Monthly Archives: 2月 2018

自動車保険安く?

自動車保険といえば、2種類の保険があります。
自賠責保険と任意保険です。

自賠責保険は、自動車を購入した場合は、強制加入となります。
あまり意識していないかもしれませんが、購入時や車検の手続きと共に保険料の支払いをしています。

ただ、自賠責保険はその保障内容が「傷害による損害」「後遺障害による損害」「死亡による損害」に限定され、限度額もあります。
こうしたことから、実際に保険事故が発生した場合、自賠責保険では賄いきれないことがほとんどであり、そのため民間会社が提供する保険に加入していることが多いのが実状です。
この民間会社が提供している保険が、いわゆる任意保険です。

この任意保険の保険料ですが、車種や年齢、事故暦、加入期間、保障内容など、様々な要素が加味されて金額が決まりますが、総じて「安い」と感じている方は、多くはいらっしゃらないではないでしょうか。
また、現在ではマイカーを持たず、必要な時にレンタカーやカーシェアリングといったサービスを利用している人もいます。
都内では、駐車場代も高いのでこのようなサービスを利用している人は少なくないのではないでしょうか。

このように、いわゆるペーパードライバーではなく、自動車の運転はある程度しているものの、そのような方が自動車を所有することになった場合、初めて自動車保険に加入することになります。
初めて自動車保険に加入する際は、保険料が高くなります。

自動車保険の保険料を算定する際に、「等級」というものがあり、これは保険の加入期間中に無事故などであった場合には「等級」が上がり、反対に事故などがあった場合には下がります。
この「等級」によって、保険料の割引率が定められていますが、初めて加入するするとなると、低い等級からとなりますので、割引率も低く、結果保険料が高くなるというわけです。
このようなことが、マイカーを敬遠する一つの理由となっているそうです。

ただ、保険会社もそれぞれこのようなことへの対策を打ち出しているようです。
1つはスマホアプリを利用した安全運転診断。
アプリを起動して運転をすることで、運転者の運転特性を診断します。
一定以上の走行データが必要になりますが、この診断に基づいて保険料を割り引くサービスを行っている保険会社もあるようです。

もう1つは、一日自動車保険加入時の実績を考慮するものです。
レンタカーやカーシェアリングを利用する場合も、このような保険に加入していることと思います。
このような保険の加入時の実績が無事故であれば、保険料が割り引かれるという仕組みのようです。

共働き社会

夫婦共に働いている。
このような状況は今や珍しいものではありません。
むしろ、当然と考えられているのではないでしょうか。

それもそのはずで、共働き世帯数と専業主婦世帯数は1980年代では専業主婦世帯が多くありましたが、1990年代初めにはほぼ同数に、2000年になる頃には共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回り、2016年では専業主婦世帯の1.7倍になっています。
もはや、共働き世帯はよくある家族のかたちということになります。
「働き方改革」「女性活躍社会」と謳われていますが、既に多くの女性は働いているということは間違いなさそうです。

ただ、その内容は異なるのかもしれません。
最もわかりやすいのが、パートと正社員ではないでしょうか。
同じ共働きでもその意味するところは異なってきます。

家族のかたちが専業主婦から共働きへと変遷していったのには、社会背景が影響しています。
社会や経済の発展に伴ない、家族経営の自営業から被雇用者へと移り変わりました。

家族から誰が働きに出るかといえば、(歴史から考えてみても)男性だったのではないでしょうか。
そうなると、家を守るのは女性と言うことになります。専業主婦の始まりです。

そしてこのかたちは、高度経済成長期に伴なって益々定着していきます。
「男性は外で稼ぎ、女性は家庭を守る」といった役割分担が当時は当然のかたちでした。
この頃は、男性のみの収入で生活が成り立つことが多かったのではないでしょうか。
ただし、その代わりといっては何ですが、昼夜構わず働くといったことも多かったようです。

