全額控除のふるさと納税額の目安


前回ふるさと納税額が全額控除される目安となる一覧表があることをご紹介しました。
総務省のふるさと納税ポータルサイトに掲載されている一覧表をもとに検証してみましょう。

いろいろと前提がある

給与所得者

総務省に掲載されている一覧表は、給与所得者が前提です。
表の基準となる年収のタイトルも「ふるさと納税を行う本人の給与収入」となっています。

これは何も給与所得者のみが、ふるさと納税による控除を受けられるといっているわけではありません。
ただ他の所得者については、この一覧表は利用できません。
これは給与所得者が最も多い所得者であるために、給与所得者が前提とした一覧表が作成されているものと推測されます。

社会保険料は15%

事業者は一部を除き社会保険適用事業者となりますので、給与所得者は社会保険に加入することになります。
よって、給与所得者の税金を計算するには社会保険料を考慮することになります。

一覧表では社会保険料を給与収入の15%として計算されています。
ちなみに埼玉県の現在の社会保険料の自己負担割合は、介護保険2号保険者(40歳以上)で、標準報酬月額の14.91%となります。

他の控除などは考慮されていない

総務省の一覧表は、住宅ローン控除や医療費控除など、他の控除を受けていないものとして計算されています。
こうした控除の有無や金額は個別事情となりますので、多くの人に向けて作成された一覧表に含めるには適さないためです。
一覧表があくまで目安とされる一因となります。

実際に計算

一覧表にある全額控除されるふるさと納税額を検算してみます。

前提は、給与収入300万円、独身又は共働き、子供なしです。
この場合、全額控除されるふるさと納税額は28,000円と算出されています。

では、一気に計算してみましょう。

  • 給与収入3,000,000円
  • 給与所得1,920,000円
  • 社会保険料控除450,000円(300万円×15%)
  • 住民税基礎控除330,000円
  • 課税所得1,920,000円-450,000円-330,000円=1,140,000円
  • 住民税所得割額1,140,000円×10%=114,000円
  • 調整控除後114,000円-2,500円=111,500円
  • ふるさと納税控除特例分限度額111,500円×20%=22,300円
  • ふるさと納税限度額22,300円÷(1-10%-5.105%)+2,000円=28,267円

となり、28,267円まで自己負担2,000円となる結果となりました。一覧表の28,000円と近い数字です。

ざっと解説

給与は収入が分かれば所得を計算できます(特定支出控除がない場合)。その金額が1,920,000円です。
調整控除とは、平成19年に国から地方へ税源が移譲したことに伴い生じる個人市民税・県民税と所得税の人的控除の差額に起因する負担増を調整するための控除です。このケースの場合2,500円となります。
ふるさと納税の住民税からの控除(特例分)は、住民税所得割額の20%が限度です。
ふるさと納税の限度額に計算で用いた「-10%」は住民税からの控除(基本分)、「-5.105%」はこのケースの場合の所得税と復興特別所得税の合計税率です。
(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税等の税率)が特例分の計算式ですが、先に20%を乗じて特例分限度額を求め、割り返すことでふるさと納税の限度額を求めています。

実際の計算はさらに細かい取り扱いがありますが、今回のケースでは、これで検証が可能です。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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関東信越税理士会浦和支部所属

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