Monthly Archives: 4月 2018

仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合

前回に引き続き、「行政手続コスト削減のための基本計画」を取り上げようと思っていたのですが、新たに国税庁よりニュートピックスが掲載されていましたので、そちらを取り上げてみたいと思います。

題名は「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」です。

仮想通貨を保有している方と保有していない方とでは、関心と知識の度合いに大きく開きがあることと思いますが、かなりニュースなどでも取り上げられていましたので、なんとなく分かるのではないでしょうか。

仮想通貨交換業者が顧客から預かっていた仮想通貨が盗まれてしまったという事件に関するものです。
仮想通貨交換業者は盗まれた仮想通貨について日本円で補償することとなりました。

今回公表されたのは、この補償に対する税務上の取り扱いについてです。

結論は課税の対象

結論からいうと、この補償によって取得した補償金は課税の対象となるという見解が示されました。
この見解は「被害を受けた補償として補償金を受け取ったのだから、損害賠償金となり非課税となるのでは?」という問いに対する答えとして示されています。

損害賠償金は非課税というのが一般的な認識かもしれませんが、実際に非課税とされているのは、心身に加えられた損害につき支払を受けるものや、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受けるもの(一定のものを除く)など、ある程度その内容が限定されています。

今回の事件は、上記の「不法行為~」に該当すると考えてしまいそうですが、「一定のものを除く」とあるように、本来収入となるべきものに対する賠償は除かれています。

国税庁の回答も、契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになると前置きしつつも、一般的には補償金の金額で仮想通貨を売ったのと同様なので、補償金は収入計上し、課税の対象となるとしています。
つまりは、仮想通貨の売却と同様に取り扱うということになります。

なお、補償金の金額が補償された仮想通貨の取得価額より低い場合は損失となり、他の雑所得の金額と通算することが可能であることも同様で、国税庁もそのことを案内しています。
ただ、仮想通貨の他に雑所得となる所得がある人・・・、多くはいなさそうです。

行政手続コスト削減のための基本計画

財務省より4月9日付けで、「行政手続コスト削減のための基本計画の改定について」が公表されています。
2017年6月30日に公表されたものが改定されたものですが、改定内容としてホームページに

  • 国税
  • 営業の許可・認可に係る手続
  • 調査・統計に対する協力

の3つのリンクが貼られています。
税理士たるものまずは国税からということで、「国税」のリンクを見てみました。

電子化が主体

行政手続コスト削減の方法として取り上げられるのは、やはり電子化のようです。

税務手続きは、申告、納付、申請・届出等がありますが、これらを紙媒体から電子媒体へ移行しようというのが電子化です。
紙媒体の場合、税務署などもそれを受け取って終わりというわけではありません。
提出された書類自体の内容の確認はもちろんのこと、統計利用やその提出者からの提出としてまとめるために、いわゆるデータベースへの入力が必要になります。
データベースの入力は、一部OCRなどの紙面からの読み取りもあるものの、基本的には人力で行っているはずです。
また書類の保管場所も必要になります。

余談ですが、2017年分の所得税の確定申告から医療費控除については、領収書などの添付から支払先などを一覧にした明細書の添付へと返納されましたが、どうやら領収書などの保管場所やその処理に頭を悩ませていたという事情があったようです。

電子化となれば、こうしたコストは大幅に削減されることが予想できます。
税務手続きに必要な書類は、ひな型が既に決まっているものがほとんどですので、データベース化するのもそれ程難しくは無いはずです。
いままでこうした処理に当てていたマンパワーは、他の業務に当てられることになります。

オンライン利用率

税務手続きのオンライン利用率の2016年度の実績によると、法人税の申告が79.3%と主要な税目の中で最も高い率となっています。最も低い率は「納付」で8%です。
所得税、法人税、消費税の申告と、申請や届出等のオンライン利用率は全て50%を超えています。
もはや税務手続きも電子手続きが普通という感覚になってきているのかもしれません。

「納付」の利用率が低いのは、理由も様々だと思いますが、納税の方法は複数あります。
あえてオンラインで納付しなくてもと考えている方が多いのかもしれません。

利用者にもメリット

税務手続きの電子化は、公官庁ばかりにメリットがあるわけではありません。
紙媒体による場合、手続書類を郵送や持込で提出しなければなりませんが、電子手続きではその手間がなくなります。
また、公官庁の開庁時間は原則として、平日の8:30から17:00となっていますので、時間の制約も緩和されます。

