申告難民
「申告難民」という言葉を目にしました。
税理士という職業柄「申告」とみると、つい目をやってしまいます。
この言葉を目にしたときに大体想像はついたのですが、やはり相続税に関するものでした。
ご承知の方も多いと思いますが、本年から相続税法の改正により、確定申告の対象者や相続税額が増えることが見込まれています。
5,000万円や3,000万円という金額を見聞きした方も多いのではないでしょうか。
今回の改正内容の最重要項目で、全ての人に関わることですので確認してみましょう。
相続税の計算では、まず相続した財産の金額を評価します。この評価は例えば土地や建物などの種類ごとや、利用状況を踏まえてそれぞれ評価されます。便宜上財産としましたが、ここには負の財産も含まれます。例えば、現金100万円をもっていても、借金の残債が100万円あれば評価額の合計は0円となります。
こうして評価した金額が税金の計算の基礎となるのですが、このまま税率が乗じられるわけではありません。
ここで上述の5,000万円だとか3,000万円の金額が出てきます。
財産の評価金額の合計から一定の金額が控除されます。これを「基礎控除」と言います。
この「基礎控除」の金額が本年より
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
から
3,000万円+600万円×法定相続人の数
に変わったのです。何もせずとも差し引けるものが今までの6割となってしまいました。
相続税の確定申告は、財産の評価金額の合計額が基礎控除額以下であれば不要ですが、この改正より確定申告が必要になる人が増えます。
いわゆる富裕層は、自身が相続税が課せられるのを知っているため、上記により増税とはなるものの、その対策や準備をしていることとおもいます。
「申告難民」という言葉は、今まで相続税と縁のなかった人に当てはまります。
- 実際に相続が起こった際に調べてみたら申告が必要だった。
- 税務署からお尋ねがきて、調べてみたら申告が必要だった。
- 改正により申告が必要なことが分かったので対策に奔走している。
など、いろいろあります。
今回の改正の影響は、たとえ財産を持っている意識がなくても申告の対象になる可能性があることです。
一戸建てに住んでいる人は多くいますが、確定申告が必要になるほどの財産を持っているという意識はほとんど無いのではないでしょうか。しかし、一戸建てに住んでいるだけで確定申告の対象になることは十分あり得ます。
相続税の申告期限は、通常の場合、被相続人が死亡した日から10ヶ月です。法要や遺品整理に追われてなかなか着手できないのも事実です。
確定申告が必要かどうかは、手間をかければ予め自身で調べておくこともできますし、もちろん税理士を活用することもできます。いずれにしても現状を把握しておくことは有効です。
さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT
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関東信越税理士会浦和支部所属
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