このまま順調に経済や社会が発展していくかと思いきや思わぬ落とし穴がありました。バブルの崩壊です。
景気は瞬く間に悪化し、男性の収入も減少しました。
共働き世帯数と専業主婦世帯数が逆転することになったのも、ほぼこの頃です。
収入を得るために女性が働きに出たということがあったのではないでしょうか。

もちろん理由はこれだけというわけではないのだと思います。
学校を卒業して就職という大きな流れについて、男女差はほとんどなくなっているなど様々な理由があるのではないでしょうか。

ただ、共働きについては今の学生からすると、女性には「働き続けないとやっていけない」、男性には「家庭を持った時、妻が仕事を辞めるのはすごく困る」という認識が多いようです。
共働きの最も大きな要因は、収入面にあるということがよくわかります。

確定申告受付開始2017

本日のブログのタイトルはこれで決まりです。
税に関する最大のイベントといっても過言ではない、所得税の確定申告の受付が本日から始まりました。

例年、受付開始の初日には、芸能人が確定申告をする様子が報道され、「いよいよ始まりました。」となるのが年功行事のようになっています。
ただ、本年はこちらに加えて、国会などで取り挙げられている国税庁長官に関しての報道も行われているようです。

さて、そんなこんなで始まった確定申告期間ですが、この期間は特設会場が設けられていることがあります。
確定申告書は住所地を所轄する税務署へ提出し、それにまつわる相談も税務署で行われるのが通常ですが、この時期だけは異なります。

さいたま市内を管轄している税務署は、浦和、大宮、春日部の3つの税務署となります。
このうち浦和税務署と大宮税務署の管轄する地域(中央区・桜区・浦和区・南区・緑区・西区・北区・大宮区・見沼区)にお住まいの人の確定申告会場は、さいたまスーパーアリーナ1階(展示ホールS2ゲート)となります。
この期間、税務署庁舎では納税処理や申告書の受理はしてくれますが、申告相談は行っていません。
なお、春日部税務署は税務署内に申告会場が設けられています。

開設期間は、2月16日(金)から年3月15日(木)までです。
この期間のうち土曜日と日曜日は原則として除かれますが、2月18日(日)と2月25日(日)だけは開場されます。
毎年、期間が1ヶ月間しかないのだから全日開場してしまえば良いのにとは思うのですが、今年もこちらは変わっていないようです。

また注意が必要なのは、受付時間です。
公官庁といえば、9時17時というイメージ(実際は8時30分から17時です。)があると思いますが、特設会場は9時から16時までとなります。
なお、相談が17時を過ぎる場合には、再来場しなければならない場合があること、会場が混雑している場合は、受付を早めに締め切ることがあると、説明がされています。

贈与税や消費税も

所得税の確定申告期間に合わせて特設会場が設けられますが、贈与税や個人事業者の消費税についても確定申告をすることができます。
なお、それぞれの申告期間は異なり、
贈与税は、2月1日(木)から3月15日(木)まで
個人事業者の消費税は、1月4日(木)から4月2日(月)まで
となっています。

競馬の馬券の払戻金に係る課税について

本日の2月15日は確定申告の受付開始日の前日ですが、国税庁から「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」と言う情報提供がされました。
競馬ファンではなくとも、馬券の払戻金に係る課税について裁判が行われていたことを知っている人も少なくないのではないでしょうか。

この裁判ですが、行われていたのが1つではなく、それぞれ判決が異なるものとなりました。

  • 最高裁平成29年12月15日判決は、馬券の払戻金については雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する
  • 東京高裁平成28年9月29日判決(最高裁平成29年12月20日上告棄却)は、馬券の払戻金については一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当しない

というものです。
どちらも馬券を購入している(競馬をやっている)といことは変わらないのですが、至った結論は180度異なるものと考えてもよいものです。
一体何が結論を左右することになったのでしょうか。