ただ、多少の負担を求められることもあります。
余談で取り上げた医療費控除を例に取れば、提出するのは明細書でよいのですが、一定の場合は領収書などの5年間の保存が義務付けれています。
以前は、「提出してお終い」でしたが、保存義務があることにより、後々の管理も必要となりました。
行政コストの負担が納税者に移転される形とはなりますが、「そもそも自分のものでしょ。」ということなのかも知れません。

SMSorSNS?

昨日、楽天が第4の携帯電話事業者となるという報道がなされていました。
2019年の10月からサービスの開始を目指し、計画書ではいわゆる格安スマホ並みの料金が予定されているそうです。
新規参入により、新たな競争が生まれ、利用者がその恩恵を受けることも期待できますが、こればかりは始まってみないと分かりません。乞うご期待というところでしょうか。

そして本日、スマホの実質0円の規制強化というトピックスや、新たなSMSといったトピックスが流れていました。
携帯電話業界にいろいろと動きがあるようです。
今回は、新たなSMSを取り上げてみたいと思います。

SMSからRCSへ

SMSとは「ショートメッセージサービス」の略で、電話番号をあて先として送信するメッセージサービスです。
音声通話対応のSIMカードが入っている携帯端末であれば、ほとんど場合、特段の手続きをせずに利用できるサービスです。
ただ、基本的にはそれぞれの携帯電話事業者が提供しているサービスですので、異なる事業者間の端末でSMSを利用しようとすると、文字数が全角70文字までとなっていたり、絵文字が文字化けするなど利用に制限がありました。

現在、携帯端末でメッセージをやり取りする場合、広く利用されているのはSNSではないでしょうか。
SNSは「ソーシャルネットワークサービス」の略です。略称で表すとSMSとSNSと一文字違いですが、その意味は全く異なります。
SNSで有名なのは、やはり「LINE」でしょうか。今回のトピックスでも「LINEに対抗」とありました。

SMSに新たな機能を加えたRCSは「リッチコミュニケーションサービス」の略で、その機能もSNSに近づくようです。

RCSでできること

RCSでは、携帯電話事業者を問わず、全角2730文字が送信可能で絵文字も共通化、課金方式はパケット通信、音声メッセージや地図情報の送受信にも対応、既読表示機能、QRコードの表示・読み取りによって連絡先を交換する機能、迷惑メールの送信元などをブロック・通報できる機能などを備えるそうです。

ここまでくると、SNSと異なる点が何かと気になるところですが、「タイムライン」は未対応なのだそうです。

仕事に利用するスマホを支給している事業者もありますので、電話番号さえ分かればやり取りできるRCSは、ビジネス面では利用が拡大していくのかもしれません。
名詞に携帯電話番号が記載されていたりすれば、いきなりRCSのメッセージが入ってくるということもあるかもしれません。

一方で、個人利用ではどうかといえば、予想が難しいように思えます。
電話番号はやり取りせず、SNSのアカウントだけ交換するといったことはよくあります。
これには、自己防衛といった意味も含まれていると思いますので、個人利用でどこまでRCSが利用されるようになるかを予想するのは難しいのではないでしょうか。

国税庁ホームページ

国税庁のホームページがリニューアルされています。
国税庁曰く、「電子政府指針等を踏まえ、ホームページの更なる利便性の向上を図るため」ということですが、とにかく変わりました。

変更日は新年度が始まる4月1日からではなく、3月31日からとなっていますが、こちらについては運用上の都合があったのかもしれません。

リニューアルされたホームページはというと、全体的にシンプルな作りとなっています。
青が基調トーンであることは変わりません。
もちろん、スマートフォンやタブレットに対応した作りとなっています。
いわゆるレスポンジブデザインいうもので、閲覧する端末に表示される内容が最適化されるというものです。
幣事務所のホームページもレスポンジブデザインとなっています。
シンプルな作りとなっている背景には、スマートフォンやタブレットといった端末からも閲覧しやすいようにといった配慮があるのかもしれません。

