税務調査等の(個別)状況
国税庁から公表された「平成28事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」は、ホームページでその概要が説明されていると共に、参考資料が掲載されています。
その資料の中に以下の個別状況が掲載されています。
- いわゆる「富裕層」への対応
- 海外投資等を行っている者の調査状況
- 無申告者に対する調査状況
- インターネット取引を行っている者の調査状況
事案が個別に取り上げられていることから見ても、所得税・消費税の税務調査において、これらに内容について力を注いでいることは容易に想像できます。
これらの内容について少し見てみましょう。
いわゆる「富裕層」への対応
いわゆる「富裕層」。つまり、お金持ちです。
お金を持っていると、そのお金をどのように使うかということになり、資産運用に行きつくことが多いようです。
国税庁でも、資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭にして、積極的に調査の実施に取り組んでいるとしています。
今回の公表内容からは、どのような場合に富裕層として取り扱われるのかまでは掲載されていませんでしたが、富裕層の1件当たりの追徴税額は304万円で、所得税全体の実地調査(特別・一般)の1件当たりの追徴税額154万円の約2倍となっていると、公表されています。
調査対象を海外取引などを行っている富裕層に絞ると、1件当たりの追徴税額は772万円とさらに高額となり、全体の約5倍です。
税金の徴収側から見れば、富裕層に対して税務調査を行ったほうが徴収効率がよいということになります。
海外投資等を行っている者の調査状況
経済社会の国際化に適切に対応していくためとして、積極的に調査を実施しているそうです。
こちらの1件当たりの申告漏れ所得金額も、全体の約1.9倍となっていると公表されています。
先程の富裕層に対する内容から見ても、これを裏付ける形となっています。
無申告者に対する調査状況
日本国憲法第30条にもある通り、国民は納税の義務を負っています。
そのため、税金の納付を避けている可能性が高い無申告については、的確かつ厳格に対応していくとされています。
申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすこととなるという理由もあるようです。
マイナンバーの活用が進むと、個人所得の捕捉精度は上がりますので、これから調査件数も増えていくのではないでしょうか。
インターネット取引を行っている者の調査状況
インターネットによる取引も当然のようになって来ました。
ただ、インターネット取引と一言でいっても、その内容はネット通販、コンテンツ配信、ネットオークション、ネット広告、ネットトレードなど様々です。
これら全てにおいて所得が生じる可能性があるわけですが、現在のところネット通販とネットオークションで調査件数の過半数を占めているようです。
ただ、1件当たりの申告漏れ所得金額は、これらに該当しないネット取引が最も多く、今後調査対象がこちらにシフトする可能性もあるのではないでしょうか。
さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT
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関東信越税理士会浦和支部所属
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