赤字でも生じる消費税


前回の「平成28年度租税滞納状況」の際に、消費税は「赤字でも納税額が生じる税金」と紹介しました。
少し掘り下げてみたいと思います。

国に納付する税金といえば、主だったものとしては、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税があります。
このうち、所得税、法人税は利益に対して課税される税金。
相続税は、相続した財産が一定以上あった場合に課税される税金です。
これらは前回もお話したとおりです。
まは、贈与税は贈与があった場合に課税される税金です。

相続税や贈与税が課される場合も、何かしらの財産を取得していますので、広義にみれば、これらも利益に対する税金として考えることができます。

一方、消費税ですが、大雑把に言ってしまうと、売上に係る税金です。
このように言ってしまうと、やや語弊があるのですが、説明をしていきたいと思います。

まず、消費税を負担する人は誰か。ということを明確にしなければなりません。
消費税の負担者は、最終消費者です。

つまり、A商店がお客さんに商品を216円(税込)で販売したら、消費税の負担者は「お客さん」です。現在の消費税率は8%ですので、16円を負担することになります。

ただし、実際に納付をするのは、「お客さん」ではありません。A商店が納付します。

これは、A商店は216円のうち、16円の消費税を「お客さん」から預っているということになります。
さて、ここでA商店は16円を納めなければならないのかといえば、通常はそうなりません。A商店も商品を仕入れているからです。

例えば、A商店がB商店から108円(税込)で商品を仕入れたとします。
すると、B商店は8円の消費税を預っていることになり、納付することになります。
なお、A商店の利益は、売上216円-仕入れ108円=108円となります。

最終消費者の「お客さん」が負担する消費税額は16円で、そのうちB商店が8円を納付することになりますので、A商店は残りの8円を納付すればよいわけです。
つまり、A商店の利益108円の消費税分という計算になります。

ここまで見ると、消費税は「売上に係る税金」「赤字でも生じる税金」なのでは?と思われるのではないでしょうか。

先の例では、A商店でしたが、今度は身一つで仕事を行っている人、例えばSE(システムエンジニア)で考えてみましょう。

SEが216円(税込)の仕事を受注したとします。仕入れなどの経費がなければ、16円を納付することになります。
理論的には、預っている税金を納付しているに過ぎないのですが、「売上に係る税金」という印象が強いのではないでしょうか。

また、この場合で、従業員を雇って給与を300円支払ったとしたらどうでしょうか。収支は赤字になります。

ここで重要なのは、「給与には消費税がかからない」ということです。給与をもらった従業員は消費税を預っているわけではありませんので、納付する消費税もありません。
従って、SEは赤字であっても16円の消費税を納付することになります。

仕入れも給与も事業主からしてみれば経費ですが、経費には消費税がかかるものと、かからないものがあるということです。
これが赤字でも消費税が生じるという仕組みです。

実際にはSEでも、パソコンを買ったりと消費税のかかる経費がありますので、その分は控除することができます。
反対にA商店の場合で、この他に給与を支払っていたとすれば、赤字になっても消費税を支払うことになります。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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関東信越税理士会浦和支部所属

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