国外への支払いにも源泉所得税
源泉所得税といえば、給与から差し引かれる税金という認識が最も高いのではないでしょうか。
しかし、源泉所得税は何も給与だけに限ったものではありません。その種類は多岐にわたります。
この度、トヨタ自動車株式会社が源泉徴収漏れを指摘されたとして、報道されていました。
トヨタ自動車株式会社といえば、知らない人がいないのではないかという程の超有名企業で巨大企業ですが、何を指摘されたのかというと、国外の企業に対する知的財産の使用料に対する源泉徴収漏れのようです。
トヨタ自動車株式会社は、「調査の有無や内容については答えられない」としているようですが、報道によると、国外の企業に開発費を支払い、その開発に関する技術やデータの提供を受けていたということで、その部分が知的財産の使用料と認定されたようです。
この詳細や真偽は定かとはなっていないので、事実がどのようになっているのかも分からないのですが、所得税法の観点から見ると、確かにこのような取り扱いが定められています。
つまり、今回の例で言うと、国外企業へ知的財産の使用料の支払いをする場合には、源泉徴収しなさい。ということです。
源泉徴収制度とは
源泉徴収制度ですが、少しややこしく感じる方もいらっしゃるかもしれません。
話を簡単にするために、会社と従業員で考えてみましょう。
冒頭にもある通り、会社は従業員に給与を支払う際、所得税の源泉徴収をして、納付しなければなりません。
「しなければなりません」とあるように義務となっています。この場合の会社を源泉徴収義務者といいます。
ただ、納付をしているのは、従業員の所得税です。よって、本来の納税義務者は従業員です。
従業員は、通常、会社が行う年末調整で所得税の計算が終了してしまうため、意識をしないことが多いと思いますが、原則的には、従業員それぞれが確定申告をして納税するものです。年末調整という特例によって、こうした手続きをせずに済んでいるわけです。
会社は、従業員の納税手続きを代行していると見ることもできますし、税務署(国)の徴収手続きを代行していると見ることもできます。
源泉徴収義務者は、本来の納税義務者に代わって税金を納付するので、源泉徴収義務者も納税義務者として扱われます。
徴収する義務と納付する義務の2つの義務があることになります。
このため、源泉徴収漏れ、転じて源泉所得税納付漏れとして課税庁に指摘され、納付しなければならなくなるという事態が生じます。
さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT
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関東信越税理士会浦和支部所属
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