源泉徴収漏れ・前編


昨日、源泉所得税について取り上げました。
源泉徴収義務者は、その対象者に支払いをする場合、所得税を徴収して、これを国(税務署)に納付しなければなりません。
このため、源泉徴収義務者に徴収漏れがあった場合には、徴収が漏れた分の所得税の納付を求められます。
これは昨日も取り上げたとおりです。

ここで勘のよい人は、あれっ。と思うのかもしれません。
これも昨日述べたことですが、支払っているのは源泉徴収をした対象者の所得税です。
対象者はこれにかかわらず、自分自身の納税手続きを行っているはずです。
これはどういうことでしょうか。

源泉徴収制度と所得税の関係

昨日の例では、対象者が給与所得者、つまり従業員でしたが、給与所得者には年末調整という特別な取り扱いがあります。
そこで、今回は対象者を税理士にして説明してみたいと思います。

会社が税理士に報酬を支払う場合、源泉徴収をします。
税理士へ報酬を支払う場合の源泉徴収税率は、10%(復興所得税を除く。)です。
よって、1年間の報酬が100万円だとしたら、源泉所得税は10万円です。90万円を税理士へ、10万円を国へ支払います。

税理士は確定申告

税理士には年末調整の適用はありません。よって、1年間の自分の所得について確定申告をしなければなりません。
先の会社からの報酬も含めて所得税額を計算したら、30万円になったとします。
この場合、税理士が国に支払う金額は30万円-10万円の20万円です。
10万円は既に会社から国へ支払われていますので、残りの20万円を支払えばよいわけです。
これが源泉徴収制度を踏まえた所得税の仕組みです。

源泉徴収がされなかったら

先の例で会社が源泉徴収をせず、100万円を税理士に支払っていたとしたら、どのようになるでしょうか。
結論を先に言いますが、税理士は自身の確定申告で30万円を国に支払います。
どちらの例でも、税理士の所得税額は30万円で変わりはありません。先に10万円を報酬から差し引いて会社に支払ってもらうかどうかの違いです。
「結局、同じじゃないか。」と思われてしまいそうですが、ここで問題となるのが、源泉徴収義務が規定されていることです。

源泉徴収制度

源泉徴収義務の規定されているのは、租税収入の安定化というような類の理由だと思います。
所得税の確定申告による納付期限は、原則3月15日です。源泉徴収制度がなければ、国からしてみれば、この時期にしか所得税の税収がないことになります。
また、全ての人が納税手続きをきちんと行っていればよいのですが、そうでない人がいるのも現実です。
源泉徴収制度を設けることによって、税金の収納時期を分散化し、収納率を高めることができるわけです。

このような背景から、源泉徴収漏れを指摘されると、源泉所得税の納付を余儀なくされることになります。
なお先の例では、税理士報酬の源泉徴収として述べましたが、実際には、「御社には、源泉徴収義務がありますので、源泉所得税を徴収して納付しなければなりません。」と説明をすることが税理士の職務となりますので、税理士に限っていえば、後者の例は、まずありえないのではないかと思います。

では、源泉徴収漏れを指摘されたら、どのようになるかということですが、こちらは「後編」で説明したいと思います。

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