前回、水道料金の値上げが相次いでいることを取り上げました。
その理由の1つとして、設備の老朽化が挙げられています。
これを受けて、投資の回収が思うようにできていなかったのだろうか。と前回申し上げたのですが、今回はこれを少し掘り下げてみたいと思います。
投資の回収。いわずもがな、事業に投下した資金を回収することです。
この投下した資金ですが、水道事業で最も判りやすいのは、水道管の敷設ではないでしょうか。
水道管の敷設には多くの資金が必要になります。
そして、資金の回収といえば、私たちが支払っている水道料金によって回収することになります。
これを会計面から見てみます。
判りやすくするため、以下の前提で行います。
手持資金1,000円、水道管の敷設費用500円(耐用年数10年)、毎年の水道料売上収入100円、毎年の経費支出30円
手持資金1,000円の中から、水道管の敷設費用として500円を使用とするので、残りの資金は500円です。
1年後、売上100円-経費30円=70円の資金が回収できます。よって1年後の手持ち資金は570円となります。
ただ、70円=利益ではありません。ここから会計の概念が入ってきます。
始めに投資した水道管ですが耐用年数は10年、つまり10年間は使用できる設備です。ならば、10年間で費用化しようというのが会計の考え方です。
つまり、500円÷10年=50円を毎年費用として計上することになります。この手続きを減価償却といいます。
よって、売上100円-経費30円-減価償却費50円=20円が利益となります。
これは、多くの資金を必要とする設備などは、支払った時に全額費用にするのではなく、それが使用できる期間などに応じて費用にしていこうというものです。
このことは経営にも役立ちます。例で言うと、最低でも毎年80円以上の売上がないと、10年後に投資の全額回収が出来ないことがわかります。
もし当初の手持資金が水道管の施設費用きっかりの500円だとしたら、毎年80円以下の売上では再投資する資金が足りないこととなります。
こうしたことから経営判断の材料になります。
冒頭の「投資の回収が思うようにできていなかったのだろうか」ですが、例で言うところの「毎年80円以上の売上」が危ぶまれている(若しくは既に下振れている)ということが推測できます。
ただ、施設の老朽化や人口の減少は、今に始まったことではありませんので、値上げに至る経緯については、そう単純な話ではないのかも知れません。