複式簿記とfreee
freeeの特徴を述べてきましたが、ここまでの内容から便利そうだと思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに入力作業という観点からは、通帳やカード明細などの数字をそのまま会計情報として落とし込めたり、請求書を作成すると仕訳に反映されたりと、手間を省くことができます。
また、これらの処理は基本的に簿記の知識がなくても行えるものですので、そういった面からは魅力があるものになります。
しかし、必ずしも使いやすいとは言えない部分もあります。今回はその点にもスポットを当ててみたいと思います。
freeeの特徴は「口座」にあると以前申し上げましたが、この「口座」から処理された取引は、外見は仕訳とし表示されますが、内面では「口座」のまま処理されます。
少し分かりづらいと思いますので、具体例を挙げながら説明していきます。
例:「A銀行に得意先のB社から売上代金の10万円の入金があった。」
という取引があったとします。A銀行の通帳には摘要欄にB社、入金欄に10万円が記帳されます。
freeeでも、同期を行うと摘要B社、入金10万円読み込まれます。
その後、登録の段階で入金の内容を「勘定科目」として表します。ここでは「売上」とします。
なお、freeeでは登録の段階で「品目」、「部門」、「メモタグ」での分類ができ、「備考」も記述できます。
また、読み込みの段階で「取引内容」を入力できます。
登録が終わると仕訳も完成します。
仕訳の内容は(借方)現金(貸方)売上で金額はいずれも10万円です。
複式簿記による会計帳簿の作成は少なくとも「仕訳帳」と「総勘定元帳」が必要になります。
「仕訳帳」は仕訳が記載された帳簿です。
「総勘定元帳」とは、勘定科目ごとにまとめられた帳簿です。先の例で言えば、「現金」と「売上」という勘定が作成されることになります。「現金」の勘定には、相手科目として「売上」が、「売上」の勘定には「現金」が記帳されます。これが「複式」といわれる所以です。
ここまで来るとお気づきの方もいると思いますが、仕訳と総勘定元帳は連動します。科目名称や金額はもとより、その摘要も然りです。
freeeにおいても、登録が終了すれば仕訳が表示され、総勘定元帳も作成されます。
ただ注意が必要な点は、freeeでの記帳は、摘要に関しては双方向に表示されないという点です。
一般の会計ソフトでは、摘要欄に記載する内容を変更したい場合には、仕訳帳、総勘定元帳のいずれからの変更でもすべてに反映されます。
freeeに関しては、「口座」を用いて登録された取引については、口座の登録内容の修正という扱いになります。仕訳帳や総勘定元帳から変更しようとしても「口座」に関する画面が呼び出されます。
「品目」、「部門」、「メモタグ」、「備考」の内容はその画面で変更できますが、「取引内容」については一度決定されてしまうと変更できません。
会計帳簿は作成することに意識を置きがちですが、本来は見るために作成するものです。
見やすくするために記載内容を変更しようとすることは多々あります。
このような点に関しては、不便さを感じてしまうことがあるかもしれません。
さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT
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関東信越税理士会浦和支部所属
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