BEPSプロジェクトを踏まえた税制改正
引き続きBEPS関連です。
BEPSプロジェクトの勧告を踏まえ、多国籍企業グループによるグループ内取引を通じた所得の海外移転に対して適正な課税を実現するため、多国籍企業のグローバルな活動・納税実態を把握するための制度を整備するという税制改正が行われました。
このように国際機関などで取り決められた事象が税制改正という日本国内の手続きを得て、企業などの経済活動に影響がでてくるるようになります。
今回の改正では、多国籍企業グループに対して、以下について税務当局に提供(または作成・保存)することを義務付けられることとなりました。
- 「ローカルファイル」:関連者間取引における独立企業間価格を算定するための詳細な情報
(2017年4月1日以後開始する事業年度分から作成・保存。) - 「マスターファイル(事業概況報告事項)」:グループの活動の全体像に関する情報
(2016年4月1日以後開始するグループの親会社の会計年度の情報から税務当局に提供。) - 「国別報告書(国別報告事項)」:国別の活動状況に関する情報
(2016年4月1日以後開始するグループの親会社の会計年度の情報から税務当局に提供。)
作成する各ファイルなどの内容は以下のように紹介されています。
- ローカルファイル〈親・子会社が各々作成〉
- 組織図
- 経営戦略
- 主要な競合他社
- 主要な関連者取引と取引背景
- 移転価格算定根拠
- 財務諸表 等
- マスターファイル〈親会社が作成〉
- グループの組織図
- 事業規模
- 保有する無形資産の情報
- グループ内の金融活動に関する情報
- グループ全体の財務状況と納税状況
- 国別報告書〈親会社が作成〉
- 親会社・子会社所在国ごとの多国籍企業グループの下記情報
- 総収入・所得・税額・資本金等の財務情報
- 従業員数
- 有形資産額
- 主要事業 等
これらを一言で言ってしまうと、「税務当局が調べやすいように、自分たちで必要資料をまとめて提出してください」ということになります。
なお、様式は各国共通の様式に基づくようなので、ICT技術の普及度や発展度を考えると、国際的なデータベースとなることも不可能でないように思えます。
さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT
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営業時間 平日9:00~18:00
関東信越税理士会浦和支部所属
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