帳簿の書き方その2


青色申告の条件を満たす帳簿とは?

この問いに一言で回答しようとしますと、それは複式簿記によって記帳された帳簿です。
結局、簿記の知識が必要になるのでは?と思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
順を追って説明していきたいと思います。

複式簿記とは

例えば、

9月6日に現金で5万円を売上げた。

という事実を、

  1. 現金の入金
  2. 売上の計上

の2つの側面から記帳する方法です。これが「複式」といわれる所以です。

帳簿等の種類

複式簿記により記帳し、そこから作成するものは以下の通りです。

  • 仕訳帳・・・取引の全てを記入します。
  • 総勘定元帳・・・各科目ごとに取引が記載されます。
  • 試算表・・・総勘定元帳の各科目ごとに金額を集計した表です。
  • 貸借対照表・・・外部提出書類。試算表の項目のうち、資産や負債の項目が記載される。
  • 損益計算書・・・外部提出書類。試算表の項目のうち、収益や費用の項目が記載される。

上記の例題を記帳すると以下の通りとなります。

仕訳帳

年月日 借方科目 貸方科目 内容 金額
9月6日 現金 売上 ○○を××に売上 50,000

総勘定元帳 科目「現金」

年月日 相手科目 内容 借方金額 貸方金額 残高
 9月6日  売上  ○○を××に売上  50,000 50,000

総勘定元帳 科目「売上」

年月日 相手科目 内容 借方金額 貸方金額 残高
9月6日 現金 ○○を××に売上  50,000 50,000

手順ですが

  1. 仕訳帳に記入
  2. 総勘定元帳の「現金」と「売上」にそれぞれ転記

となります。
試算表や貸借対照表、損益計算書は総勘定元帳の各科目の金額を集計したものとなります。
また、表中に出てくる「借方」「貸方」という言葉ですが、記号の意味合いが強いのでそれぞれ「左」「右」というように置き換えてもらって結構です。
では、その「左」「右」どちらに書けばいいのかというと、一定のルールがあります。

項目属性
資産 プラス マイナス
負債 マイナス プラス
収益 マイナス プラス
費用 プラス マイナス

例題でいいますと、
「現金」は資産属性ですので、「左」がプラス。つまり増加となります。売上代金で現金が増えましたので「左」に記入します。
「売上」は収益属性ですので、「右」がプラスとなります。

手書きで行うとなると、仕訳帳に書いて、総勘定元帳に書いて、試算表や貸借対照表、損益計算書に集計するということになり、相当の労力を要します。
ですので、現在では会計ソフトなどを使用することが一般的です。
会計ソフトでは、仕訳帳に入力するだけで、損益計算書まで自動的に作成できます。

仕訳帳の入力で済むのはいいけど、科目とか「左」「右」とかよく分からない

これに関しても、かなり進歩しています。

例えば、仕訳を書き方は分からなくても、「この入金は何ですか。」と聞かれれば「それは売上です。」などど回答できると思います。このようなQ&Aのような仕組みを利用している会計ソフトもあります。
また、クラウド会計ソフトなどは自動記帳を売りにしていますが、これは例えば

「この取引先からの入金は売上だ。」

というのを予め登録し、通帳データとリンクさせることで自動仕訳を可能にしています。

以上のように、記帳に関する環境はまだ完全とはいえませんが、簿記なんか知らなくても記帳はできるというところにまできているのではないでしょうか。ただし、良い点ばかりではなく、知識や経験のある方は自分で仕訳を入力していったほうが速いということもあります。また、最終的に記帳された内容が正しいものかどうかの判断には、知識や経験が必要になってくると思います。

自分の負担を減らせる会計ソフトなどを利用して、そのチェックは専門家に依頼する。

といのも、よくある事例です。

もちろん幣事務所でも承っております。お気軽にご連絡ください。

複式簿記による記帳の説明は以上ですが、次回は簡易記帳について紹介したいと思います。

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