Monthly Archives: 11月 2018

年末調整2018_その2

2018年版年末調整の「その2」です。
「その1」では、記入用紙に変更が有り、2枚であったものが3枚に増えたことを取り上げました。
これは、今まで保険と配偶者に関する用紙が1枚であったものが、それぞれ1枚ずつになったことによるものです。
用紙が分かれたことには意味があります。

配偶者控除及び配偶者特別控除の改正

用紙が分かれたのは、配偶者控除及び配偶者特別控除の改正によるものです。
つまり、配偶者に関する記入項目が増えたため、保険関係と同一の用紙では、記入スペースが確保できなくなったことによるものです。
記入項目が増えたのは、改正により判定しなければならないことが増え、その判定を用紙の上で行って記入を進めていく方式になったためです。
よって、改正の内容を知らなくても、用紙に沿って記入していけば、記入が完了するようになっています。

結局何がかわった?

改正で何が変わったか知りたい。
そのような人のために、改正の内容を大まかに説明していきます。
分かりやすくするために、配偶者(特別)控除を受ける人は夫、その配偶者を妻とします。
改正の内容は以下の通りです。

  • 夫の合計所得が1,000万円を超えたら、適用なし
  • 夫の合計所得が900万円を超えたら、合計所得に応じて控除額が減額
  • 妻の合計所得の上限が76万円未満から123万円以下に増加

これらをみて、引っかかる部分があるとしたら、「合計所得」ではないでしょうか。
個人が収入を得る原因は、物を売ったり、事業を営んだり、会社に勤めたり、競馬で当たったりと、様々です。
これらは、それぞれ譲渡所得、事業所得、給与所得、一時所得などに分類されます。
これらの所得の合計が「合計所得」ということになります。

なお、「収入」と「所得」は異なります。どちらかと言えば、「所得」は「利益」に近いものとなります。
例えば、事業を営んでいたら、売上が収入、経費が支出、利益が所得といった具合になります。
一般的にいわれる「103万円の壁」については、以前のブログをご覧下さい。

「103万円の真実」へ

以下、詳細です。

夫の合計所得が1,000万円を超えたら、適用なし

以前は、配偶者特別控除のみ設けられていた制限ですが、配偶者控除も制限されることになりました。
配偶者特別控除と配偶者控除のとちらが適用されるかは、妻の合計所得によります。

夫の合計所得が900万円を超えたら、合計所得に応じて控除額が減額

今回新設された制限です。900万円以下の場合は制限の対象とはならず、1,000万円を超えたらそもそも控除の適用がありませんので、夫の合計所得が900万円超~1,000万円以下の場合にのみ影響があります。

妻の合計所得の上限が76万円未満から123万円以下に増加

以前は妻の合計所得が76万円以上であると、控除がありませんでした。
改正により、123万円までは控除できることになりました。

まとめると以下のようになります。

  • 夫の合計所得が900万円以下…妻の合計所得123万までは控除可能。妻の合計所得増加に伴ない控除額減少
  • 夫の合計所得が900万円超、1000万円以下…「900万円以下」の場合に加えて、夫の合計所得が増加する場合も控除額が減少
  • 夫の合計所得が1000万円超…控除なし

年末調整2018_その1

年末調整の季節です。
従業員などに給与の支払いをしている法人・個人事業者に対して年末調整関係書類が管轄の税務署から送られてきているのではないでしょうか。
お勤めの方は、事業者から既に関係書類を渡されているかもしれません。

この毎年の季節行事ともいえる年末調整ですが、本年分は一味違います。
以下、本年分の特徴をご紹介して行きたいと思います。

書類が一つ増えた

従来、各従業員に渡している書類は2枚でした。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書

の2枚です。
こうした書類が、今年から3枚になります。

  1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  2. 給与所得者の保険料控除申告書
  3. 給与所得者の配偶者控除等申告書

です。
ご覧の通り、従来の保険料控除兼配偶者特別控除申告書が保険料控除申告書と配偶者控除等申告書に分離されました。
では、なぜ分離されたのでしょうか。

これは税制改正により、配偶者に係る控除額の計算と判定が複雑になったためです。
これについては、次回ご紹介したいと思います。

なお、配偶者のいない方、つまり独身の方は、この「配偶者控除等申告書」の記入は不要です。

予算縮小?ICTの推進?

