Monthly Archives: 12月 2018

ふるさと納税シュミレーション

2018年も残すところ3日となりました。
今年は平成として年末を迎える最後の年となります。次の元号はどのような元号になるのでしょうか。
普段は西暦表記をすることが多いのですが、今回は和暦で行きたいと思います。

平成30年最後のブログの題材は、ふるさと納税にしました。
税金に関わることですし、まだ平成30年分としてかけこみ納税ができますので、税理士が扱う年末の題材としては、うってつけということになるのかもしれません。

既にふるさと納税制度が開始されてから10年が経ちますが、なぜか今年はふるさと納税の限度額のシュミレーションを依頼されることがよくありました。

基本的にはインターネット

ネット社会とあえて言う必要もないほど、何かを調べる時にはインターネットを利用することが当然となっている昨今ですが、ふるさと納税についても例外ではありません。

一通りインターネットで調べてから、ご依頼される方が多いようです。
サイト上でふるさと納税限度額のシュミレーションができるところもありますので、金額は算出されたものの、その金額が確かなものなのかわからないということで、確認の意味も含まれているのかもしれません。

ほとんどは給与所得者向け

悪質なサイトでもない限り、シュミレーションで用いられる計算は、シュミレーションとしては充分なものになっているのではないでしょうか。
中には税理士が監修しているものもあります。

ただ、注意点もいくつかあります。とりわけ注意をしたほうが良い点を挙げれば、

  • ほとんどが給与所得者向けであること
  • 社会保険が概算で計算されていること

になるかと思います。

「給与所得者向け」とは、個人事業者などは計算前提の対象外となっていることが多くあります。
これは、給与所得者は給料等の金額から所得が計算できますが、個人事業者は売上から経費を差引いて所得を計算するため、売上だけでは所得を計算できないためです。
なお、概算でも所得が分かれば、そのサイトのシュミレーションを流用できる場合もあります。

もう1つは、社会保険が概算で計算されていることです。
概算に用いられるパーセンテージについてはそれほど問題とならないのですが、社会保険に加入していない場合には、国民健康保険や国民年金となります。
国民健康保険は割合を乗じて計算されますが、国民年金は定額です。よって、所得の多寡に応じて負担割合が変化します。
その他未払の場合なども、もちろん影響します。

このようにシュミレーションの前提条件に当てはまらない場合には、注意が必要となります。
また、こうしたシュミレーションは目安としての概算が提示されるものとなりますので、それを踏まえた利用が求められます。

住宅ローン控除等の是正措置

国税庁ホームページにて、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ」というものが、12月11日付けで公表されています。
こちらについては、新聞などでも報道されていましたので、ご存知の方もいらっしゃるのではないかと思います。

その内容は、申告された住宅ローン控除等の適用に誤りがあったのが、そのまま見過ごされていた。というものです。
この事実が、会計検査院の検査により明らかになったとのことです。

会計検査院とは

会計検査院。報道などでこの名前が挙げられることがありますので、名前ぐらいは聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

会計検査院のホームページによると、「国会及び裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する職責を果たしています。」とされています。
国や法律で定められた機関の会計を検査する機関。ということで、国税庁の検査が行われた結果、上記の指摘が行われたと言う経緯です。

国税庁は、その名が示す通り、国税を管轄する組織ですので税金の専門家集団です。
その専門家集団が、外部から税金の取り扱いに誤りがあると指摘を受けてしまったのですから、さぞばつの悪い思いをしているのではないでしょうか。
国民からも「何をやっているんだ」という声が聞こえてきそうです。

制度が複雑すぎる?

住宅ローン控除などの税制は、ひとまとめに住宅税制などと呼ばれますが、この住宅税制、かなり複雑です。
課税庁側を擁護するわけではありませんが、ミスがあったとしても不思議ではないと思えるほどです。

取得時期、取得物件、取得内容、取得者とその相手先、借入時期、借入額、借入者、借入先、借入期間、適用対象者の所得、贈与の有無、他の住宅税制の適用の有無、などとざっと挙げただけでもこれだけの要素が必要になります。
こうした要素が絡み合って、適用ができたり、計算方法が異なったりしますので、安易に考えていると、思わぬ落とし穴にはまってしまいます。
住宅税制を説明した書籍もありますが、上記からも分かるとおり、本格的なものは、相当分厚いものとなります。

なぜこのような複雑なものとなってしまったのかというところですが、税制を決めているのは政治です。
これ以上はいわずもがな。というところではないでしょうか。

誤りは是正される

さて、適用誤りが発覚して、今後どのようになるのでしょうか。
残念ながら、「見過ごしたのは国なので、国の責任でしょう。」とはなりません。
誤った申告をしたのは、納税者。ということになりますので、正しい金額の納税を求められます。