判断は総合考慮

競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されるというのが、どちらの裁判においても共通して述べられています。
具体的な内容は、国税庁が提供した情報に掲載されていますが、裁判の内容を引用するような形の説明となっています。

また、具体例を示したうえで、それに該当しない「いわゆる一般の競馬愛好家の方」につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できないことを付け加えています。

一時所得と雑所得

ここまで「一時所得」「雑所得」という言葉が登場していますが、所得税の計算では所得(収入)をその内容によって分類します。

今回は競馬の馬券の払戻金が、このどちらになるかで争われていたわけですが、大雑把にいってしまうと、

  • 一時所得は、当たった馬券の購入費用しか控除できない
  • 雑所得は、外れた馬券の購入費用の控除できる

という違いになります。

還付請求ができる

今回の裁判の判決による影響は、過去に遡って適用されますので、税金を納めすぎとなった場合は、請求をすれば還付を受けることができます。
ただし、請求可能期間は法定申告期限等から5年です。

プラティロミア・ピエリ

本日はバレンタインデーとなりますが、チョコレートの銘柄の名称ではありません。
日本での生息が初めて確認された蝉の名称です。

日本の中での生息確認は初めてですが、新種の蝉と言うわけではありません。
中国大陸東部の浙江省からベトナムに至る地域に広く生息している蝉で、日本からいうといわゆる外来種です。

さいたま市で生息を確認

新たな外来種が発見されたと言うことになりますが、その地域にさいたま市も含まれます。
川口市北部の安行地域や隣接するさいたま市南部などの狭い範囲で確認されたそうです。

ことの発端は「聞きなれない蝉の鳴き声がする」というものだったそうです。
専門家の調査の結果、プラティロミア・ピエリという外来種であることが判明しました。

どんな蝉?

プラティロミア・ピエリという学名を言われても、その容姿はまったく想像できません。
プラティロミア・ピエリは、ツクツクボウシの近縁で、大きさはアプラゼミより一回り大きく、羽は透明、体は淡緑色ということです。
また、蝉としては珍しくタケ(竹)に依存するそうです。

蝉と言えば、夏ですが、プラティロミア・ピエリが日本で生息するにあたり、どのような影響があるのか詳細は分からない様子で、川口市市長によれば、有害と分かれば対策を取ることになるということもあり、今年の夏も調査を続けるそうです。

今年の夏は耳を澄まして

生息が確認されたさいたま市の南部に該当するのは、さいたま市緑区です。当事務所があります。
調査は2016年から行われていたということですので、既にプラティロミア・ピエリが近くにいた可能性があります。

ただ、プラティロミア・ピエリは、モウソウチクの竹林などの高所の葉陰で、日没前後30~40分の時間帯に限って鳴くため、その姿を見るのはなかなか難しいようです。
なお、モウソウチクとは、私達が竹林などで見る竹です。その高所の葉陰となると、視認が難しいと言われるのも納得がいきます。

そうなると、目的をもって捜索でもしない限り、プラティロミア・ピエリの存在を確認できるのは鳴き声となります。
今年の夏、日没前後に耳を澄ましてみれば、普段とは異なる蝉の鳴き声が聞こえてくるかもしれません。

ネットで自己診断、医師困る?

「ググる」という言葉があるように、何かを調べようと思ったら、まずはインターネット検索。
私も含めこのような方は多いのではないでしょうか。

インターネットがなければ、調べたい内容を知っている人から教えてもらうか、その内容を説明している書籍などを探し出して調べるしかありません。
今ではこのような人や書籍を探し出すのも、インターネットが使われているのではないでしょうか。
便利な世の中になりました。
なお、「ググる」とは、検索サイト最大手のgoogleから作られた言葉であることはいうまでもありません。

