ふるさと納税の経費率


ふるさと納税を受ける自治体が負担する経費が膨らんでいるそうです。

総務省のデータを元に、民間の会社が独自に調査・集計したものですが、全国平均で50%を超える経費率となったようです。

ふるさと納税に関する経費といえば、まず返礼品の調達に係る経費、事務費などですが、その他にも返礼品を紹介する事業者への業務委託費なども含まれます。
経費率が高かったとしても、100%を超えない限り自治体には利益が残りますので、自治体にとってはふるさと納税を受ける利点はあります。

ただ、調査によると赤字となった自治体もあるようです。
なぜ?と思われるかもしれませんが、内容をみると、返礼品として今までに贈った商品券の換金に伴なう支出ということですので、これはあくまでも単年度の集計によるものと思われます。
ふるさと納税による寄付という収入が先にありますので、単年度で赤字となっても、自治体にとっては痛手とはならなかったのではないでしょうか。

経費率が100%を超えない限り、ふるさと納税による寄付がある自治体にとってはマイナス要因はないのですが、この経費率に影響があるであろう通知が、2017年の4月に総務省から各自治体に行われています。

そのタイトルは「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」です。

この通知では冒頭で、

  • ふるさと納税制度は、ふるさとや地方団体の様々な取組を応援する気持ちを形にする仕組みとして創設されたものであること。
  • 最近において、地方団体間の競争が過熱しているほか、一部の地方団体においてふるさと納税の趣旨に反するような返礼品が送付されている。

とあり、制度の趣旨に沿った責任と良識のある対応を厳に徹底するように。とされています。
また、この通知は法律に基づくものとされています。

通知のなかでは、ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品は、送付しないようにすることとされ、具体的には、

  • プリペイドカードや商品券など、金銭類似性の高いもの
  • 資産性の高いもの
  • 価格が高額なもの
  • 寄附額に対する返礼品の調達価格の割合(以下、「返礼割合」という。)の高いもの

として例示し、返礼割合は3割以下にすること。としています。
なお、総務省は個別の地方団体における返礼品送付の見直し状況について、今後、随時把握する予定であるとしています。

こうなってくると、ふるさと納税にかかる経費率は下がる傾向にあると見ることが出来そうです。
ただし、返礼品の価格が下がるということになりますので、ふるさと納税自体の金額も下がるのかもしれません。

現在、10,000円のふるさと納税があったとして経費率50%で考えると、自治体の手元に残るのは5,000円です。
仮に経費率が40%となった場合に、手元に5,000円を残すには、8,334円のふるさと納税を受ければよいことになりますが、返礼品の価格が下がった場合、どのような結果となるのか注目されるところです。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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関東信越税理士会浦和支部所属

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