税務署から送られてくる年末調整関係書類ですが、3種類の書類が各1枚ずつしか入っていません。

これは、私が見た限りについての話ですので、全国的にそのようなになっているか確認は取れていないのですが、恐らく1枚ずつの封入が原則として行われているのはないでしょうか。
つまり、「コピーして使ってください。」という意図が込められていることになると思います。
これについては、行政サービスの低下として受け止める人もいらっしゃるかもしれません。

書類の部数は減少した理由を推察するのは、そう難しくありません。
予算の縮小とICTの推進です。

毎年予算が縮小されているという話を聞きます。
公表されている数値を確認たわけではありませんので、他に予算が振り分けられて縮小しているのか、全体的に縮小しているのか、その両方なのかはわかりませんが、予算が減らされれば、その影響は納税者に響きます。

もう一つはICTの推進です。
ICT(Infomatoin and Communication Technology)は、日本語で表すと「情報通信技術」、通信技術を活用したコミュニケーションを指します。
最も単純に言ってしまえば、インターネットを活用したデータ処理の効率化、ペーパレス化ということになると思います。

現在、年末調整で必要になるこの3枚の申告書ですが、パソコンで入力することができるファイルが国税庁のホームページからダウンロードできるようになっています。
つまり、「手書きではなく、そちらを活用してください。」と意図があるではないでしょうか。

Googleのお裁き(過剰防衛編)

以前、Googleアカウントへのログインがブロックされたことを取り上げました。
その時は、ふとGoogleからメールが届き、その内容が「ログインをブロックしました。」というものでした。

単純に考えれば、私以外の誰かが私のアカウントにログインを試みて、Googleがブロックをしたということになり、心配になる内容です。
ただ、Googleによれば、Google以外のアプリからアカウントにログインしようとするとブロックすることになっているようで、その時はメールソフトが関連しているのかと思いつつも、念のためパスワードを変更して、現在に至っている状況です。
確固たる原因は分からないままですが、自分以外がログインを試みた時にしっかりとブロックしてくれたということで、「適切防衛編」とタイトルをつけました。

今回は、「過剰防衛編」

以前の「適切防衛編」と区別するために、「過剰」と書いていいますが、過剰かどうかは人それぞれであると思います。
今回は、Googleアカウントのログイン画面でIDとパスワードを入れて実行したところ、次のメッセージが現れました。

「この端末は認識されていません。セキュリティ保護のため、Google では本人であることを確認する必要があります。」

「何で?」と思ったものの、続いて読むと、次の説明があります。

「確認コードが記載されたテキスト メッセージを受け取る電話番号を入力してください。」

ここで、電話番号を入力すれば、ショートメッセージなどで確認コードが送られてきて、それを入力すれば本人確認は終了ということになり、ログインできるようになるのだと思います。

しかし、元々アカウントを作成するときに電話番号を登録していないこともあり、メッセージ画面には「他の方法を試す」といった内容の案内もあったので、いろいろ試してみたのですが、どれもうまくいきません。
Googleのヘルプページを見ても、「スマートフォンを使用してログインする」というものが案内されています。
こちらもアカウント作成時に登録した内容の他に、新たに本人と識別できる情報の提供が必要となっているようです。

結局、そのままログインすることはかなわなかったのですが、再度冒頭のメッセージを見てみると、「この端末は認識されていません。」とあります。
「この端末は…」ということは、認識されている端末があるということではないかと気づき、別端末からログインを試みたところ無事に成功しました。

「適切防衛編」でも書きましたが、Googleアカウントに通常ログインしている端末以外からの端末からログインが試みられると、基本的にブロックされる仕組みで、そのブロックをその流れで解除するには本人確認が必要となるようです。
アカウントの設定などで、新たにログインを試みた端末が不正なものではないとわかれば、以後その端末からもログインができるようです。

適切か過剰かは見方次第

お気づきかも知れませんが、今回は「適切防衛編」でいうところの、「あなたのパスワードをつかって、Google以外のアプリからアカウントにログインしようとした人」が自分であった場合に起こる話です。

今や正しいIDとパスワードが入力されても、それだけでは本人とはみなされず、更なる確認が要求されることも当然のように行われるようになってきました。

我々税理士がよく使用するe-taxもIDとパスワードを用いますが、そのような方向に進んでいるのかもしれません。
事実、2019年から個人のメッセージボックスの閲覧には、マイナンバーカードが必要とされることになっています。
個人の確定申告に関する情報が格納されるメッセージボックスは、まさしく個人情報ですので、その管理を強化する狙いがあるようです。

セキュリティやその管理が強化されることによって、新たな手続きが必要になったりすることもあるわけですが、これらを踏まえてそれが適切か過剰かを判断するのは、それぞれその人の見方次第なのかも知れません。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

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