後見と信託
今や人生100年時代とも言われているようです。
2016年の日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳で、いずれも過去最高を更新しているというのも、このようにいわれる背景となっているのかもしれません。
一般的には65歳以上となると「高齢者」と表わせられるようになりますが、人生100年ともなれば「高齢者」なってから35年の歳月があります。
高齢者の定義も時代にそぐわなくなっているのかもしれません。
いつから高齢者となるかはさておき、年齢を多く重ねるようになれば、認知症にも代表されるように自身の判断能力が低下してしまうことがあるのは、残念ながら現実です。
認知症となってしまうと、契約行為なども原則無効となり、成年後見人の選任が必要となります。
後見制度は2種類ある
一言で成年後見人といっても、成年後見制度は、法定後見制度と任意後見制度があります。
任意後見制度は本人と後見人となる人の契約によるものですので、認知症になってしまうと、任意後見制度は利用できません。
必然的に法定後見制度の利用となります。
法定後見制度は家庭裁判所に後見人の選任が必要であることの申し立てをして、裁判所が選任します。
法定後見は、本人の判断能力が不十分であるために利用される制度ですので、法定後見人は被後見人の財産保全が任務の一つとなります。
つまり、被後見人の財産が減る行為はNGということです。
資産運用と呼ばれるものはもちろんですが、相続税対策のために財産を動かすということもできなくなります。
そのため、法定後見制度の利用となる前に、あらかじめ自分自身で対応策を考えることも多くなっているようです。
任意後見制度の利用などはその対応策の一つとして挙げられるものですが、金融機関もこうしたものに応じたサービスを始めているようです。
後見制度支援信託
金融機関などが行うサービスとして代表的なものは、後見制度支援信託なのかもしれません。
後見制度の最大のリスクと言えば、後見人による財産の使い込みです。
後見制度支援信託は、被後見人の財産のうち、日常的な支払をするのに必要十分な金銭を預貯金等として後見人が管理し、通常使用しない金銭を信託銀行等に信託する仕組みのことです。信託財産は、元本が保証され、預金保険制度の保護対象にもなるのが特徴です。
金銭を信託するので後見人に使い込まれる恐れはありませんが、金融機関への信託報酬などが必要になることと、信託財産が1000万円以上からとしている金融機関が多いことなども特徴となるのかもしれません。
さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT
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関東信越税理士会浦和支部所属
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