率直に言うと

国税庁のホームページはもちろん税理士も閲覧します。利用者全体から見た利用度合いは分かりませんが、直接業務に関わりますので、もしかしたら税理士の利用が最も多いのかもません。

必要な届出等の形式を確認したりなど、その利用の仕方は様々ですが、リニューアル後の感想を率直にいうと、「使いづらい」という印象があります。

ただ、こちらは慣れというものもありますので、一概にリニューアルを批判することはできません。

サイト内検索で堂々巡り

リニューアルに伴って使い勝手が変わってしまうのは仕方がないとして、この他に残念な点が1つありました。
「サイト内検索」です。

「サイト内検索」は、文字通りそのサイトの中を検索してくれる機能です。
通常は、グーグル検索などに比べて、そのサイト内に検索範囲が限定されるので、効率的に検索できます。
サイトリニューアルともなると、どこにどのページがあるのか分からなくなることが多くありますので、このサイト検索の利用価値は高くなります。

ところが、今回リニューアル後のサイト検索が外部の検索システムを流用しているためか、不具合が生じてしまっています。
外部の検索システムとは、グーグル検索やyahoo検索のことを表していますが、国税庁はyahoo検索を使用しているようです。

こうした外部の検索システムはそれぞれの検索エンジンが、インターネットを巡回してインデックスをつけています。
このインデックスがリニューアル前のURLとなっているのが今回の不具合の原因です。

今回のリニューアルで、それぞれのサイトのURLが変更されています。
そのため、サイト内検索を行った検索結果のリンクをクリックしても、目的のページに到達できず、トップページが表示されてしまうという堂々巡りになってしまっています。

1週間は様子見

サイト内検索については、反響が多かったようで、4月3日には国税庁から「お知らせ」が出ています。
これによると、検索エンジンが新しいURLをインデックスするまで待ってくださいということのようです。
目安は1週間程度となるようです。

さいたま市の国保

前回に引き続き国民健康保険税についてです。
平成30年度から運営主体が市区町村から都道府県に移行されたわけですが、自分の住む自治体はどうなるのか。気になるところです。
前回以降、さいたま市から保険率の公表はまだありませんが、既に公表されている「埼玉県国民健康保険に係る標準保険税率」を参考に見てみたいと思います。

標準保険税率は3種類

まず前提として頭に入れておきたいのは、標準保険税率は3種類あるということです。

  1. 都道府県標準保険税率…全国統一の算定方式によるもの(各都道府県で1つ算定)
  2. 市町村標準保険税率…県内統一の算定方式によるもの(市町村ごとに算定)
  3. 各市町村の算定方式による市町村標準保険税率…各市町村の算定方式に基づく保険税率で、各市町村が直接参考にするもの(市町村ごとに算定)

の3つとなります。
そして、これらの標準保険税率は埼玉県が算定して理論上の数値となります。
実際の保険税率は、この標準保険税率を参考に独自財源の活用や独自の予定収納率などの個別の状況を踏まえて各市町村が決定することになっているそうです。
そのため、標準保険税率がそのまま各市町村の保険税率となるものではない。ということになるようです。

それぞれの保険税率

上記3種類の保険税率を示すと次の通りとなります。
「市町村標準保険税率(県統一算定方式)」と「市町村標準保険税率」はさいたま市のものとなります。
また、さいたま市の平成29年度の保険税率も加えてみます。

医療 後期高齢者支援 介護
所得割(%) 均等割(円) 所得割(%) 均等割(円) 所得割(%) 均等割(円)
都道府県標準保険税率 6.40 36,398 2.33 13,169 1.98 14,748
市町村標準保険税率(県統一算定方式) 6.77 38,521 2.37 13,444 1.98 14,759
市町村標準保険税率 8.05 31,015 2.70 10,727 2.37 11,566
平成29年度 7.49 29,200 1.90 7,400 1.90 8,900

…どうでしょうか。
前回、あまり期待しないほうが良いかもしれません。と申し上げた理由が分かるのではないでしょうか。

標準保険税率は理論上の数値となりますので、そのまま市の保険税率となるものではないとはされていますが、さいたま市が直接参考にするものである「市町村標準保険税率」と前年度の数値の乖離を考えると、楽観視は出来ないように思えます。