ただ、インターネットによる情報検索は便利な反面、その信憑性はというと、必ずしも確保されているわけではないということも1つの側面です。
ネット上にある情報は、その内容に制限がありませんので、医療・健康情報などもあります。
このようにして調べた情報を元に、自身で診断・処置をしてしまった患者の対応に困ったという経験のある医師が3割あったそうです。
オンライン医療相談を手がけるメドピアのアンケート結果ということでした。

さらに、このアンケートでは医師の9割は自分で情報を発信していないという結果も得られたそうです。
つまり、ネット上にある医療・健康情報は、少なくともアンケートに答えた医師によって発信されたものではないことになります。

ネット上の医療・健康情報は、問題視されたこともあり、グーグルも医療や健康の分野の検索で、医療機関などが発信する情報がより上位に表示されるように対応しているようです。
ただ、掲載されている情報自体に誤りはなくとも、その情報による判断を誤ってしまうこともあります。

薬の副作用を調べて、自分の判断で服用を中断。ということもあるようです。
調査では8割の医師が「ネット検索より医療従事者に聞いてほしい」と回答しているようです。

ただ、実際に医療機関に出向くと、待ち時間1時間、診察5分で「お薬出しておきます。治らなかったらまた来てください。」というようなことはよくある話です。
医師も多くの患者を診察しなければなりませんので、患者1人に対して多くの時間を費やせないのは、誰もが理解しているところではないでしょうか。
そのような中、自分で調べようとネット検索をして、自己診断をしてしまうということがあるのかもしれません。

ジビエ

ジビエ。ジビエ料理。
昨今、見聞きするようになった言葉です。
野生鳥獣の肉を表す言葉です。
元の言語はフランス語で「gibier」と書くようです。

昔は狩猟によって食材を調達していたと、歴史の授業で習うところですが、ヨーロッパでは貴族の伝統料理として古くから発展してきた食文化があるそうです。
フランスなどでは、ジビエを使った料理は自分の領地で狩猟ができるような、上流階級の貴族の口にしか入らないほど貴重なものでだったようで、高級食材として重宝され、特別な料理として扱われてきたそうです。
また、肉から内臓、骨、血液に至るまで余すことなく料理に使い、生命に感謝を捧げようという精神もあるようです。

日本では

今回、農水省がジビエの利用量の調査結果を初めて公表しました。
2016年度の調査結果ですが、その利用量は1,283トン。
数字をポンと出されても、多いのか少ないのか分かりませんが、とにかくこれだけの量が利用されています。

なお、ジビエの獣種は鹿が最も多く、北海道の利用が最多だったようです。
北海道はエゾシカのジビエ利用が盛んなのだそうです。
北海道と言うと、ジンギスカンを思い浮かべる人もいらっしゃるかもしれませんが、ジンギスカンのラム肉、マトン肉は羊の肉ですので、ジビエ(野生鳥獣の肉)ではありません。

日本では、11月15日~2月15日まで狩猟が解禁となり、ジビエのシーズンとなるようです。
期間が定められているのは、乱獲を防止するためなのだと思います。

ジビエ利用量倍増目標

狩猟期間が定めれている一方で、政府は2019年度までに利用量を倍増させる方針のようです。
その背景にあるのは、深刻な農作物被害にあります。
その被害額は年間200億円に上るといわれています。
そのため、政府は2017年に、ジビエの利用量を増やし、2019年度には倍増させる目標を打ち出したそうです。
今回の農水省の調査もこのようなことに伴なうものとして、行われていたのかもしれません。

このような背景があるものの、ほとんど人がジビエと関わるとしたら、食に関してということになると思います。
ジビエがいわゆる「天然もの」であることは間違いありませんが、そもそもジビエとなる獣種は畜産されていないことがほとんどだと思います。
食べ比べこそできないのかもしれませんが、普段私達が食している牛、豚、鳥を食べることとは、異なる経験ができるのかもしれません。

