法定利率の影響


以前のブログでも少し触れた民法の改正ですが、5月26日に参議院で可決し、改正されることが決定しました。
6月2日には公布され、施行日は「一部の規定を除き、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされていますので、遅くとも2020年の6月には、改正民法が適用となることになります。

改正された規定の中に、法定利率に関するものがあります。
法定利率とは、文字通り法律で定められた利率です。

利息が生じるような場合には、あらかじめ利率を決めておくのが通常で、これを約定利率といいますが、約定利率がない場合、つまり、利率を決めておかなかった場合に適用される利率です。

今回の改正よりこの法定利率が5%から3%となり、市場の金利にあわせて3年ごとに見直されることになりました。

「金銭の貸し借りなんかしないし、私には関係ないや。」という人が多いかもしれませんが、間接的にこの影響を受ける場合もあります。

予期せず相手に損害を与えてしまった場合に備えて、損害保険に加入している人も多いと思います。自動車保険などはその最たるものではないでしょうか。
不幸にも事故が発生してしまった場合、相手に与えてしまった損害の賠償金として保険金が支払うことになります。
この保険金を支払うために損害額を計算しなければなりませんが、この計算に法定利率が使用されています。

例えば相手を死亡させてしまった場合、その人が死亡しなければ得ていたであろう収入を賠償しなければなりまん。
年収500万円の人がその後20年働いたとすれば、1億円です。
では、この場合1億円を賠償しなければならないかというと、そうではありません。

20年という期間がありますので、その期間一定の利率で運用していたら、20年後に合わせて1億円になったというような計算をします。
つまり、20年後から逆算した現在の価値は1億円より低くなります。そして一定の利率として用いられるのが法定利率です。

この考え方でいうと、1年後に500万円の収入があり、法低利利5%とすると、現在の価値は500万円÷1.05=4,761,904円となります。2年後にも同様に収入があるとすると、2年目の収入の現在価値は500万円÷1.05÷1.05=4,535,147円で、1年目と合わせて9,297,051円となります。
このようにして20年分の計算を行います。(実際にはもっと複雑な計算が行われていると思います。)

お気づきでしょうか。このような計算で法定利率が5%から3%になると、現在価値が大きくなります。
つまり、支払われる保険金額が大きくなるわけです。

保険会社が負担する金額が大きくなるということは、それに伴なって保険料が値上がりする可能性も出てきます。
このように直接金銭の貸し借りをしていなくとも、影響を受ける可能性があります。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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関東信越税理士会浦和支部所属

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