仮に市町村標準保険税率で計算した場合どの程度の金額差となるのでしょうか。
40歳以上で概算計算すると、

所得割:+1.83%
均等割:+7,700

となり、仮に課税標準所得額が233万円だとすると、平成29年度の場合と比べて、44,300円多くなります。

上がる?下がる?国保

国保といえば、言わずとも知れた国民健康保険です。
主に自営業者が加入しています。

この国民健康保険ですが、平成30年度から運営主体が市区町村から都道府県に移行されます。
なぜ移行が行われるのかといえば、国保財政が赤字だからです。

国保財政は、原則として必要な支出を国保税や国庫負担金などにより賄うこととなっていますが、決算補填等を目的とした法定外の一般会計繰入や前年度繰上充用が行っている自治体が多いということです。
運営主体を都道府県に移すことにより、その規模を大きくしてより効率化を図ろうとするものだと思います。

何が変わる?

市区町村から都道府県に運営主体が移り何が変わるかが気になるところですが、国民健康保険料(税)を支払っている国保加入者の申請や届出は引き続き市区町村の担当窓口で手続きを行うことになるため、手続きにおいては変化は無いようです。

運用主体が移行するといっても、都道府県と市区町村が共同保険者として運営されるので、市区町村が国民健康保険について関与しなくなるということはありません。
埼玉県のパンフレットによると、県の役割が市町村ごとの国保事業費納付金を決定と標準保険税率を算定・公表、保険給付等必要額を市町村に全額交付など。市町村の役割が被保険者証の発行などの資格管理、標準保険税率を参考に保険税率を決定、保険給付の決定、支給、保健事業の実施など。とそれぞれ役割があるようです。

この他、過去12か月以内に高額療養費の支給が4月以上ある場合に、自己負担限度額が引き下げられる高額療養費の多数回該当に係る該当回数が引き継がれることになりましたが、こちらは埼玉県内で住所を異動した方に該当する項目です。
また、被保険者証の様式が変更されるそうですが、特に影響のあるものでは無いでしょう。

保険料(税)が上がる?下がる?

今回の移行において、一番気になるところではないでしょうか。
今回の移行は、国保財政の財政基盤の強化が目的ですが、単に移行するだけではなく、国からの財政支援がおよそ2倍に拡充されたようです。
厚生労働省が平成28年度に比べて1人当たりの保険料がどのように変わるか調べたところ、市区町村全体の約54%が下がる、43%が上がる見込みであることがわかったそうです。
財政基盤強化が目的の移行なのに負担する保険料が下がるというのは、矛盾を感じるところですが、負担者にとっては喜ばしいことではないでしょうか。

ただ、上がる見込みも43%となっています。自分が居住する自治体ではどうなのか気になるところではないでしょうか。
平成30年度の保険税率は、県が示す標準保険税率を参考に独自財源の活用や独自の予定収納率などの個別の状況を踏まえて各市町村が決定します。

さいたま市の保険税率はまだ公表されていないようですが、埼玉県の標準保険税率は公表されています。
この標準保険税率を参考に各市町村の保険税率が決まるわけですが、この標準保険税率と過去のさいたま市の保険税率を比べてみると…。
あまり期待しないほうが良いかもしれません。

住宅宿泊事業

2018年6月15日から住宅宿泊事業法が施行されます。
法律名の字面からも想像できるかもしれませんが、通称は民泊新法となります。

「民泊」という言葉が世の中に現れてから、ある程度の期間が経過していますが、民泊について、安全面・衛生面の確保がなされていないこと、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていること、観光旅客の宿泊ニーズが多様化していることなどに対応するために一定のルールを定めたものが、住宅宿泊事業法(民泊新法)となります。
この法律自体は、2017年の6月に成立していましたが、1年間の周知期間を経て、いよいよ施行となります。

対象者は3つの事業者

住宅宿泊事業法(民泊新法)が適用される事業者は、次の3種類の事業を行う者です。

  • 住宅宿泊事業者
  • 住宅宿泊管理業者
  • 住宅宿泊仲介業者

大雑把にいってしまうと、貸主、管理者、仲介者です。
アパートやマンションなどの賃貸経営と仕組みは変わらないのではないでしょうか。
これらの事業を行うに当たり、届出や登録が必要となります。

