりました。
主観的起算点とか、客観的起算点とかが分かりにくいですが、こちらは条文を見てしまったほうが早いかもしれません。
改正民法166条1項
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一、債権者が権利を行使することができることを知った日から5年間行使しないとき。
二、権利を行使することができる時から、10年間行使しないとき。
上記の通りです。
旧民法では、「債権は、10年間行使しないときは、消滅する。」と規定されていましたので、時効になる期間が早くなることがあるということになります。
ただ、旧民法には、職業別短期消滅時効と呼ばれるものが規定されていました。
「食い逃げは1年で時効」というものが、結構有名ですので、ご存知の方も多いかもしれません。
これらは「職業別」と呼ばれるとおり、特定の業種などに区分して短期消滅時効が規定されていたのですが、今回の改正により廃止となりました。
職業別短期消滅時効から見れば、時効の期間は延長したことになります。
改正の内容を取り上げていますが、実際に法律が施行されるまでには、期間があります。
本日の2017年9月15日には、施行日はまだ定まっておらず、現行は改正前の民法が適用されます。
こちらについてはご注意ください。