平成28年度査察の概要


国税庁より平成28年度の査察の概要が公表されています。

査察制度は、税金をきちんと納めさせることはもとより、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて、適正・公平な課税の実現と申告制度の維持に資することがを目的ととされています。
なお、一罰百戒とは、一人の罪や過失を罰することで、他の多くの人々が同じような過失や罪を犯さないよう戒めとすることです。

さて、概要の内容ですが、過去5年間で最も多くの告発が行われました。
なお、査察の着手件数を見てみると、反対に過去5年間で最も少ない件数です。
また、告白件数を処理件数で除した「告発率」は、前4年間の平均は64.25%であったのに対し、平成28年度は68.4%となっています。
これらのことから、国税局の捜査能力が向上しているとも考えられます。

今や情報社会ですので、様々なところから情報を取得できるようになっているのかもしれません。そのような意味では、昨年から本格導入されたマイナンバー制度もその一助を担うようになるのかもしれません。

概要には、平成28年度においては消費税事案に積極的に取り組んでいたことが記載され、その成果として、消費税の輸出免税制度を利用した大口の不正還付事案を告発したとされています。

消費税の輸出免税制度とは、簡単に言ってしまうと、「日本から海外に輸出して売り上げたものには消費税は免除しますよ」というものです。

これがなぜ還付(税金が戻ってくる)に結びつくかというと、納付すべき消費税の計算は原則として、「売上に係る消費税-仕入れに係る消費税」で計算されます。
この算式で、売上げが輸出免税に該当したとすると、「売上に係る消費税=0」です。よって、計算は「仕入れに係る消費税」のマイナス残となり、これが還付されるという仕組みです。
告発の案件では、この輸出免税売上を架空計上したようです。

なお、概要の最後には今後の取り組みとして、消費税受還付事案、無申告ほ脱事案、国際事案のほか、社会的関心が高く、近年の経済情勢に則した分野で悪質な脱税が伏在する可能性の高い事案などに対して積極的に取り組むとされています。

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

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関東信越税理士会浦和支部所属

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