管理業務や仲介業務に関しては、新規参入ももちろんあると思いますが、既存のこれらの業務を営んでいる事業者がそのノウハウを生かして参入ということも大いに考えられそうです。
ただ、住宅宿泊事業者については、新規参入が多くなるのではないでしょうか。

民泊を行える事業者

住宅宿泊事業法(民泊新法)施行後、日本国内でいわゆる民泊を行う場合には、

  1. 旅館業法の許可を得る
  2. 国家戦略特区法の認定を得る
  3. 住宅宿泊事業法の届出を行う

などの方法から選択することとなります。

民泊を行うためだけに旅館業法の許可を得るというのも考えづらく、国家戦略特区は地域が限定されます。
そうなると、住宅宿泊事業法の届出を行うというのが、残った手段となります。
ただ、これらの法律による「民泊」は、民泊とひとくくりにされていますが、その制度内容は異なっています。

旅館業法との兼ね合いで、住宅宿泊事業法(民泊新法)における民泊の営業日数が話題とされたことを記憶している方もいらっしゃるのではないでしょうか。(住宅宿泊事業法(民泊新法)の営業日数は、原則として、年間提供日数180日以内となりました。)

その他の手続きも

民泊に係る事業を行おうとする場合、届出や許可を必要としますが、これらに付随した手続きも必要となることがあるようです。

例えば「消防法令適合通知書」の提出。

住宅宿泊事業法(民泊新法)で定められた必須事項ではありませんが、自治体の手続きの際に必要とされる場合が多いようです。
なお、埼玉県では必要とされています。

自転車保険

昨日、埼玉県で自転車保険の加入が2018年4月1日から義務化されることを取り扱いました。
生命保険、医療保険、火災保険、地震保険、自動車保険と保険の種類は様々ですが、自転車保険はあまり意識されていないのではないでしょうか。

そもそも自転車保険とはどのようなものなのでしょうか。
新たに施工される「埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例」を見てみると、その中に自転車損害保険等への加入を義務付ける規定があります。
その規定の中で、自転車損害保険等とは、「自転車の利用によって他人の生命又は身体を害した場合における損害を塡補するための保険又は共済」と定義されています。

このことから分かるのは、自転車損害保険等は、自転車の利用による損害を填補するものであれば良いということです。
つまり、自転車のためだけの保険(いわゆる自転車保険)でなくとも、上記の要件を満たす保険であればよいということになります。

では、どのような保険が自転車損害保険等となり得るのでしょうか。
これについては、埼玉県の今回の条例改正に関するパンフレットにフローチャートが示されていますので、参考になると思います。

フローチャートの内容と重複しますが、まず第一に自転車保険に加入している場合です。
これについては正しくそのものですので、何もいうことは無いと思います。
ただ一点付け加えるならば、「TSマーク」も自転車保険の加入に該当するという点です。

TSマークは、自転車安全整備士が点検確認した普通自転車に貼付されるもので、このマークには傷害保険と賠償責任保険、被害者見舞金(赤色TSマークのみ)が付いています。
TSマーク付帯保険と呼ばれるもので、保険有効期間中のTSマーク貼付自転車に搭乗中の人が保険の対象となります。
TSマークには青色と赤色があり、赤色のほうが補償額、補償内容ともに手厚くなっています。
TSマークの有効期間は1年間です。

第二に自動車保険、傷害保険、火災保険、共済、各種団体保険に加入しているか否かです。
加入している場合は、その契約の中に、自転車損害保険等に相当する補償が、主契約・特約などに含まれてるか否かとなります。
含まれていれば、自転車損害保険等に加入していることとなります。
他の保険の中に自転車損害保険等に相当する補償がある場合として一般的なのは、個人賠償責任保険が含まれている場合です。

個人賠償責任保険は、保険会社によって、名称や補償内容など違いがあるものの、一般的には日常生活において賠償責任が生じてしまった場合の負担を包括的にカバーする保険です。
保険の事例として、「自転車による事故」などと書かれている場合もあります。

埼玉県自転車保険

埼玉県では、自転車保険への加入が義務になります。
”自動車”ではなく、”自転車”です。
自転車は多くの人が使用する乗り物ですので、加入義務者も多くの人が対象となります。

