ふるさと納税が問題視?


少し前、ふるさと納税に関する報道がいくつもされていました。
その内容は、「自治体の1/4が流出超過」「減収」など、ふるさと納税によって税収が減少してしまった自治体に着目したものでした。

その年度の住民税額の総額は決まっているため、各自治体でその取り分を競い合うという様相を呈することになりますので、税収が増加又は減少する自治体があるのは当然の結果なのでしょう。
減収額の大半は、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県のものとなっているそうです。
さいたま市も流出超過のベスト10にランクインしていました。

ふるさと納税については、「現状と課題」などと称して、論じられることがあります。

例えば、行政サービスを受ける住民が税金を負担するという観点から逸脱するというもので、居住地以外の自治体にふるさと納税をした場合、ふるさと納税を利用した人は、利用していない人より安い納税額で居住地の行政サービスを受けられることになる。というものです。

また、ふるさと納税に起因した財政不足により行政サービスが低下した場合、その不利益はふるさと納税を利用していない人にも及ぶ。というものもあります。

こうしたことが論じられると、かえってふるさと納税の利用に拍車がかかってしまうこともありそうですが、理論的にはこのようになる可能性もあるということです。

ふるさと納税による減収については、地方交付税によって補填されることを以前のブログでも紹介しました。
地方交付税はほとんどの自治体に交付されますが、一部の自治体には交付されません。
また、交付されるとしても、減収額の75%の交付に留まります。

つまり、ほとんどの自治体は減収分の25%を自己負担、一部の自治体は100%自己負担となります。

さいたま市は交付の対象となっている自治体ですが、ふるさと納税の流出額が15.9億円という報道がされていました。
単純計算で自己負担額は3.975億円、約4億円となります。
4億円分の行政サービスがなくなっていると考えると、少ない金額ではないように思えます。

ふるさと納税制度に対して、問題提起している自治体もあります。東京都の杉並区です。
「ちょっとヘンだぞふるさと納税」と称して、ホームページで公表しています。

杉並区は、地方交付税が交付されない一部の自治体の1つです。東京都とその特別区は不交付自治体となりますので、100%自己負担となります。

杉並区によれば、ふるさと納税の影響で平成28年度には7億3,000万円の住民税が失われ、29年度には流出額が11億円を超えることが見込まれているそうです。
その額は、認可保育所3~4か所の整備費用に匹敵し、このまま増え続ければ3年で学校をひとつ作れるほどの額になると主張しています。

なお、地方交付税の財源は、所得税、法人税、酒税、消費税、地方法人税となっていますので、結局国民が負担していることには変わりはありません。
ふるさと納税の制度が現状のままとなるかどうか。今後が注目されます。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

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