忘れていませんか、その所得

国税庁から「平成29年分の確定申告においてご留意いただきたい事項」というプレスリリースがなされています。
各項目を列挙すると以下の通りです。

  1. 医療費控除が変わります
  2. 医療費控除とセルフメディケーション税制の減税額試算
  3. マイナンバーの記載等をお忘れなく
  4. 忘れていませんか、その所得 申告漏れにご注意を
  5. 確定申告は、自宅から“インターネット”が便利です
  6. 申告相談会場に関するご案内、確定申告の受付期間及び納期限等

税制改正により、今回の申告から適用される医療費控除に関する内容を主に、その他確定申告に関する一般的な留意事項が紹介されています。
医療費控除に関するものについては、

  • 医療費控除の明細書を提出することにより、領収書の提出・提示が不要(5年間の保存が必要です。)
  • セルフメディケーション税制の導入

となりますが、以前のブログでも書いていますので、ご興味ある方はそちらをご覧下さい。

先ほど医療費控除以外は、一般的な留意事項と説明しましたが、その中にも注意すべきものがあります。
4番の「忘れていませんか、その所得 申告漏れにご注意を」です。

申告漏れとなりやすい所得などのほか、記載漏れや提出漏れが多く見受けられる事項が紹介されています。
申告漏れとなりやすい所得として、

  • ネットオークションやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得
  • 仮想通貨の売却等による所得
  • 馬券の払戻金等による所得

が挙げられています。
仮想通貨が掲載されているというのが、今回の申告ならではなのかもしれません。
いずれにしてもこれらの所得の申告漏れを、国税庁が注意喚起しているということは、国税庁も注視していると考えてよいのかもしれません。

その他には、

  • ふるさと納税のワンストップ特例を申請された方が確定申告をする場合
  • 予定納税額の記載漏れ
  • 復興特別所得税の記載漏れ
  • 添付書類の提出漏れ

が挙げられています。
この中で最も注意すべきは「ふるさと納税のワンストップ特例」ではないでしょうか。

予定納税額の記載漏れ、復興特別所得税の記載漏れ、添付書類の提出漏れについては、いわば書類上の不備ですので、間違えてしまっても税務署の人も気づきます。
この結果、納付漏れとなった場合にはほぼ確実に連絡がきます。

しかし、「ふるさと納税のワンストップ特例」の場合は、書類を見ただけでは気づきません。
しかも確定申告をすると、ワンストップ特例は無効となります。
よって、税金の控除は行われないことになります。

相続税の申告状況

所得税の確定申告時期の真っ最中ですが、今回は相続税の話です。
昨年の12月に国税庁から「平成28年分の相続税の申告状況について」が公表されました。
平成28年1月1日から平成28年12月31日に亡くなられた方から、相続や遺贈などにより財産を取得した方についての相続税の申告状況について公表しています。

被相続人は増加

平成28年中の被相続人(亡くなられた方)は、約131万人。その前年である平成27年は約129万人でした。
過去最高数であった前年の人数を更新する形となりました。今後も増加していくことが見込まれます。

相続があった場合、全ての人が相続税を納めなければならないというわけではありません。
相続などにより取得した財産などについて一定の方法によって計算することにより、相続税の課税対象となるかどうかが判断されます。
平成28年では、相続税の課税対象となった人は約10万6千人だったそうです。
平成27年は約10万3千人ということですので、相続税の課税対象となった人も増加しています。

課税割合(被相続人のうち相続税の課税対象となった割合)は約8%です。
この課税割合、以前は4%台で推移していたのですが、平成27年から8%台となっています。

背景にあるのは平成25年度に行われた相続税法の改正です。
この改正によって「この金額以下であれば、相続税が課されません。」という基礎控除額が引き下げられました。

単純比較はできませんが、この改正前(平成26年)と改正後(平成27年)の税額は、それぞれ1兆3,908億円と1兆8,116億円で、差は約4,200億円です。
課税割合が2倍近く増加したのに対して、税額はそれほど増加してません。
そしてこの4,200億円の中には、改正前の規定によって計算しても相続税の課税対象となる方が、改正によって税額が増加した分も含まれています。
そう考えると、基礎控除額が引き下げにより、新たに課税対象となった方の分は4,200億円より少ないことが分かります。

