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くるみん

くるみん」という言葉をご存知でしょうか。

次世代育成支援対策推進法に基づき厚生労働大臣の認定を受ける際の認定マークのことを言います。
次世代育成支援対策推進法とは、次世代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備するために、国、地方公共団体、企業、国民が担う責務を明らかにすることを目的として、2005年4月1日から施行されています。

この認定を受けると認定マーク(くるみん)を、商呂、広告、求人広告などに付け、子育てサポート企業であることをPRでき、企業イメージの向上、従業員のモラルアップやそれに伴う生産性の向上、優秀な従業員の採用・定着が期待できると国は謳っています。

税制につきましても、優遇措置があります。通称「くるみん税制」です。

内容は、次世代育成支援対策資産の取得について割増償却を認めるというものです。

割増償却とは、その課税期間の減価償却費を割増して、費用計上を前倒しするというものです。その資産について費用化できる総額は通常の減価償却を行う場合と変わりません。

この制度を受けるためには、「くるみん認定」を受けることが前提となります。

くるみん認定を受けるためには、「一般事業主行動計画」の策定し、その策定した目標を達成するなど一定の基準(9項目の認定基準の全て)を満たす必要があります。
一般事業主行動計画とは、従業員の仕事と子育ての両立を図るために策定する計画のことです。
この計画に次世代育成支援対策資産の取得を盛り込み、行動計画期間内に実際に導入します。

上記のことからも分かるように、税制優遇は次世代育成支援対策を推進するための補助的位置づけとされているようです。

また、くるみん認定企業のうち、より高い水準の取組みを行った企業は「プラチナくるみん認定」を受けることができます。プラチナくるみん認定についても別途、割増償却の優遇措置があります。

出国税

平成27年7月1日から国外転出時課税制度が適用となりました。

国外転出時課税制度とはいわゆる出国税で、国外転出をする一定の居住者が1億円以上の有価証券等を所有等している揚合には、その対象資産の含み益に所得税(復興特別所得税を含みます。以下同じ。)が課税されることとなりました。

国外転出時課税の対象者は、所得税の確定申告等の手続を行う必要があります。

また、ー定の場合には納税猶予制度や税額を減額するなどの措置を受けることができますが、国外転出までに納税管理人の届出書を税務署に提出するなどの手続が必要です。

国外転出時課税の対象者

国外転出時において、次の1、2の両方を満たす居住者が、国外転出時課税の対象者となります。

  1. 所有等している対象資産の価額の合計が1億円以上であること。
  2. 原則として国外転出をする日前10年以内において国内に5年を超えて住所又は居所を有していること。

対象資産

有価証券(株式、投資信託等〉、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・デリバティブ取引

申告手続等

納税管理人の届出の有無で分かれます。

  • 納税管理人の届出あり・・・通常の確定申告期限までに申告・納付(要件を満たせば納税猶予あり)
  • 納税管理人の届出なし・・・国外転出時までに申告・納付(納税猶予なし。5年以内の帰国は納付した税額を戻せる)

帰国した場合等

国外転出時課税制度の適用を受けた人が、帰国や対象資産を譲渡した場合には、一定の手続きをすることで納付した税金などを精算することができます。帰国や譲渡をした日から4ヶ月以内の手続きが必要になります。

企業版ふるさと納税

菅官房長官は秋田市で講演で、ふるさと納税制度の企業版を創設することができないか、検討を進めていることを明らかにしました。

ふるさと納税制度は、生まれ育った自治体などに寄付をすると、住んでいる自治体に納める住民税などが控除されるもので、自治体から特産品などが送られてくることから利用が急増しています。

これに関連し、菅官房長官は「今、国は、地方創生に全力で取り組んでおり、官民挙げて連携してまちづくりを応援する。法人住民税を工夫して、企業版のふるさと納税制度があってもいいのではないか」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は、「今、財務省や総務省、内閣府に勉強するよう指示している。いろんな知恵を出して工夫しながら地方を元気にしていくのが私たちの役割だ」と述べ、内閣の重要課題である地方創生の実現に向けて、ふるさと納税制度の企業版を創設することができないか、検討を進めていることを明らかにしました。

現行のふるさと納税は、特産品の取得は所得税法上、一時所得となりますが、他に一時所得に該当する所得がなく、特産品の総額が高額(目安は50万円)でなければ処理不要(課税関係は生じません)になります。もし企業が特産品を取得するならば、会計処理が必要になる可能性があります。今後に注目です。

匿名組合員の所得は雑所得

最高裁で匿名組合員の所得は原則として雑所得とする判断が示されました。

航空機リース事業者と匿名組合契約を締結した組合員が、不動産所得として申告していたものを、雑所得として訂正されたものです。

所得税法の基本通達で取扱が示されています。大まかに言うと以下の通りです。

匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配は雑所得
ただし、事業に係る重要な業務執行の決定を行っているなど営業者と共に経営していると認められる場合には、営業者の営業の内容に従い、事業所得又はその他の各種所得。

最高裁の判断もこの通達を踏襲したものと思われます。

ストックオプション

ストックオプションの適用が増加しているというニュースを見ました。

簡単にですが解説してみたいと思います。

ストックオプションとは?

あらかじめ決められた価格で自社の株式を買う権利のことをいいます。

会社はこの権利を従業員等に付与します。

権利を付与された従業員等は、実際の株価が権利行使価額より高ければ、権利を行使し、取得した株式を売却して利益を得ることができます。

権利を付与して従業員等の意欲を高め、業績をあげ、その結果株価が上昇し権利付与された従業員等が利益を受けることができるという仕組みですが、景気回復政策による株高がこの制度を後押ししているようです。

税務上の取扱い

税務上の取扱としては、2種類あります。

  • 税務上の用件を満たすもの(適格)
  • 満たさないもの(非適格)

です。この2つの違いは、主に課税時期と課税方法にわかれます。

税金の計算に用いる要素は、

  • 権利行使価額
  • 権利行使時の価額
  • 売却時の価額

が必要になります。

具体的に数字を入れてみましょう。
権利行使価額1000円、権利行使時の価額1600円、売却時の価額1800円
とすると以下の通りとなります。

非適格

権利付与時  処理無し
権利行使時  1600円-1000円=600円 給与所得等
売却時  1800円-1600円=200円 譲渡所得

適格

権利付与時 処理無し
権利行使時 処理無し
売却時 1800円-1000円=800円 譲渡所得

適格要件

以下の要件などがあります。

  1. 権利の行使は、付与決議の日後2年を経過した日から10年を経過する日までの間に行わなければならないこと。
  2. 権利行使価額の年間の合計額が、1,200万円を超えないこと。
  3. 一株当たりの権利行使価額は、契約の締結の時における一株当たりの価額に相当する金額以上であること。
  4. 新株予約権については、譲渡をしてはならないこととされていること。
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さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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