GPIF昨年度収益額7.9兆円
私たちが支払った年金の保険料を運用して、昨年度の2016年度は7兆9363億円の運用収益があることが分かりました。
その結果、運用資産額の2016年度の残高は144兆9034億円となりました。
私たちが支払った年金の保険料を管理運用しているのは、年金積立金管理運用独立行政法人です。
新聞や雑誌の見出しなどではGPIFとして表記されることが多いようです。
GPIFは「Government Pension Investment Fund」の頭文字をとった形となります。このままインターネットの翻訳にかけてみると、「政府年金投資ファンド」と訳されました。
さて、このGPIFですが、国から保険料の運用寄託を受けて、信託銀行や投資顧問会社などの運用受託機関に寄託資金の運用を委託します。
そして運用によって得られた収益(の一部)を国に戻し、年金給付の財源に当てられるという仕組みです。
「寄託」とは、あまり聞きなれない言葉ですが、「ものを他人に預け、その処理を頼むこと。」と、ネット検索で表されました。
運用の流れを2016年度で見てみると、
2015年度末の運用資産残高は134兆7475億円で、国からの寄託金が2兆6118億円。
こららを合わせて運用した結果、7兆9363億円の運用益。
そして国に戻した金額が、年金特別会計への納付として2907億円、寄託金の償還として650億円。
その他経費等を差し引いて、2016年度の残高は144兆9034億円。
という流れになります。
7兆9363億円の収益がありながら、国に戻した金額は合わせても3557億円で、残りは再投資されることになります。
投資の複利効果を狙ってのことなのでしょうか。
こうして運用した損益の累積は、市場運用を開始した2001年度からの累積で53兆3603億円の収益となります。
つまり、運用資産残高の1/3以上は収益によるものという計算になります。
こうしてみると、一見世間で言われているような年金制度に関する問題はなさそうに思えますが、「公的年金財政状況報告-平成27年度-」(要旨案)によると、公的年金の単年度収支状況をみると、運用損益を除いた収支の総額自体はプラスになっているものの、年金の給付費が50兆6592億円、保険料の収入33兆8065億円、国庫・公経済負担が12兆2043億円となっており、給付金と保険料等の関係を見ると赤字です。
ここからは想像ですが、年度が異なりますが、GPIFのから国へ戻した金額は2016年度で3557億円ですので、毎年度この程度だとすれば、給付による赤字を補填するほどには運用資産から支出されていないように思えます。
また数字を見る限り、保険料の収入は全額給付に当てられているように見えます。
そうすると、GPIFへの国からの寄託金の原資は何なのか気になるところです。
なお、公的年金財政状況報告の2015年度の年金積立金残高は174兆7161億円で同年度のGPIFの残高と40兆円の差額があります。
年金の専門家でもなく、詳しく調べていないので分かりませんが、これが原資なのか、又は税金を投入しているのかなど、いろいろと想像が膨らみます。
さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT
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関東信越税理士会浦和支部所属
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