申告義務者で考えると

平成28年の相続税の課税対象者は約10万6千人でしたが、こちらは納税義務がある人数となります。
納付税額が0円でも、申告書を提出しなければならない場合があります。
「特例」を用いて相続税を計算する場合などです。

この相続税額のない申告書が提出された数は、平成28年で31,011人でした。
こちらも改正によって2倍近く増加しています。

医療費通知

医療費控除に関する税制改正により医療費控除の明細書の提出が義務になった一方で、医療費の領収書の提出・掲示をしなくてもよくなるなど提出書類が簡略化されました。
ただ簡略化されたといっても5年間は自分で保存しておかなければなりません。

今までは税務署に提出したらそれで終了となっていましたが、税務署もその処理・保管が大変なようです。
「疑問があったら聞くから、自分で保存しといてね。」というのが本音ではないでしょうか。

さて、医療費控除の明細書ですが、従来のものに比べて「医療費通知に関する事項」というものが追加されています。
「医療費通知に関する事項」は、「医療費通知」を確定申告書に添付する場合に記載する項目となります。
「医療費通知」を利用するメリットは以下の通りです。

  • 明細書の記載を省略できる
  • 通知に係る医療費の領収書の保存も不要

今回の改正で明細の記載と領収書の保存が基本的な取り扱いとなったのですが、「医療費通知」を利用すればこれらの処理が不要となります。

医療費通知の要件

納税者側の事務負担が大幅に減少する「医療費通知」ですが、この制度を利用できる「医療費通知」として以下の6項目の記載が求められています。

  • 被保険者等の氏名
  • 療養を受けた年月
  • 療養を受けた者
  • 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
  • 被保険者等が支払った医療費の額
  • 保険者等の名称

「医療費通知」≠「医療費のお知らせ」

健康保険組合などから送られてくる「医療費のお知らせ」ですが、「医療費通知」として利用できないものもあります。
これは「医療費のお知らせ」などへの記載する内容は、各医療保険者の任意となっているためです。
丁寧に「医療費控除に使用できない」旨の記載があるものもあります。

つまり「医療費のお知らせ」などのうち、上記の6項目が記載されているものが「医療費通知」となります。

「医療費のお知らせ」を明細書として利用

6項目全ての記載がなくとも、「医療費のお知らせ」などにはある程度の医療費控除に必要な情報が記載されています。
自己負担額ではなく医療費総額のみが記載されていたり、医療機関の名称の記載がなかったりと必要な情報のうち一部が欠けているということがほとんどです。

この場合、その欠けている部分を追記補完することで、「医療費控除の明細書」として利用することができます。
これによって「お知らせ」に記載されている部分については、一から明細書を作成しなくてもよくなります。

ただ注意が必要なのは、あくまでも「医療費控除の明細書」として利用できるだけで、「医療費通知」としては使えません。
追記補完した「医療費のお知らせ」などは「医療費控除の明細書」扱いとなりますので、これに係る医療費の領収書の5年間の保存が必要となります。

1 2 3

さいたま市緑区の税理士 渡辺税務会計・KWAT

埼玉県さいたま市緑区東浦和1-8-18-303

営業時間 平日9:00~18:00

関東信越税理士会浦和支部所属

お問い合わせはこちらから

免責事項

当サイトに掲載する情報に関しまして、細心の注意、調査を行って掲載しておりますが、当サイトのすべてに関して、誤りや変更などに伴うくい違いが含まれる場合もございます。従いまして、これらの正確性および完全性を保証するものではありません。当サイトで公開している情報もしくは内容をご利用されたことで、利用者もしくは第三者の方が直接又は間接的に被害を生じた場合について、当人は一切責任を負うものではありません。