平成28年度租税滞納状況


国税庁から、平成28年度租税滞納状況が公表されました。
国税庁曰く、「適正かつ公平な徴収を実現するため、期限内収納の確保に努めるとともに、滞納となったものについては、納税者個々の実情を踏まえながら、法令等に基づき、滞納処分を実施するなどして確実な徴収に努めています。」とのことです。
「個々の実情を踏まえながら」とはいいつつも、そこはやはり税金です。その判断は厳しいものとなるでしょう。

なお、滞納とは、国税が納付期限までに納付されず、督促状が発付されたものをいいます。
「法令等に基づき」とあるように、徴収職員が思うがままに滞納処分をしているわけではありません。

例えば、督促状は原則として、「その国税の納期限から50日以内に発するものとする。」とされています。
そして、滞納処分として財産の差し押さえができるのは、「督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないとき」とされています。
「差し押さえができる」と書きましたが、規定には「徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない。」と、義務規定として定められています。

さて、平成28年度の滞納状況ですが、全税目で見ると、新規発生額、年度末の残高ともに、前年度に比べ減少しています。
年度末の残高は平成11年度をピークに18年連続で減少しています。
徴収側の努力はもちろんあることと思いますが、情報の電子化など、社会背景の変化も大きく影響しているのではないでしょうか。
また、ご存知の通り、既にマイナンバー制度が導入されていますので、情報の取得・整理が進み、今後益々滞納額は減っていくのが予想されます。

税目別に見てみると、滞納残高は所得税が最も多くありますが、新規発生額で最も多いのは消費税です。
残高が最も多い所得税ですが、所得税はその内容が、給与などから天引きする源泉所得税と個人事業者などが1年分の所得を計算して算出する申告所得税に分かれます。

源泉所得税は、名前の中に「所得税」が含まれていますが、給与などの支払をしているのは、個人事業者ももちろんいますが、そのほとんどは法人です。つまり、源泉所得税を滞納している大半は法人というように見ることが出来ます。

このように考えると、滞納残高でも消費税が最も多くなります。

消費税の滞納額が多くなる理由については、容易に想像がつきます。
一言でいってしまうと、赤字でも納税額が生じる税金。だからです。

法人税や所得税(源泉所得税除く)は、利益に対して生じる税金です。赤字であれば、税金はかかりません。
相続税も財産がなければ税金はかかりません。

業績が赤字ということは、事業者にお金がないということに繋がります。
今までの蓄えがあれば納税することも可能ですが、そうでなければ、滞納ということになってしまうことが多いのだと思います。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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