「突然、何でこんな話が…。」と思う人も多いのではないでしょうか。
埼玉県では、平成24年4月1日に、「埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例」が施行され、自転車の安全な利用が促進されていました。施行時における自転車保険の加入については、いわゆる努力義務となっていました。

この条例が改正され、平成29年10月17日に公布されるとともに、その施行日が平成30年4月1日からとなります。
その改正項目として、自転車損害保険等への加入の義務付けが加わりました。
その主な内容としては、

  • 自転車利用者(利用者が未成年者の場合は、その保護者等)が、埼玉県内で自転車を利用する場合
  • 自転車を利用する事業者が、業務として自転車を利用する場合(業務中の事故については、個人賠償責任保険の対象外)
  • 自転車貸付業者が、レンタル業務として自転車を貸し付ける場合

に自転車損害保険等への加入が義務となります。
なお、自転車販売店や学校については、自転車損害保険等の加入確認及び未加入時の情報提供が努力義務となります。

義務化へのいきさつについては、自転車事故を起こした際の被害者救済や、加害者の経済的負担の軽減を図るためとされています。
近年自転車事故による高額賠償請求事例が全国各地で散見されるなど、自転車事故に対する社会的な責任の重みが増してきている状況の中、昨年県で実施したアンケート調査では、本県の自転車保険の加入率は約45%と半数以下の状態であったということもあるようです。
なお、自転車事故の高額賠償事例として9,521万円の賠償が生じた事例も紹介されています。

「義務」となっていると、加入しない場合「罰則」があるのでは。と思うところですが、罰則は設けられていないようです。
その理由として、罰則を設けるためには保険加入について確認をしなければならなく、保険の種類等が多様であり、保険加入を証明することが困難であるからとされています。

自動車事故については、自動車の安全性能の向上により、その件数は減ってきているようですが、自転車については人力が基本であるためか、自動車の様にはいかないようです。

罰則は設けられていないものの、被害者救済や加害者の経済的負担の軽減ということを考えると、保険という手段は1つの有効な手段なのかもしれません。
自動車保険に加入している人は多いと思いますが、特約などで自転車保険となりうる内容が含まれていることもあります。
まずは一度、確認してみるのも良いのかもしれません。

公衆無線LANの安全性

公衆無線LANを利用したことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
公衆無線LANは、無料wifiなどの名称で知られている文字通り無料でインターネットに接続できるサービスです。
東京オリンピックに向けてということで普及が進んでいるそうです。
海外から来る外国人が使えるようにということでしょうか。

日本でのスマートフォンの普及を考えると、日本人がそれ程公衆無線LANが必要としているかといえば、そういうわけではないように思えます。
スマートフォンを利用しているということは、基本的にはその端末のみでインターネットに接続することが出来ます。
もちろん通信容量の制限などの兼ね合いで、無料wifiが使えるところは積極的に使っているという人もいるかもしれませんが、そう多くはいないはずです。
そうなると、オリンピックに向けてとなれば、外国人に対してということになるのではないでしょうか。

公衆無線LANは、もちろん日本人でも使えます。
ただ、民間の調べによると、都内の繁華街では、暗号化されず、情報漏えいのリスクがあるものが無線LAN全体の14%ほどあったようです。
第三者に通信内容を見られたり、悪用されたりする恐れがあります。

「IDとパスワードが設定されているから大丈夫」
と思っている人も多いかもしれませんが、安全とは限りません。
IDやパスワードが誰でも見れるような場所に公開されているような光景を見たことはないでしょうか。
鍵のかかるドアの鍵を誰もが持っているというような状態です。
そのドアが安全かといえば、答えるまでもありません。

通信自体が暗号化されているか否かなどでその安全性は異なってきますが、その暗号技術も古い方式の暗号が使われていたりすると、ものの数分で解読されてしまいます。
これらを踏まえて考えると、公衆無線LANを利用するときは、クレジットカード情報などの重要な情報は入力しないほうが賢明です。
仕事でインターネットを利用するときなどは、会社などで用意された通信端末を使うことが多いと思いますので、公衆無線LANを利用する機会は無いと思いますが、もし利用する際には同様の注意が必要となります。

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さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

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