年末調整2018_その3

年末調整2018の最後のブログです。
今回は、本年分からの新様式「給与所得者の配偶者控除等申告書」の具体的な記入について取り上げて行きたいと思います。

「給与所得者の配偶者控除等申告書」の記載例は、国税庁のHPでも掲載されています。
申告者本人の合計所得金額に応じて、記載例が掲載されていますので、参考になるかと思います。
以下、リンクです。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_71_kisairei_haigusha.htm

まずは自分の合計所得金額

「給与所得者の配偶者控除等申告書」を見ると、5つのカテゴリーに分かれています。

  1. 会社と自分の名称と住所の記載欄
  2. あなたの本年中の合計所得金額の見積額欄
  3. 配偶者欄
  4. 合計所得金額の見積額の計算表欄
  5. 控除額の計算欄

です。
この中でまず行うのが、「4」の合計所得金額の見積額の計算表による計算です。

この計算表のカテゴリーには、自分と配偶者の合計所得金額(見積額)を計算する表があります。
「(見積額)」とされているのは、まだ2018年は終わっていないため、所得金額が確定しないためです。
現在までの確定した所得金額と、年末までの見積額を合わせて計算します。

計算表を見ると、「給与所得」から「(1)~(6)以外の所得」の7つの所得に分類されています。
このように分類されているのは、それぞれの所得の計算方法が異なることがあるためです。

これらの所得の計算方法については、「給与所得者の配偶者控除等申告書」の裏面に説明がありますが、普段税務に慣れ親しんでいない人がこれをみて申告書を作り上げるのは、労力を要することになるかもしれません。
ただ、そもそも年末調整は給与所得者が対象となるものですので、副収入が無い限りは、「給与所得」欄の記入のみで終了します。

年末調整の処理は、事業者の中で税務に詳しい人や税理士が行っていることがほとんどですので、他の所得が有り、記入がよく分からない場合は、担当者などに相談してみるのもよいかもしれません。
今回は、給与所得のみがある場合を前提に話を進めていきます。

給与所得のみの方の記入は、それ程難しくありません。
「給与所得者の配偶者控除等申告書」の裏面に「3所得の区分」「①給与所得」として表が記載されていますが、この票に当てはめるだけです。
事業者からの給与の総額を表の左側に当てはめ、該当する行の右側の計算を行うだけです。

例えば、給与総額400万円であれば、400万円÷4=100万円(千円未満切捨て)⇒100万円×3.2-54万円=266万円
よって、給与所得は266万円となります。
これを表面の票に書き写すだけです。その結果「(1)~(7)の合計額」は、266万円となります。
このやり方は、配偶者についても同様です。

「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」欄

上記で計算した金額に基づく判定を行います。
「900万円以下(A)」「900万円超950万円以下(B)」「950万円超1000万円以下(C)」の3つの区分がありますが、該当箇所にチェックを入れて、判定結果を「区分Ⅰ」に記入します。

例では、合計所得(見積額)が266万円ですので、「区分Ⅰ」は「A」となります。

「配偶者」欄

配偶者の合計所得についても、判定を行います。
配偶者のカテゴリーでは、判定項目が①~④となっています。
仮に配偶者がパートなどで収入が103万円以下、かつ、70歳未満とすると、判定結果は「②」となります。
このカテゴリーでは、配偶者の氏名等も記入します。

「控除額の計算」欄

自分と配偶者の判定が終われば、いよいよ控除額の計算です。
自分の判定結果を横軸に、配偶者の判定結果を縦軸にとった表が記載されています。

先の例では、自分の判定結果は合計所得(見積額)266万円で「区分Ⅰ」は「A」。配偶者の判定結果、「区分Ⅱ」は「②」です。
この2つの区分が交差するところの金額が、控除額となります。

例の場合、38万円となります。

なお、表の最終行に摘要がありますが、交差した控除額の摘要となります。
例の場合、配偶者控除が38万円ということになります。

該当する摘要の空欄に控除額を記入して、「給与所得者の配偶者控除等申告書」は完成となります。

字面での説明ですと分かりづらいと思いますが、どのような仕組みで計算されているかを説明すると以上の通りとなります。
国税庁の記入例などと合わせてご覧頂ければ、一助となるやもしれません。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

お問い合わせはこちらから

免責事項

当サイトに掲載する情報に関しまして、細心の注意、調査を行って掲載しておりますが、当サイトのすべてに関して、誤りや変更などに伴うくい違いが含まれる場合もございます。従いまして、これらの正確性および完全性を保証するものではありません。当サイトで公開している情報もしくは内容をご利用されたことで、利用者もしくは第三者の方が直接又は間接的に被害を生じた場合について、当人は一切責任を負うものではありません。